新春浅草歌舞伎 初日 第1部2007/01/03 00:10

2007年1月2日 浅草公会堂 午前11時開演 2階な列6番

いつもはギリギリセーフか遅刻して行く私だが、きょうは鏡開きが終わった後は11時まで何もすることがないので時間あまりまくり。浅草寺に初詣に行ったが思ったほどには混んでなくてスムーズに終わり開演時間よりもかなり前に浅草公会堂に戻った。署名をした後、近くで「浅草歌舞伎を育てる会」が売っていた「花道」という冊子の今年の分とバックナンバーを買った。二年前のがあって嬉しかった。二年前のチラシをみてはじめて愛之助がイケメンであることを認識した。そのチラシは私の机の上に置いてあって毎日見ている。

イヤホンガイドを借りた後プログラムを買おうとしたらオリジナルグッズ付きのものは入場後に1階で売っていると書いてあったので迷ったが、プログラムだけを買った。

歌舞伎座の3階なんかに比べると座席がずっとゆったりした感じがする。前後の座席の間が広いのと客の頭が互い違いに来るような配置のせいか。

「お年玉挨拶」

勘太郎の挨拶。定式幕の真ん中あたりで赤い毛氈の上に正座して挨拶。愛之助がそんな格好している写真を見たことがあるがこれだったのか。最初はお客さんが入らなくて段四郎のおじさんが・・・というような話をしていた。今年で七回目、と言っていたが私が観た新之助の弁慶はその前年だろうか。あの次の年から出演者の顔ぶれが変わったということか。

「すし屋」

最後に見たのは南座の後見役だった芝のぶがお里の役だった。権太役を観る前に愛之助のお里が観たかった。

「すし屋」は舞台で観たことがあるのかどうか確信がない。テレビで菊五郎の権太を観た記憶がある。今回愛之助がやった上方型の権太はたぶん初めて観た。死ぬ前の長台詞はプロンプターつきのようだったが高い声や低い声いりまじって出ていて大変そうだった。

愛之助は花道から出てきて玄関の戸をあけるときに強くあけすぎたらしく閉めようとしてもしまらなくなってしまった。愛之助はそのままにして舞台中央に来たがその後黒衣さんと大道具さんが来ていた。維盛役の七之助が戸を直そうと試していたら愛之助が「なんしとんじゃ!」と言って客が笑った。

イヤホンガイドを借りたのに聞いていなかったのを「すし屋」の途中で思い出したが休憩時間から聞くことにして、休憩時間にお弁当を食べながら聞こうとしてスイッチを入れたらいきなり「皆様あけましておめでとうございます」と言う愛之助の声が聞こえた。

「身替座禅」

愛之助とダブルキャストの玉の井役の獅童はスタイルがいいせいか結構綺麗な女に見えた。2階からなので顔がよく見えるところから見たら怖いのかもしれないが。

勘太郎は踊りがうまいので右京の役はぴったりだ。最初に見たのが孝夫なので右京は二枚目という先入観があったが間違いで、勘太郎は特に好色でもない普通の男が浮気しに行く、という風情が持ち味だ。ただ花道での表情がわからない席なので明日にならないと確信できないが後朝の「よかった~」という呆けた顔が物足りないような気がする。

太郎冠者役の七之助は「め!」というのがうまい。

新春浅草歌舞伎 初日 第2部2007/01/03 20:48

2007年1月2日 浅草公会堂 午後3時開演 3階は列16番

浅草公会堂の3階席の1列目は背もたれにもたれると舞台の上半分しか見えなくなるので後ろに気をつかいながらもやや前のめりになる。3時になって、あの定式幕のふくらんだあたりの後ろにお年玉挨拶の愛之助が座っているんだろうと思いながら待った。幕が持ち上がって出てきた愛之助は鬘をつけて裃姿だった。

「義経千本桜 渡海屋 大物浦」

イヤホンガイドをきいていろいろわかったことがある。何回か観ている演目なのにこの芝居の中の安徳天皇が女の子だということもはじめて知った。最後の方に知盛役の獅童がちゃんと台詞でも言ってるじゃないか。女の子が生まれて男と発表するのはリボンの騎士が最初じゃないんだ。ちゃんと日本の伝統にあったわけだ。

獅童は歌舞伎が下手なのでこの演目を観るのは苦痛なのではないかと予想していたが、下手だとは思わなかった。知盛の衣装が似合って見映えがするし、台詞も全然悪くない。少なくとも芝居のセンスはある人だと思う。だから映画でも次々に使ってもらえるわけだ。もし完全に映画の方に行くとしたらもったいない。

典侍の局の七之助がとてもうまかった。獅童よりもむしろ重要な役で、あの役の人が下手だったら知盛役が下手なよりも苦痛だったろう。

相模五郎役の亀鶴と入江丹蔵役の愛之助ははじめの方でいっしょに花道から出てくる。たぶんそのために化粧がすんでから挨拶したのだ。銀平に外に放り出されたあと、相模五郎の弓なりに曲がってしまった刀を二人で石で叩いてまっすぐにして鞘に納めようとするが、はじめは叩き方が足りなくてまだ曲がっていたのがもう一度叩いていた。「ひの、ふの、み」で入れようとするが刀が鞘から抜けてしまった。愛之助が「申し訳もござりませぬ」と謝り、亀鶴が「あまり強く引くなよ」と言ってもう一度「ひの、ふの、み」でやっと入った。事故なのだが和気藹々で、舞台の上も客席も良い雰囲気だった。

「身替座禅」

勘太郎は第1部よりもよくなっていた。第1部を観て菊五郎の言い方の方が良かったと思った「会いたい、会いたい」も、花子の感情を込めて言っていて客先から笑いをとっていた。

愛之助の玉の井はどんなものかと思ったが予想よりも堅い雰囲気の女だった。肩幅の広いガッチリした体型をもろに出していてやや太め。3階なので顔はわからなかったが全体の雰囲気が怖そうだった。

太郎冠者の亀鶴も良い。「め!」と最初に言った後、「め、めめめ」と何度も繰り返していた。