二階堂の鬼2007/03/01 01:26

月刊フラワーズ4月号の表紙の絵は吉田秋生で、「海街diary」の第三話「二階堂の鬼」が掲載されている。今月は「ラバーズ・キス」から緒方と、はじめは気づかなかったが尾崎酒店という言葉が出てきたのでたぶん美樹の弟が出ていた。話が進んで行ったら緒方が鷺沢を見初めるシーンも出てくるのだろうか。

途中、難病の男の子が出てくると「ジュリエットの海」? その子が足を切断すると「リアル」? と他の作品を思い出したが結局どちらの方向にも行かず、話全体としては淡々とした「河よりも長くゆるやかに」だろうか。

最後の方ですずが走っていく後姿は大島弓子が入っていた。

初瀬/豊寿丸 蓮絲恋慕曼荼羅(はちすのいと こいのまんだら)2007/03/11 02:10

2007年3月10日 国立劇場 小劇場 午後5時開演 12列3番

実は11日のチケットを買ってあったのだが明日観る南座と重なってしまい、ネット上で新たにチケットを購入、最初に買ったチケットはこれもネット上で買い手を捜して買っていただいた。

玉三郎が出るものは原則として何でも観るのだが、新作だし、まあつまらないだろうと覚悟していた。それにしては途中までは大健闘。役者も粒揃いで、予想より良かった。

休憩中に玉三郎のインタビューがあるので芝居中は聞かないがイヤホンガイドを借りた。開演前には役者の日替わりのインタビューがあり、きょうは春猿と門之助だった。門之助の地の声は初めて聞いたような気がする。国立劇場ということで名題試験のときの思い出を話していた。名題は「なだい」と読むのだと初めて知った。「めいだい」か「なだい」か確信がもてないでいた。

開幕したときの舞台はこれからバレエが始まるような雰囲気。奥で横向きに立っている段治郎の長身が映えていた。

前半は、初瀬(玉三郎)に言い寄りレイプしようとする弟(段治郎)、義理の娘を打ち、家来(猿弥)に殺害を命じる継母(右近)など俗っぽい面白さがあった。玉三郎と笑三郎が出ると二人とも長身で安定していてとても良い。そして歌舞伎味がある。段治郎だけだと歌舞伎味が薄れる。

20分の休憩のときは後半をとっても期待していたが後半の途中から失速する。イヤホンガイドで「ドンデン返しがある」と言ってたが、それがひどく凡庸でつまらなかった。顔を隠して出てきた時点で玉三郎でないことは誰にでも予想がつくし、母親が息子を殺してしまうのだろうとも予想できる。

姉をレイプしようとしたときに母が来たので姉の方が自分に無体なことをしたと嘘をつく弟、その弟が死体から首を取ってきたと言ったので、また嘘かと思ったらやっぱり嘘で、姉を救うために姉に似た娘を殺してその首を持ってきたのだった。この弟は姉についていこうとする家来も殺してしまってどうしようもない奴だ。初瀬が弟に言い寄られて「2人で地獄に」と言ったときにひと思いに弟を殺ってしまったら良かった。あそこでじゃまが入るのがいろんな意味でつまらない。あそこから話がつまらなくなる。あの弟があそこで急に姉のかわりに母に殺されるのは唐突。「こいつが死ねば問題はすべて片付く」と思わせるこのバカ弟と、継母にもうひと粘りしてほしかった。それでないと最後のカタルシスがない。 最後の方が抽象的で単に伝説をなぞったような内容になったので残念だ。

中将姫は女が見て共感するキャラではなかった。はじめの方で物乞いにお金をあげるのを見て幸福な王子みたいな人なのか、と思ったがそうでもない。弟の嘘を否定せず自分から誘った、と認めるのは面白い。「豊寿がああなったのはみんなわしのせいじゃ」と言うのは自意識過剰。

