吉例顔見世 夜の部 「五段目、六段目」「新口村」 初日2017/11/01 23:28

2017年11月1日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階11列12番

「仮名手本忠臣蔵五段目、六段目」

五段目は染五郎が定九郎。これで、この世代の定九郎はほとんど見たことになる。「50両」という声が染五郎にしてはぐっと低かった。席が遠かったせいか、血が滴り落ちるのがよく見えなかった。倒れているときは前の人の頭で隠されてほとんど見えなかった。

六段目は、松之助が上方弁の源六。お才役の秀太郎は声が小さくて聞き取りにくい。一人で京都弁の世界に浸っているようにも見える。
おかや役の吉弥は前に観たときより良かった。でも竹三郎の方がもっと遠慮なく勘平を叩いていたように思う。勘平の仁左衛門は、うまいということよりも、最後まで観客を惹きつける力があるのが凄いと思った。


「新口村」

私が初めて歌舞伎座に行ったときにも「新口村」がかかった。忠兵衛は当時の扇雀、今の藤十郎で、孫右衛門は13代目仁左衛門、梅川は歌右衛門だった。
そしてきょうも藤十郎が忠兵衛を演じる。梅川は今の扇雀。孫右衛門は歌六。
扇雀は綺麗で、終始藤十郎を気にかけていた。歌六はうまいが、この役はもう少しぼろぼろ感がある方が個人的には好み。
話はあんまり好きではないが、雪の降る中を二人で綺麗な着物を着て歩いているありえなさが歌舞伎的で、黒地の着物と雪の白の組み合わせが鮮やかだ。

最後の「大石最後の一日」は都合により観られなかった。

芸術祭十月大歌舞伎2017/10/19 01:34

2017年10月11日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階11列27番

「沓手鳥孤城落月」
序幕大阪城内奥殿の場、「日ノ本はわが化粧箱」という台詞が玉三郎にピッタリ。松竹座で藤十郎の淀君を見たときにも思ったが、この役は美人にやってもらいたい。玉三郎の台詞がたくさんあって嬉しかった。
千姫は可愛い米吉、饗場の局の梅枝の顔が古風でいい。

二の丸の場、秀頼は七之助。

裸武者は今月は出なかった。

「漢人韓文手管始」
七之助はこの演目では傾城高尾太夫。芝翫演じる典蔵と二人の場はとてもお似合いで美しいが、実際の恋人伝七の役が鴈治郎。背の高さもずいぶん違うし、高尾が伝七を騙している話なのかと思ったがそうではない。松也が出ているのだから、伝七は松也にすればいいのに。
ただ、伝七が松也になったとしても面白い話になったかどうかはわからないような芝居だった。


「秋の色種」
玉三郎と、梅枝、児太郎の踊り。
最初に玉三郎だけの踊りがある程度長くあるのが嬉しい。
途中で玉三郎は引っ込んで、その間、梅枝と児太郎が琴を弾く。
玉三郎が黒地の着物に着替えて出てきて、また三人で踊り、最後は花道から引っ込む。
いい演目だった。

錦秋名古屋顔見世 初日 昼の部2017/10/03 22:07

2017年10月1日 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール 午前11時開演 1階か列19番

「恋女房染分手綱」

会場に入るのが少し遅れて、花道の脇でしばらくかがんで見ていたが、三吉役の子役が立派。最後に泣きながら花道を走り去るときまで、ずっとうまかった。先月観に行ったときは休演していた魁春が元気そうだったので安心した。

「番町皿屋敷」

梅玉は青山播磨はニンなのだが「若さ」とか「情熱」とかを感じなくてあまり面白くはなかった。その分、役の年齢に近い壱太郎のお菊と梅丸のお仙から受ける印象が強かった。梅丸のお仙は、美人の優等生といった雰囲気。壱太郎のお菊は出て来たときから悩み事がありそうな表情をしている。お仙は屈託なく、仕事をテキパキこなす。お菊と播磨の仲も知らず、播磨は奥方をもらったりしないと主張するお菊を不思議がる。お仙はお菊がわざと皿を割ったところを偶々目にして、それを用人に告げたわけだが、それもお菊を陥れようというより、真面目なので言ってしまったのだ、という気がした。

お菊は男を知っている女の色気がある。お菊が「一枚」「二枚」と言い、播磨がそれを割っていくシーンの緊迫感が凄かった。

「蜘蛛絲梓弦」

碓井貞光役の松江と坂田金時役の亀鶴は、幕が開いても目を閉じていて動かない。久しぶりの亀鶴だった。

愛之助は小姓、太鼓持、座頭、傾城、蜘蛛の精を踊る。ニンにない役はないのだが、逆に愛之助に似合ういい男の役もなかったのは少し残念だ。
楽しみにしていた傾城は、 顔はごついが声は良かった。女形もたまにやってほしい。太鼓持のしゃべり方で「悦ちゃん」のナレーションを思い出した。

