亀井広忠プロデュース能楽囃子舞台 「三番叟」2009/10/07 23:18

2006年10月6日 日経ホール 午後7時開演 О列3番

はじめて日経ホールに行った。昔からあったところに自分が初めて行くのだと思いこんでいたが、ここは4月に開場したのだそうだ。

傾斜があって前の人の頭があまり邪魔にならなくて、椅子が立派なのは最近の劇場のトレンドか。その上にここは、前の椅子の背から、テーブルを引っ張り出せる。まるで桟敷みたい楽ちん~と喜んでいたら、「通行の邪魔になるのでテーブルはお使いにならないように」というアナウンスがあった。あれは講演会のようなものの時しか使えないのか。

きょうは広忠の大鼓で萬斎の三番叟を観るつもりでいたが、それは昨日で、きょうは両方とも、その親だった。不意をつかれた。

三番叟ではない音が聞こえてきて、アレと思ったが、広忠によれば、これは「おしらべ」というものだそうだ。知らなかった。

「三番叟」

三番叟 野村万作、千歳 野村萬斎

笛 杉信太朗、小鼓頭取 大蔵源次郎、脇鼓 古賀裕己、田邉恭資、大鼓 亀井忠雄

広忠は後見だった。

亀井忠雄は息子よりも声がかん高く、咆哮というより悲鳴のようだった。萬斎は遠くから見ても小綺麗で、とても40すぎのオッサンには見えない。萬歳の三番叟は綺麗すぎて好みに合わないが、若々しい雰囲気が千歳にはぴったりだ。狂言にもやっぱり「ニン」というものがあるのか。

野村万作の三番叟は、70代という年齢もあって、動きに萬斎のような正確さはない。その年期の入り具合が有難味だ。

この後、休憩の後に広忠がMCで出てきた。

休憩中のロビーで、普段着姿の傳左衛門、傳次郎が入ってきたのを見かけた。真中の通路より少し後ろの席に着いたようだった。佐太郎さんもいたようで、広忠は彼らを意識しながら話していた。

プログラムにはさみこんであったお知らせの中に、東京芸術劇場でやる「歌舞伎の未来」というのがあった。千之助と傳左衛門が中心のようで、ちらしには書いてないけれども仁左衛門が出るのも決まったそうた゜。11/23にやるので、「いいにざの日、と覚えてください」と言っていた。

舞囃子「猩々乱」

シテ 観世銕之丞、笛 杉信太朗、小鼓 大倉源次郎、大鼓 亀井広忠 太鼓 助川治

観世銕之丞はふつうの袴姿。謡の声が良い。猩々の動きを表す所作よりも普通の能の動きが良かった。

狂言 「末廣かり」

シテ 野村萬斎、アド 野村万之介、石田幸雄 笛 杉信太朗、小鼓 田邊恭資、大鼓 亀井広忠、太鼓 助川治

狂言は言葉が現代に近くてわかり易いと思いながら観ているわりに、最初の方は、太郎冠者は「すえひろがり」という抽象的なものを買ってくるように主人に言いつけられたんだと思っていた。「末廣かり」とは扇のことなのだ。

萬斎は、このシテも良かった。 きょうの萬斎は今まで観た中で一番良かった。