中将姫伝説というのを知らなくて、プログラムの中将姫の話を読んでも要領をえなかった。

役者はみんな良い。去年の7月の歌舞伎座のメンバー。おもだかのメンバーはうまいにもかかわらず玉三郎が気を使わなくて良い相手で楽なのかもしれない。結構好きな組み合わせだ。

休憩中のインタビューでも三島に言及していたと思うが、プラグラムの中で玉三郎が三島のことを語っているのがうれしかった。三島が玉三郎を観て「百年に一人の女形が出たね」と言ったのが死の一年前。どうして生きて玉三郎の行く末を見ようとしなかったのだろう。今、生きている三島と玉三郎の対談が見たかった。

霧太郎天狗のさかもり 一回目2007/03/15 23:22

南座

2007年3月11日 南座 夜の部 午後4時開演 右一の6

雨の東京を朝発って、京都駅に着いたら寒かった。地下鉄の駅を出たらパラパラと雪が。今年の冬は雪は見られないかと諦めていたので嬉しかった。

南座は開幕前に登場人物のフィギュアが幕の前に飾ってあり、始まりは幕が開かず、役者さん2人が「きょうは雪がちらついた」「大相撲の春場所がはじまった」と言葉を掛け合いながら通路から出て舞台に上がる。この2人は人形師と注文主という設定で、人間劇をやる、ということで各登場人物を紹介。 「美男美女のカップルとなります」「欧米か?」と最近はやっているらしい、私は知らないギャグも入る。「それでもわからない人はこの番付とイヤホンガイドを~」と浅草のときのように宣伝。

幕開きは鶴岡八幡宮。尼御台役の萬次郎と比企軍太夫役の亀鶴が中心。実朝の愛之助と義時の勘太郎が花道から出てきたときは二人を見るのが浅草の千秋楽以来で、愛之助の実朝の声がちょうど玉の井のようで、身替座禅を思い出した。愛之助はバカ殿の格好で、保名のような紫の鉢巻で桜の枝を持ち、微妙の前に会いたくて狂乱している。

ストーリー全体としてはあまり盛り上がりがなかった。史実に忠実にやっても最後に甥が叔父を殺して源氏は滅びるので十分盛り上がる話だと思うのだが、公暁と実朝は出てくるのに暗殺まで行かず、霧太郎の妖術が敗れてめでたし、で終わる。静御前の舞も大銀杏も出てこないのでは鶴岡八幡宮が出てくる意味がないのでは?霧太郎、実は鬼一法眼といわれても鬼一法眼は知らないので背景がよく理解できない。日本を魔界に変えようと、というのも具体的に感じられない。実際に何人か魔界に引っ張り込んで、その印として背中に羽をはやし、霧太郎に逆らおうとすると羽が開いて勝手に飛んでしまう、とかもう少し荒唐無稽な発想がほしかった。国立小劇場のイヤホンガイドやプログラムでも言っていたことを思い出すと復活狂言というのはそう簡単に成功するものではないのだ。玉三郎や猿之助のような芸術的センス、頭脳、情熱が必要だろう。

役者の方は、宙乗りや六方の引っ込みがある主役の橋之助の印象が案外薄かった。七之助の櫻木の役はとってもいい役。恋についても能動的で女々しくない。櫻木への思いを果たせずにうらみを持って死んだ男たちの亡霊が出てくるシーンは七之助の台詞も長く、ニンに合っていてとても面白かった。これに比べると義時役の勘太郎が実力発揮のシーンがなくて気の毒。愛之助は実朝より喜之平が良かった。関西弁で愛之助ならでは。弥十郎が捌き役の和田新左衛門だが、この人が出てくるたびに盛り上がろうとしている物語に水を差すようでつまらなくなる。捌き役というのは最後に一回颯爽と登場するところがいいのではないか。何度も出過ぎ。イヤホンガイドのインタビューで「飽きられないといいんですけど」と語っている弥十郎も同じことを思っているのではないかと、気の毒に思った。

