囃子の会2008/08/02 22:24

2008年8月2日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階18列37番

「三番叟」

立方 藤間勘十郎、笛 福原寛、脇鼓 田中傳左衛門、頭取 田中佐太郎、脇鼓 田中傳次郎、大鼓 亀井広忠

5月の三響会で勘十郎の踊りに感動したので、この三番叟がきょうの公演だけではなく最近見たすべての舞踊の中で一番楽しみだった。その期待に十分応えてくれた。

きょうは歌舞伎座の舞台の上に能舞台のような形で所作台がおいてある。下手に橋掛かり、上手に能舞台があり、花道は全く使わなかった。三番叟の囃子方は能舞台の後ろに左から大鼓の広忠、小鼓の傳次郎、佐太郎、傳左衛門、笛、の順に並んでいた。笛、小鼓の順に鳴らし、しばらくして大鼓も加わった。広忠の大鼓の音がすごくいい感じ。

橋懸かりに座っていた勘十郎がやおら立ち上がって謡いながらダァーッと舞台に走って来て踊りだす。力強く、正確。この人の踊りを見ていると踊り手の顔やスタイルを云々するのは全く邪道であると思えてくる。素踊りのせいか、歌舞伎でいくつか見た三番叟よりも狂言の逸平の三番叟に近い、豊穣の神に呼びかけている踊りに見える。鈴を持って踊りだすと、三味線が入るのでちょっと嫌だ。笛と打楽器だけの方が好きだ。

「鶴亀」

帝 梅玉、亀 萬太郎、従者 梅丸、鶴 梅枝、笛 鳳声晴由、小鼓 長十郎、傳次郎、傳左衛門、大鼓 望月太佐吉、太鼓 佐太郎

梅丸が出るので期待したが、特に感心する踊りではなかった。この中だと梅枝が際立ってうまい。

舞囃子「小袖曽我」

シテ 梅若六郎、ツレ 観世銕之丞、大鼓 亀井忠雄、小鼓 幸清次郎、笛 松田弘之

勘十郎のおとっつぁんの梅若六郎に期待したが、足が悪いような印象で、その上に太りすぎで、動きにキレがなかった。もう少し若いときに見るべきだったか。

「静と知盛」

立方 富十郎、大鼓 広忠、小鼓 傳左衛門、 太鼓 傳次郎

富十郎の素踊りを初めて見た。踊りの名手というのは見て取れるのだが、老齢のため重心が不安定になっていて「骨董にヒビが入った」状態だと思う。好きな演目なのに眠くなってしまった。

ここで40分休憩。予想より長い休憩だったが夕食をとる予定もなかったので茹で上げアズキを食べて空腹を紛らわした。

「羅生門」

立方 吉右衛門、笛 鳳声晴由、小鼓 傳左衛門、大鼓 広忠、太鼓 佐太郎

吉右衛門の踊りには全く期待していなかったが、富十郎と違ってちゃんと動けている分、見るに耐えた。最後まで見て、海老蔵と同じく真面目にきちんと踊っている点に好意を持った。

能「楊貴妃」

シテ 観世清和、ワキ 宝生閑、大鼓 亀井忠雄、小鼓 幸清次郎、笛 松田弘之

この40分が苦痛だった。楊貴妃は綺麗だが動きが極めて少なく、謡の文句も理解できないので何をしているところなのかわからない。

「老松」

立方 玉三郎

玉三郎も素踊りかと思ったが、幕が開くと芸者の格好で舞台に座っていた。立ち上がると大きい。裾のまくれ方まで計算し尽くしたような動き。玉三郎ならではの美しさを堪能できる踊りで、見ているうちに、踊りの力量なんかを云々するのは野暮で、自分の持っているすべてを使って最も美しい動きを客に見せられるのならば、それ以上何を言うことがあるか、という気持ちになった。

幕が閉まると、拍手の後で客席がどよめいた。

番外「獅子」

左から太鼓の傳次郎、大鼓の広忠、忠雄、小鼓の佐太郎、傳左衛門、笛の福原寛が半円を描くように舞台の上に座っていた。 

笛に続いて傳次郎「イヤーッ」トン、佐太郎「ヨーッ」ポン、忠雄「ハーッ」コーン、を何回か繰り返した後、山吹色の調べの傳左衛門が、時に調べを絞るキリキリという音もさせながら、打ち始める。ややあって、最後に広忠が加わった。広忠と忠雄の共演は初めてだそうだが、手がピッタリ合っていて感心した。

演奏が済んで、一度幕が下がったが、客席の拍手に応えて一度幕が上がると、6人で舞台上で頭を下げた。

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