12月歌舞伎座 夜の部2006/12/28 20:19

今年の歌舞伎の見納め。 最初に見たのが「信長」で最後が「紅葉狩」。両方とも海老蔵主演というのはなんとなくおめでたい気がする。 会社を午後半休して歌舞伎座へ。クリスマスを歌舞伎座ですごしたことは過去に何回かあるが、24、25日連続ははじめて。歌舞伎に明け暮れた今年を象徴している。

「矢口渡」

正月の松竹座の孝太郎のときは何か一生懸命やってるなあ、という印象しかなかった。女形の場合、美人じゃないと見てる方が「女の情念」とかを想起しないのかもしれない。その点菊之助は華やかでいい。しかし寝てしまった。

「出刃打お玉」

面白かった。梅玉は先月の綱豊卿の役も信じられないくらい良かったが今月もすごくニンに合った役で、この人はひょっとして演技派だったのか? いくら舞台でも23の童貞の役ができる還暦の役者というのはすごい。菊五郎は若いときの役は他の女形がやった方がうまいのではないかと思った。玉三郎はもちろん、田之助でももっと女っぽいかもしれない。菊五郎は立役だと世話物の主人公にぴったりだが女形はキャリアウーマン系のきちんとした役が似合う人で、くずれた感じの女はうまくないと思う。

「紅葉狩」

南座で見た乗合船のように役者が交代で踊る。あれは飽きなくていい。声変わり中の右近がうまかった。松緑がトリで踊るのかと期待してたら踊るというほど踊らなかったのでがっかり。立ち回りの形は綺麗だがもっと踊ってほしかった。海老蔵よりもずっとうまいとみんな知ってるのに海老蔵ばかりあんなに長く踊るのは理不尽。海老蔵の更科姫が男にかえって股を開くと定九郎が更科姫をやっているようだ。大股でドスドスとひっこんでいく。この演目は初めて見たのだが、今後他の人のを見たらわかりにくいと感じるかもしれない。

ぼたんちゃんはかわいかった。遠目にはお母さんに似ていて美人。娘を勝手に歌舞伎の舞台に出して、といきどおっているわりには実際に踊りを見せられると一生懸命拍手してしまう。不思議な心理。