歌舞伎座さよなら公演 十月大歌舞伎 夜の部2009/10/25 23:32

2009年10月

今日は一階の後ろのはじっこで、花道の出入りと、花道のすぐ横に座っている歌舞伎座のおねえさんの動きがよく見える席だった。

「渡海屋・大物浦」

知盛が吉右衛門、典侍局が玉三郎、義経が富十郎、弁慶が段四郎。こんなにレベルが揃ったのを初めて観たような気がする。玉三郎は過不足ない端正」な演技。きりっとして品があるのが良い。最後に自決した後、すぐに何人もの男性に運ばれて奥に消えたのが玉三郎らしい気がした。。典侍局の自決の後はいつもあのような段取りだったか記憶がない。

孫のような四天王を従えて出て来た、富十郎は口跡が良くて気持ちが良い。座っている四天王の端にいた隼人が、私の席から見るとちょうど玉三郎の後ろに見えて眼福だった。

「吉野山」

菊五郎親子。去年の十一月に演舞場で観たときは松緑と菊之助だったが、松緑は今回は藤太。菊五郎の投げた笠を見事にキャッチしていた。

「四の切」

歌舞伎座の、花道のすぐ横に座っているお姉さんは、花道を役者が通るときは後ろから誰かが入って来ないように制止するように手を伸ばしている。狐忠信が本当は階段から出てくるのに客を欺くために花道のフットライトをつけて揚げ幕の音をさせて「出があるよ」と叫び声がするときには、おねえさんも、花道を人が通るときのように手を伸ばしているのだった。

欄間抜けがないので狐が出てくるところが違ったり、最後は宙乗りじゃなくて桜の木に上ったり、猿之助の型とは違うところがある。