芸術祭十月花形歌舞伎 初日 昼の部2011/10/02 22:04

2011年 10月2日 新橋演舞場 午前十一時開演 一階6列花道横

「義賢最期」

愛之助は義賢の役を松竹座、こんぴら歌舞伎で演じて、これで3回目。初めての東京公演だ。がんばれ、愛之助!

戸板倒し、仏倒れと続く最後の印象が強い演目だが、そこに行くまでがけっこう長かった。

幕あきは、待宵姫(新悟)と、継母の葵御前(春猿)が話している。「もったいなすぎるお言葉で」と義理の娘が言っているのが、嫌みなのかと思ったが、そうではなく仲は良いらしい。

千志郎が、申し次の侍をやっていた。

花道から、小万(笑三郎)、九郎助(錦吾)、太郎吉が出て来た。太郎吉は、写真から判断すると多分、河城英之介くんの方。小万の夫が七年も行方不明のわりには、もっと小さな子。

小万の夫、折平(獅童)は実は待宵姫と恋仲で、待宵姫は身ごもっている。獅童はすごくかっこよくて、顔が古風で歌舞伎向きなのに、どことなく衣装が身についてない感じがするが、全体に無難にこなしていた。

愛之助は、松竹座の初演のときは顔も台詞も仁左衛門そっくりだったが、今月は顔も本人本来の顔になり、台詞も自分のものになっている。愛之助は顔も良いし、台詞もとってもうまいから、それで良いのだと思う。義朝の髑髏を見せられてからの演技が良かった。

討手が来ると予想して娘の待宵姫に逃げるように促すとき、ためらっている娘に「落ちねばこれにて切腹しようか」と言って脅す。あれは、小金吾が若葉の内侍と六代君を逃がしたときと同じパターンだ。

太郎吉は、花道の奥を覗いて見張っていて、討手が来たと見ると「あー」と声をあげて教えるが、そのタイミングは、大人達の話が終わったタイミングと合っている。もし、自分で台詞を聞いていて判断できるとしたら凄い。何か、客にはわからない合図を送っているのだろうか。

進野次郎役の薪車が出て来た時、なんとなく逸見藤太を思い出したのだが、その後、藤太と同じ衣装の別の役の人が出て来た。

九郎助達が去った後、襖が開いて、顔に血を流し髪を乱した義賢が出てくる。立ち回りの途中に襖が運び込まれ、一枚を階段の上に置いて、その上を誰かが転がり落ちたりしていた。やがて、三枚の襖が運び込まれ、二枚を立て、その後ろで愛之助が残りの一枚の上に乗り、それを持ち上げて、二枚の上に乗せた。そして、愛之助がその上で立ちあがる。下の襖を支えている人が最後に一人になり、その人が声を上げ、襖を下手側に押す。愛之助は無事に着地した。

義賢の花道のシーンは、こんびらのときは見えなかった。倒れている義賢の上を、2人がトンボを切って跳び越えるが、最初の人は足を滑らせていた。

最後は、いろんな方向から矢が飛んでくる。それを避ける義賢。
進野次郎は、階段の下にいた義賢をひっぱり上げる。義賢は、自分の腹もろとも進野次郎の腹を刺す。上演記録を見ると、薪車は松竹座のときも同じ役だったのだ。

小万に白旗をたくし、最後のときを迎える義賢。愛之助は先月の小金吾の断末魔の台詞もうまかったが、今月も、小万に、最後を「みとどけやーーーーっ」と言ったりするときの最後の息が凄い。
笛が入って、義賢が両手を順番に開いて、spread eagleのような形になる。その後、屈みこむ。そしてもう一度立ちあがって、両手を広げ、大きく伸びあがった後、まっすぐに階段の上に身を投げた。見事な仏倒れ。愛之助の身体は、階段の上に落ちた後、少し下にずり落ちた。

息をつめて観るシリアスな演目はこれだけで、残りは昼も夜も楽しい演目。

「京人形」

笑也のこんな目立つ役を観たのは二十年ぶりくらいか。京人形の役だが、人形の踊りが、普通の人形振りのような文楽人形のような動きではなく、バレエに出てくるような人形の動きだった。身体が前後に揺れる。鏡を持っている時は、人間の女のような柔らかい動きになる。