個人的には義時の役は愛之助で観たかった。そのかわり勘太郎が実朝・公暁の二役をやり、最後の暗殺シーンもやってそのときはうまく替え玉を使って一人で二役やれば面白いのではないだろうか。猿之助だったらやれそうだ。

衣装、舞台は綺麗だった。霧太郎の衣装も黒地に派手な柄の着物の下に紫のラメのスパッツや最初に出てくる白髪に白で統一した衣装とか。舞台の後ろ全体に桜の花びらが散っているシーンも綺麗だった。

東山花灯路2007/03/17 02:26

焼きおたべ

京都駅でポスターを見たので、南座がはねた後八坂神社の方に歩いていって、知恩院を外から見、青蓮院の夜の特別拝観をした。

青蓮院は高校の修学旅行のときにクラスのみんなと行った。琴の演奏を聴く、ということでみんなで縁側に座って聴いたが、いつまでも練習が終わらないなと思っているうちに実は本番が終わったことを知った。以来、青蓮院ときくと琴の演奏を思い出す。今回も門前で2人の女性が琴を演奏していたが、あのときから40年稽古を続けていたらさぞ腕も上がったことだろう。

入り口で靴を脱いでビニールの袋に入れ、それを持って建物の中を歩く。入ってすぐの座敷には孝明天皇が使った輿などが置いてあった。高校のときここでみんなで座ってきいたんだろう、と思う縁側があった。少しぼこぼこする畳が立替前の我家のようだった。順路になっていて最後は庭を歩いて外に出る。ライトアップされていた竹林が銀色で綺麗だった。

私が見たのは全体のほんの一部だったようだが青蓮院に行けてよかった。

霧太郎天狗のさかもり 2回目2007/03/19 00:52

2007年3月12日 南座 昼の部 午前11時開演 右一の6

南座と川の間の通りは川端通りだが、私の泊まっていた宿も川端通りに近い。宿を出て最寄り駅に向かって歩いていたら川端通りを「四条河原町」行きのバスが走っているのを見て、バスで行くことにした。バスを15分くらい待つのが面倒だが、乗ってしまえばずっとすわって行ける。川端通りをずっとまっすぐに行くのかと思ったが途中で曲がって別の通りを行く。

前日は入ったのがギリギリの時間でイヤホンガイドを借りる時間がなかったが、この日は借りた。芝居の間は聞かないで休憩中のインタビューだけ聞くのだが、休憩中ずっとイヤホンをつけているのはうっとおしい。浅草では声をそろえて「あけましておめでとうございます」と言っていた中村屋兄弟は今回は別々だった。勘太郎が映画を観る話をして、観た日だけは他の人と感想を語り合わないでいたいというのを聞いて本質は頑固な人なのかもしれないと思った。七之助は、ファンの人が七之助さんのファッションが素敵だといってます、とインタビュアーが言ったのに対し「僕ファッションに全然かまってない」と言ったのが面白かった。「どうせホテルと劇場の往復だし」と。

桟敷席からは宙乗りがよく見えて舞台も障害物なく見える点はよかったが、舞台美術が綺麗だったので一度正面から観たかった。

最初に通路を出てくる人の話題はこの日は「きのうは三大関全員に土がついて驚いた」だった。

三月大歌舞伎 昼の部2007/03/21 22:50

2007年3月21日 歌舞伎座 午前11時開演 3階1列32番

間違えて買った11日のチケットを差し上げた会社の人がとても面白かったと言ってくれたので私もどうにか行きたいものだと月曜日にチケットウェブ松竹で探したら祝日の今日の3階1列目があった。もうウォッホッホーイとでも叫びたいような幸運。

そこに不幸が一つ。最寄駅で総武線に乗ったら前の電車が隣の駅に着く前にブレーキがかかったので車両点検をしているためしばらく止まる、というアナウンス。結局開演時間に間に合わなかったので「鳥居前」はあきらめることにし、プロントで食事をした後に歌舞伎座に行った。あそこがプロントになったのに気づかなかった。歌舞伎座帰りの客を取り込むのに絶好の位置にあるのに全然関係ない店とか夜の部終了のときには既に閉店しているような店ばかりで何を考えてるのかと思っていた。便利なのでまた行きたい。