最後は錦秋らしく上に紅葉が飾られて、愛之助は隈取をした蜘蛛の精でぶっかえった。花道で投げた蜘蛛の糸が私の身体にもかかったので嬉しかった。

秀山祭 九月大歌舞伎 夜の部2017/09/27 23:50

2017年9月20日 歌舞伎座 午後4時半開演 2階東9の1番

「ひらかな盛衰記 逆櫓」

初めて観た歌舞伎がこの演目だった。松右衛門が幸四郎、お筆が菊五郎で、遠見の子役たちの中に染五郎と丑之助がいた。
内容的にあまり面白いと思わないのだが、権四郎役の歌六は娘夫婦の役者たちより実際には若いので、身体のきれもよくうまいと思った。松右衛門の吉右衛門は私の好みではないがうまいには違いない。
遠見の子役たちのシーンが一服の清涼剤のように感じた。

「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)」

「清玄桜姫もの」の1つだそうだ。桜姫、清玄はいるが、権助はいない。桜姫の恋人は清玄と書いて「きよはる」。僧の清玄は「せいげん」。桜姫は雀右衛門、きよはるは錦之助、せいげんは染五郎。せいげんが桜姫に恋焦がれるのは、この物語も同じ。
初めはコメディのようでホラーで終わるので客は少し戸惑い気味。染五郎は、情けない清玄といい男の浪平の二役をやるが、どちらも合っていた。歌昇と種之助は奴。奴といっても衣装が違い、雰囲気も違う。種之助は所作事もあっていい役だった。寺小姓は米吉と児太郎。清玄に殺される後室役の京妙がうまかった。

国立劇場 9月文楽公演 第二部2017/09/23 01:17

2017年9月12日 国立劇場小劇場 午後4時開演 14列23番

『玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)』

人生三度目の文楽。動物が出るのを始めて観た。狐はとても良かった。
文楽の語りは腰元なんかのところが面白い。
側室たちが集まる「廊下の段」や傾城が裁きを行う「訴訟の段」が目新しくて面白かった。一番面白かったのは最後の七変化。雷が三味線を弾いたり、娘や夜鷹の人形とか次々に出て、派手。歌舞伎のようなこんな派手な終わり方の文楽は始めてで、興奮した。

小劇場の休憩時間、ロビーで知らない人と向き合って食事をとるのも面白かった。また行きたいと思った。

八月納涼歌舞伎 第三部 「野田版 桜の森の満開の下」2017/08/12 17:02

2017年8月11日 歌舞伎座 午後6時半開演 2階2列46番

全体のストーリーは頭に入らなかったが、プッチーニの「私のお父さん」の流れる中、桜の花びらが散る下で七之助が死ぬシーンが、泣きたくなるほどの美しさだった。坂口安吾は読んだことがないが、こんな、オスカー・ワイルドばりの耽美な話を書いている人だったのか?

主な人物は耳男(勘九郎)、オオアマ(染五郎)、夜長姫(七之助)、早寝姫(梅枝)、マナコ(猿弥)、ヒダの王(扇雀)、といったところ。一番印象的だったのは超マイペースで残酷だが綺麗で可愛い夜長姫。耳男は一番活躍する。壬申の乱の中心人物であるオオアマはストーリー的に重要だが、染五郎は早寝姫と戯れているところと、缶蹴りの缶を蹴るところが良かった。マナコはわかりやすく安定したキャラで猿弥の骨太な演技が良かった。扇雀のヒダの王がニンに合っていた。

冒頭は満開の桜の下に鬼女たちが眠っていて、やがて起き出して桜の枝を持って動き出す。聞こえてくる音楽が「私のお父さん」なので、ちょっと驚く。いつもの歌舞伎とは違って、役者がマイクをつけている。

基本的な風景も役者の動きも綺麗で、バレエや絵画のような印象だった。野田秀樹のジョークの連続のような台詞、「〇坊〇坊の天気予報」を始めとする今の若者には通じないパロディも、舞台の妨げとはならず、そういう台詞に乗って話が進む感覚的な舞台で、また見たいと思った。

デストラップ2017/07/19 02:14

2017年7月7日 東京芸術劇場 午後6時半開演 1階B列24番

最前列の上手。シドニー(愛之助)が座っている机が目の前で、そこで演技をすることが多かったので愛之助がよく見えた。映画で見たときに印象的だった、クリフォードからの手紙を読み上げるシーンは、演出家の指示があったんだろうな、と思われる口調だった。時代設定は映画と同時代で、電話はダイヤル式。

