歌舞伎座 千秋楽 夜の部2007/02/26 01:15

2007年2月25日 歌舞伎座 午後4時半開演 一階11列18番

今月五回目で最後の夜の部。仁左衛門と玉三郎の兄妹もひょっとして今生の見納めか?

きょうは中央の通路際の列だった。あそこはめったに座れないので知らなかったが、真ん中の通路は舞台の中央とはずれているのだ。あそこに座れば舞台の中央は障害物なく見られるかと予想したのに前の人の頭でふさがれる。

はじめから行って、全部眠らないで見た。六段目は細部まで細かく書き込まれたよくできた劇だと思う。唯一の欠点は勘平の勘違いのバカバカしさかもしれない。出て行くおかるを勘平が引き止めて抱き合い、おかるが泣き伏したところに源六が「冗談言っちゃいけねえや」と入ってくるところは緩急のつけ方が見事。

切腹のシーンはあまり好きではない。すし屋の権太や勘平みたいに男がめそめそしてるのには共感できない。 いい女の条件はやせ我慢、と言ってた人がいたがいい男の条件だってやせ我慢ではないのか。死ぬならうだうだ言わずに黙って死ねよ。

七段目の見立て、きょうは巻紙を鳴らしてそれを左右に広げて二つに引き裂いたのを3人で持って「鳴神」と、何かわからないものと、いつもの梅干。いろんなパターンがあるらしいが、意味がわかって綺麗だったのは四の切の静御前。

仁左衛門は最後に由良之助が九太夫をやっつけている由良之助の見せ場でもちゃんと由良之助の言葉に合わせて反応していた。玉三郎の遊女おかるは19年前に孝夫の平右衛門で観た後すくなくとも3回は観ている。平右衛門役は吉右衛門、勘九郎は記憶がある。団十郎の平右衛門を見た記憶はないのに日記には「団十郎は平右衛門だと悪くない」と書いてあって「ヘェー」状態。今回ものすごく久しぶりに遊女おかるを観たような気がするのは相手が仁左衛門だと玉三郎が自分の一番良いところを思い切り出せるからなのだろう。

きょう気づいたのは玉三郎の「あー」という声。うめいたり泣いたりしているのだが色っぽい。平右衛門が、おかるの首を差し出してその功で東へのお供を許されたい、と嘆いている横で時折り玉三郎の声が「あー」と入る。二重唱なわけだ。

21年前に孝夫玉三郎の同じ役を観た後に感動して、もし将来外国で繰らすなチャンスがあったとしても、私がいない間に日本でこんな芝居をやっているのではおちおち外国にも行けないじゃないか、と思った。幸か不幸かそういうチャンスはなかったわけだが。