「渡海屋 大物浦」

比べてみて、浅草はいろんな意味で若くて口あたりの良い「渡海屋 大物浦」だったのだとわかった。きょうの座組の方が正調な歌舞伎の芸として骨太なものだったと思う。

典侍局の日和見の話は七之助のときは歌をきくように聴いていたが今日の藤十郎は芝居の台詞に聞こえた。藤十郎はこれよりも前のお柳の台詞が聞き取りにくかった。大物浦になってから、安徳天皇の役の子は同じなのだが七之助の方が年齢が近いせいか実際に自分で抱えているせいか子役との心の距離が近い気がした。七之助のときは乳母と帝の2人の関係を強く感じたのだが藤十郎は乳母というより平家の一員であり、帝に話しているというより観客に語っているように見えた。

幸四郎は銀平のときは上背もあり台詞も、好みは別として獅童よりうまいと思った。知盛の白い衣装は獅童の方が似合い、舞台の真ん中での踊りも獅童のときかっこいいと思った足を踏み鳴らすところも気づかないうちに花道に行ってしまってつまらなかった。

相模五郎と入江丹蔵は今回は歌六と高麗蔵。浅草の亀鶴と愛之助の方が仲良さそうで楽しかったが歌六のようなやり方が正統なやり方なのだろう。亀鶴は特にコミカルな役が面白いのだがいつも似たようなノリでやるので役そのものが似通っているような印象になるのではないだろうか。入江丹蔵役の愛之助は亀鶴に合わせた演技をしたのだろう。

「吉野山」

昼の部はこれに逸見藤太役で出る仁左衛門がお目当て。花道の奥から声が聞こえただけで嬉しい。おかしな化粧の顔なのだが出てくると華やかな舞台がさらに華やぐ。ちょと困る、というと本当に困ったように見える。仁左衛門がごちそうで出るときの明るさ、華やかさが爆発。やっぱり観てよかった。 仁左衛門の藤太のことは絶対忘れないけど菊五郎と芝かんのことは忘れちゃうんだろうなあ。

三月大歌舞伎 夜の部2007/03/23 00:01

2007年3月21日 歌舞伎座 午後4時15分開演 一階8列26番

「木の実」「小金吾討死」

「木の実」があると「すし屋」のいろんなことがわかるというのがとってもよくわかった。権太が最後に吹く笛も、あんな苦しい息のときに自分で吹かないでお里にでもかわりに吹かせれば、と思っていたが「木の実」であの笛が出てくると自分で吹く気持ちがわかる。権太が最後に袋に頬ずりするのもわかる。「木の実」の権太はかっこよく、二十年前の孝夫で観たかったと思わせる権太だった。

善太をおぶって花道を歩くシーンがある。愛之助が猿之助におぶわれたのはこのシーンなのだ。

この演目だったら愛之助は小金吾がはまり役だ。仁左衛門の権太と並べて見てみたかった。

「小金吾討死」

とんぼを切ったり綾取りのように縄をかけたり、なかなか見ごたえのある立ち回りだった。組み縄のところは上から観たほうが綺麗なので楽日に3階から見るのが楽しみだ。

「すし屋」

浅草と比べながら観た。「むぁいりむぁした」と聞こえる台詞を、仁左衛門がああいう風に言うんだろうと思っていたが、きょう聞いたら仁左衛門の台詞は「まいりました」と聞こえる。なんだ、あれは愛之助の癖なのか。