シドニーの妻マイラ役の高岡早紀は綺麗。クリフォード役の橋本良亮はテレビで見たときと同じ印象。頭が良さそうで役に合っている。

シドニーがロープでクリフォードの首を絞めるシーンは、ちゃんと仕掛けがあるのだろうが、間違って本当に絞まるのではないかと、怖かった。映画では、死んだはずのクリフォードがガラスを割って窓から飛びこんできたが、今回の舞台にはそんな窓はなく、上手の扉から入って来たので、映画ほどの驚きと怖さはなかった。
マイラが死んだ後のキスシーンは映画のようにしてほしかった。二人の関係が、というかこの殺人の仕掛けが一瞬で理解できるし、一幕目の最後が盛り上がったろうに。一幕目はムダのない緊迫した舞台だったので、ここでダメ押ししてほしかった。

二幕目、弁護士のポーター(坂田聡)は、うまいのはわかるが少しダレる。シドニーがクリフォードを愛している、ということはシドニーの台詞で語られる。でも、二人の間に緊張感が漂う前に、「恋人だったんだ」という確固たるイメージを植え付けるために、やはりキスをしてほしかった。
最後は逆転に次ぐ逆転でスリルがあった。愛之助が最後に倒れるところは膝上仏倒れみたいだった。

伊賀越道中双六2017/04/01 01:17

2017年3月16日 国立劇場大劇場 12時開演 1階9列45番

序幕はお谷(雀右衛門)の実家。「正宗」を奪おうとしてお谷の父、和田行家(橘太郎)を殺す沢井股五郎役の錦之助がふてぶてしくてはまり役。二枚目なので気づかなかったのが、今まで観た中で一番錦之助に向いた役かも。愛之助の綱豊相手に助右衛門をやったとき、やっぱり年上だけあって貫禄がある、と思ったが、あれは年齢は関係なく錦之助の持ち味だったのだろう。

行家の弟子、丹右衛門役は又五郎。円覚寺に匿われた股五郎に縄をかけて連れて行く途中で、城五郎(吉之丞)側の武士たちに奪われる。股五郎は野守之助(歌昇)といっしょに逃げる。

瀕死の丹右衛門のところにお谷、弟の志津馬(菊之助)、池添孫八(隼人)が駆け付ける。丹右衛門は志津馬に、剣の達人政右衛門(吉右衛門)の力を借りて敵を討てと言い残して死ぬ。

三幕目は、藤川の新関にある茶店。茶店の娘お紺役の米吉の赤い帯が、舞妓の帯を思い出すように長めに下がっているので、一月の「錣引」 の派手な簪を思い出した。お紺は、志津馬に一目惚れする。
茶店の前を、城五郎の奴助平(又五郎)が密書を持って通りかかる。又五郎二役目の助平は遠眼鏡を覗いて見える景色に悶絶したりする滑稽な役で、本領発揮。だんまりで縄跳びをするあたりで笑った。遠眼鏡を覗いている隙に密書は志津馬にに奪われ、政右衛門の後をついて行くが捕手頭(種之助)につかまる。

四幕目が、いよいよ「岡崎」。岡崎にあるお袖の実家が舞台となる。お袖は志津馬と一夜を過ごそうと家に連れて行くが母のおつや(東蔵)はダメだという。お袖には許婚がいるからだ。
志津馬は自分を股五郎と名乗り、奪った密書の宛先である幸兵衛を探している、という。実はお袖の父が幸兵衛(歌六)だった。
関所破りをした政右衛門はこの家の前で捕手に囲まれる。ここで吉右衛門と捕手の立ち廻りがある。それを見ていた幸兵衛は、政右衛門が昔の弟子の庄太郎だと気づいて、家に入れ、股五郎の後ろ盾になってくれるように頼む。政右衛門は承知したが、幸兵衛は庄太郎が股五郎を仇と狙う政右衛門であることは知らない。
幸兵衛が外出した後、政右衛門はおつやに頼まれて莨の葉を刻みはじめた。部屋の隅に干してあったのを、魚かなんかかと思って見ていたが、莨の葉だった。そうしているうちに、巡礼姿のお谷が赤ん坊を抱えて門の外に来て、そこで癪を起して倒れる。おつやは家の中に入れようとするが、素性が知れることを恐れた政右衛門は、それを止める。おつやは赤ん坊だけ中に入れる。外に出た政右衛門は、お谷のために火を起こし、口移しで薬を飲ましてやる。お谷は意識が戻って政右衛門に縋りつくが、政右衛門は立ち去るように言う。
幸兵衛が帰宅し、おつやが持ってきた赤ん坊の臍の緒書きを見ると、政右衛門の子、と書いてある。幸兵衛は、人質がとれたと喜ぶ。それを聞いて政右衛門は、赤ん坊の喉を刺して殺し、庭に投げ捨てる。そして、人質を利用すべきではない、と言う。
幸兵衛は志津馬は股五郎ではないと見破っていた。そして、目に涙を浮かべている政右衛門を見て、政右衛門であることにも気づいた。我が子を殺してまで敵討ちをしようとする気持ちに討たれ、股五郎の味方はしない、と宣言する。
家に入って来たお谷は我が子の死骸を書き抱いて嘆き悲しむ。