お里は、浅草のときは枕2つ見せるようなことしてなかったし、権太が入ろうとしたとき2人であんなラブシーンをしてはいなかったような気がする。孝太郎は予想より良かった。時にミィミィした声がまじるのが嫌なのだが。顔は相変わらず不細工だがそれなりに面白い女になっていた。今まで孝太郎を観た中で一番良いかもしれない。枕を2つ振って見せるようなことを芝のぶのような色気のあるタイプがやったらやりすぎに見えるが孝太郎だと元々色気がないので、やり過ぎにしないと愛嬌が出ないのかもしれない。

愛之助は浴衣一枚になったほうがすっきりして見えたが仁左衛門は元々がすっきりしすぎているせいか重ね着しているときの方がいい。この演目は権太の肌の露出度が高いが、足や肩や胸が綺麗で華奢すぎて奈良の田舎者に見えない。愛之助と同じ年頃の孝夫にはこの役はできなかったろうなあ。客席からジワが出まくりそう。

「川連法眼館 奥庭」

誰のを見てもどうせ猿之助の狐が恋しくなるからもう観たくないような演目だが、どんなもんかと一応観た。菊五郎の狐忠信はわりと狐に見えて、私がイメージする狐に近かった。

好き嫌いはともかく熱演だった海老蔵や勘三郎と比べると欄干の手すりを歩くのも腰を落としてないし私の好きな欄間抜けもないし宙乗りや狐六方もないしケレン味は薄い。

奥庭は着ぐるみの狐が面白かったがそれ以外はつまらなかった。

人間ドック一日目に歌舞伎座千秋楽2007/03/26 20:51

今年の人間ドックはホテルに泊まらないで2日目は自宅から行くことにした。中央線が止まることもあるし明日の朝については不安なのだが自分の部屋に帰ってきて洗濯そのほかの用足しができるのはたすかる。直接の理由は、会社の人からいただいたPCチケットセンターというところの歌舞伎のタダ券が抽選でもらえる葉書二枚を出したら一枚があたり、きょうの歌舞伎座の夜の部のタダ券があったからだ。最後の演目は見ないで「すし屋」まで見ることにしたが、ホテルに泊まると夕食時間のしばりなどがあって不便と判断した。

葉書を出して当たった席は3階Bで12列の7。後ろから三番目くらいの席だが花道をあきらめて役者の顔はオペラグラスで見ることにすれば舞台全体がよく観える良い席だった。きょうは幕見に外人がたくさん来ていた。幕見席はイヤホンガイドもないし、見てるだけで楽しいかと心配だったが小金吾討死の立ち回りは上から観ると綺麗だから料金分は楽しめたかもしれない。

遠くから見るとお里役の孝太郎は動きもよく、今月は本当にいいできだ。時蔵の維盛は七之助に比べて権太一家を気の毒に思っている様子を表情に出している。 今朝は早起きだったし昨夜は寝つきが悪かったので権太が梶原と話しているところの記憶がない。権太の最後の長台詞はますます磨きがかかっていた。それでも私はあの台詞では泣けない。大物浦の安徳帝の「そなたが行きゃるならどこにでも行く」の方が泣ける。

最初の見た権太が愛之助のだったせいか、権太はあんな風に骨太でがっちりして太い足の田舎者の方が正しいのではないかとも思う。愛之助は特に自分の妻子を縛って花道を出てきてからの悲劇の演技は良かった。前半の演技の方がひょっとすると難しいのかもしれない。戸を蹴り開けて入ってきてからしばらく何かばたばたした印象を受けたこと、「しゃあないガキやな」というシーンに理由はわからないが違和感を感じたことを思い出すが、仁左衛門だとそれがない。なぜなのかわからない。

メリディアン元気プロジェクト2007/03/30 00:08

デザート

メリディアン元気プロジェクト 湖月わたるTALK LIVE ~ビタミン”W”~

2007年3月29日 ホテルグランパシフィックメリディアン パレロワイヤル 午後6時よりディナー開始 七時半開演

会社を定時に出てゆりかもめの日の出駅にダッシュ。先週、駅の場所と近道を確認したのになぜか最後に道を間違って二分程度ロス。5時53分のゆりかもめに乗った。乗るのははじめてではないがゆりかもめからの海とビルの景色は素晴らしい。会社から10分程度のところにあるのが不思議だ。

台場駅を降りて「直結」しているホテルグランパシフィックメリディアンに入り、パレロワイヤルへの行き方を聞く。階段を降りて、次にエスカレーターを降りる。階段とエスカレーターの場所は少し離れているので掲示されている地図を見たりする。エスカレーターを降りてまん前のクロークにコートを預け、右手一番奥の部屋へ。場所を知っていて直進したとしても台場駅からパレロワイヤルまでは3分くらいはかかる。

事前に料理よりも話の内容よりも気にかかっていたのは6番テーブルというのはどの辺の席なのか、ということだ。会場の入り口にあったテーブル表によると、絵の前にある一段高くなったステージに平行にテーブルが6列置いてある。偶数列はテーブルが6卓。1列目と3列目は5卓、5列目は7卓で、全部で35卓。番号は下手側、つまりステージに向かって左側が若い。1列目は1~5テーブル、2列目は6~11テーブル。つまり私の座った6テーブルは2列目の一番下手だった。ステージからもそれほど遠くないし、愛之助が上手側の椅子に座ったので顔がこちらを向いたし、下手側が入り口だったので、結構良い席だった。ひとつのテーブルに10人座っていた。

席につくと最初にオードブルを出してくれて、スープ、メイン、デザートとコーヒー、と続く。飲み物はソフトドリンクをもらっている人が多かったのに下戸にくせになぜか何も言わずに白ワインを注いでもらってしまった。料理は、きょうのメインはあくまでトークなのだと思わせるもので、身の程知らずの贅沢をしてしまったと気がとがめることもない程度のもので、ある意味良かった。

デザートが終わったので化粧室へ行って歯を磨いていたら磨いている間にトイレの列が出来てしまった。トイレに入ってから歯を磨けばよかったと思ったが席に戻っても開演まではすることもないのでまあいいかと思いなおした。

間もなく開演、というアナウンスがあった後、会場のライトが落ちた。音楽が鳴り出すとみんなで手拍子をはじめた。宝塚の乗り。私は宝塚は一度も観たことがなく、湖月もコゲツなのかコヅキなのかわからなかったくらいなのでついて行けない。

湖月さんは歌いながら、テーブルの間を巡りながら出てきて、私の手の届くような近くも通ってステージに上がった。元宝塚の人が司会で、はじめは2人で話していた。湖月さんは私が宝塚のスターについて抱いている大作りな顔でスターオーラ出まくりの人とは違い、客先を訪問したらいそうなOLのような普通の感じの人だった。話をきいていて関東の人というのもよくわかったので愛之助が出てきても二人で関西弁で盛り上がるようなことはないだろうと思った。

きょうの特別ゲストは、ということで、愛之助はステージの下手から登場した。スーツに眼鏡を予想していたので羽織袴姿は不意をつかれた。「流石ですね」「仕事着ですから」というやりとりがあってから椅子に座った。髪の毛はもうずいぶん長くなっていた。

司会の人が「お2人の出会いは?」と質問したので愛之助が「違う番組みたいですね」と言った。湖月さんは「同期生のパーティに来た」と言った。焼肉を食べたそうだ。愛之助の第一印象は「二枚目さんだ」。愛之助は「そんなことない」。そのときは義賢最期をやっている最中でくたびれはてていて焼肉を食べようと思って行ったそうだ。愛之助によると初対面はそのときではなく、昔、秀太郎さんの知り合いに連れられて楽屋に来てきつねうどんを食べて帰ったそうだ。

司会「愛之助さんから見て宝塚のイメージは?」

男性から見てもかっこいい。美しい、ファンタジック。美しく描き出す力がすごい。一糸乱れぬダンスは歌舞伎役者にはできない。

司会「湖月さんから見て歌舞伎のイメージは?」

ハードスケジュール。(歌舞伎は稽古期間が短い、という話になる。)