最後は伊賀上野の敵討ちの場。主人公は政右衛門だが、隼人と種之助の立ち廻りがかっこいい。

役者がそれぞれはまり役で、見応えがあって面白かった。

コメディ・トゥナイト 初日2017/03/07 23:49

2017年3月4日 新橋演舞場 午後四時半開演 1階1列24番

副題は「ローマで起こったおかしな出来事 江戸版」。 ローマの話を江戸に設定しなおしたのは、まあ成功したと言えると思う。衣装、装置が洋物がかった着物、日本家屋で、それは面白かった。特に澤野屋という女郎屋が、西洋の家を赤い提灯で飾り付けて日本ムードを出そうとしているようで、見とれてしまった。入り口に下がっている日本髪の女のヌードの絵の提灯がすごく良い。内装も、浮世絵の春画が壁の絵になっていたりしてエセ江戸の雰囲気。

愛之助の歌を聴くのが楽しみだったが、マイクを通しているのでどのくらいうまいのかよくわからなった。愛之助に限らず、下手な人はいないかわりに誰がとくにうまいとも感じなかった。

全体に、だれるところはないが、どこと言って盛り上がりもない。トニー賞をとっているということだが、オリジナル版はどういう点が評価されたか知りたいものだ。コメディで、客席にはお嬢さんたちの笑い声が響いていたが、自分にとっては笑うほど滑稽な場面はなかった。

ルー大柴を近くから見られて嬉しかった。テレビで見るのと同じ雰囲気。女の格好をするシーンは見ものだとは思うが、しゃべり方や仕草を女っぽくするわけではないので、ただルー大柴が女の格好をしている、というだけだった。

荒尾正蔵の役をやった鈴木壮麻が、愛之助がのっぺり見えるような立派な顔立ちで、演技も良かった。

布袋屋の主人役の高橋ジョージがいい味を出していた。澤野屋の主人役のダイヤモンド・ユカイも良かった。

ストーリーがイマイチ面白くないせいか、話の中心になる若い二人の魅力も感じられなかった。

カーテンコールでは今日が誕生日の愛之助を祝う声が上がり、私の右隣の方たちは銀紙で周りを飾った「お誕生日おめでとう」と書いたボードを分けて持って舞台の愛之助に見せていたようだ。二度目に出て来たとき、高橋ジョージが音頭をとって客たちが立ち上がり、ハッピーバースデーの歌をうたった。愛之助は「誕生日に初ミュージカルです」と挨拶した。きょうは、みんなで歌を歌ったのが一番楽しかった。

第60回記念日本舞踊協会公演 2/172017/03/04 01:46

2017年2月17日(金) 国立劇場大劇場 午後4時半開演 1階13列27番

1.「四季三葉草」
翁が西川扇蔵、千歳が中村梅弥、三番叟は尾上墨雪。中村梅弥は初めて観たが綺麗で、踊りも良かった。

2.「妹背山道行」
ここの部分の踊りだけを見てもあまり面白いものではない。

3.「洛中洛外」
幕間に外にいて戻るのが遅れたので後ろで立って観たが、テンポが良くてなかなか面白かった。

4.「三人連獅子」
初めて観たが、舞踊会で見ると他の演目とは目先が変わって楽しい。前半は、連獅子や鏡獅子と違ってステップも軽く、草原で遊んでいるライオンの家族風。それでも、舞台は深山幽谷と石橋。後半は石橋の上で踊り、仔獅子をリアルに突き落とす。仔獅子が一番目立つ良い役。花柳源九郎のきびきびした動きが良かった。

5.「邯鄲」
井上八千代一人の踊り。黒留袖で全体のトーンはとても静かなのだが、、寝転がって、そこからさっと立ち上がるとか、回転とかの動きがたまに入ってアクセントになっている。

最後に「にっぽん・まつりの四季」という群舞があった。