司会「愛之助さんが思っている歌舞伎の魅力は?」

おかしいものをおかしくないように持って行く力がある。たとえば寺小屋。前髪で出てきた者がしばらく経って自分の息子を殺す役で出てくる。それでも感動させてしまう。歌舞伎は何回見てもあきないと思う。一回では把握できない内容があるからかもしれない。だから3回くらい見ると~(といういつもの話になる)。

司会「演じたい役は?」

湖月 刑事

愛之助 きちゃない犯人

(司会「では夢の共演が実現するかも」)

司会「共通点について。蝉しぐれの牧文四郎」

湖月は研究科六年のときに新人公演で文四郎の役をやった。愛犬の名前も文四郎。愛之助は宝塚でやったことは知っていたが湖月がやったのは知らなかったので、正月の浅草歌舞伎に湖月が来たとき、誰がやったのかきいた。そうしたら本人だったのでビデオを貸してくださいと頼んだ。(湖月「きょうビデオ持ってきました」)

ここで、2人がAとBの札を持って「クイズどっちがお好き」が始まる。

クイズ1 ストレス解消法は? A カラオケ B ドライブ

2人ともドライブ

クイズ2 表紙に出るとしたら A ぴあ B アンアン

2人ともアンアン。ぴあの表紙は特徴を強調した似顔なのでそれは嫌みたいだった。

クイズ3 歌舞伎で共演するとしたら A 義経と静御前 B 身替座禅

2人とも身替座禅。(愛之助は「この奥方は旦那さんのことが好きで好きでしょうがないんだけど顔が少しブチャイク・・・」といういつもの説明) ではどっちがやりたいか、というと湖月は「やはり怖い奥方の方」。愛之助は「Aプロ、Bプロで」

クイズ4 宝塚で共演するとしたら A ベルばら B 新撰組の土方と沖田

湖月は新撰組の方で、沖田をやりたい。病弱に憧れる。愛之助はベルばらの方。沖田はやったことがある。(ベルばらの何の役をやりたいかきいてほしかった)

ちょうど話がうまいほうに向いてきたしここはパレ・ロワイヤルで後ろに絵もあるし、ということでフェルゼンの話になる。フェルゼンの役はとても難しく、どうやったらいいかと湖月は悩んでいたがそんなとき愛之助に会って、(なかなかうまく説明できないようだったが)貴公子然としていて、こんな人がいるんだと思った。で、愛之助にフェルゼンの台詞を言って貰いたいということで台本を渡す。「フェルゼンがオスカルの思いに気づくところです」と説明する。愛之助はマジな表情でやり方を考えてる様子。

3人で立ち上がり、愛之助が真ん中に立って、「もしも、もしも初めて会ったとき君が女だとわかっていたら、あるいは」と言い、オスカル役の湖月が「軍服のときは私は女を封印しています」のように言う。湖月の台詞のときに客席から少し笑いもあったが、愛之助はすごくうまかった。口数は多いがそれほど面白くないトークに比べて演技は百倍もいい。声優の仕事でももらえるといいと思った。

その後、愛之助が歌舞伎の見得をやって見せて、湖月も教わってやっていた。目を寄せる練習のときに愛之助は「この指を見て」と顔の前に指を持っていっていた。この見得のために羽織袴で来たのかもしれない。

愛之助は最後に今後の仕事の予定を言って、「皆さん、湖月さんのファンできょうは僕無事に帰れるのかと思ってたんですが・・・」のようなことを言い、「松嶋屋!」と掛け声もかかり、上手から引き上げた。6月の歌舞伎座は夜しか出ないので昼間に湖月の舞台を見に行くと言っていた。

最後に湖月が歌って終わりになった。タイトルは忘れたがたぶんフェルゼンの歌だろう。宝塚は観たことがないが少女漫画に近いので私は子供の頃から見ていたらはまったかもしれない。