主役は左甚五郎役の右近で、右近はもちろんうまいのだが、京人形の踊りの方が珍しくて印象に残った。

おかみさんの役で、この幕にも笑三郎が続けて出る。最後は猿弥、春猿、とおもだかの役者が勢ぞろいだったし、立ち回りがあったので懐かしさを感じた。

「一心太助」

花道の奥で声がしたと思ったら、飯台をかついで魚屋の格好をした獅童が出て来た。花道で立ち止まって、「芸術祭十月花形歌舞伎にお運びいただいてありがとうございます」と挨拶する。その後、女房お仲役の亀治郎が、下駄をはいて走り出て来た。忘れ物だといって手ぬぐいを渡した後、新婚らしくいちゃつく。

一心太助というのは名前だけ知っていて話は全然知らなかった。映画ではいろんなシリーズがあったのかもしれないが、今月の話は、太助と、瓜二つの将軍家光が入れ替わる話だった。すごく面白くて、笑えた。

獅童は、魚屋の太助は予想通りかっこよかったが、家光が意外なほど良かった。肌が白くてなめらかなので育ちが良さそうだし、品があって、お腹が減ったかときかれて「減った」と答えるところなどが可愛い。最後の方の台詞、「鳥居、青山、余を余と知って刃を向けおったな!」は痺れた。

命を狙われていて、周囲が食事に神経をとがらしていて、お腹が空いている、ということで、大久保彦左衛門(猿弥)が持ってきた寿司を二つ、続けて口に入れる。そのまま台詞を言っていたが、太助の話を聞いて、「一度でいいから替ってみたい」を、「一度でいいからか」のところで吹き出して、口の中のものが出てしまった。場内爆笑だった。

家光の身を守るために太助と入れ替わることになる。魚屋の格好で、将軍の雰囲気で花道に立っていると、それだけで笑いがこみ上げてくる。獅童はやっぱり天才だ。

将軍の格好で城内にいても、おどおどしたり怯えたりして、ちゃんと別人とわかる。御台所の役は、高麗蔵。先月の若葉の内侍だが、今月の御台所はとても面白い役だった。先月の小金吾は鳥居甲斐守という将軍暗殺を企てる悪役で、御台所に叱られる。

我當は、将軍の味方の松平伊豆守役。今月は足が悪いのが目立たなかった。仁左衛門が最近すっかり老人の顔になったのに比べると、我當は年のわりに若々しい顔をしている。声はいつも朗々と響く。

吉弥は御台所に仕えているが、鳥居甲斐守の一味の役。鳥居甲斐守を誘惑しようと、胸のあたりをなでまわしていたが、ふられる。吉弥の濡場は超色っぽいのに、見られなくて残念。

亀治郎のお仲は、「将軍病」にかかって頭がおかしくなった太助(実は家光)に、「あんたがしっかりしてくれなくちゃー」と金切り声をあげて泣く。コメディにぴったりで、この役が昼夜を通じて一番亀治郎に似合っていた。

最後のシーンで、魚屋の格好をした家光が引っ込んだ後、将軍の白い着物を着て片肌脱いで裾をからげた太助が花道から出てきて、上手にはける。その後、魚屋の格好をした家光が将軍に戻って籠に乗る。だから、将軍の格好の太助がもう一度出てくることを期待していたのだが、なぜか出て来たときは魚屋の格好。納得できない。

芸術祭十月花形歌舞伎 初日 夜の部2011/10/04 01:25

2011年 10月2日 新橋演舞場 午後4時半開演 一階3列真ん中

「小栗判官」

段四郎と亀治郎が久しぶりに他のおもだかの役者達といっしょに芝居をするのを観られて嬉しかった。

猿之助の復活狂言のすべてが面白かったとは思わない。しかし、小栗判官は面白いものの代表格で、誰に見せても面白いと確信していたから、会社の同僚も誘ったし、外人も連れて行ったことがある。幕見席が満員で全幕立ち通しでも文句はなかった。残念ながら今月の小栗判官には、そこまで人を興奮させる力はないかもしれない。

大きな理由は、亀治郎が小栗判官のような正統派のヒーローには向かないことだ。顔が子供っぽくて、小栗判官の花道の出でも大人の男が出て来た感じがしなくて、気持が盛り上がらない。
亀治郎は今年の正月にやった「黒手組曲輪達引」 の権九郎や、こんぴらでやった「敵討天下茶屋聚」 の元右衛門のような小悪党は良い。 猿之助しかスターがいないような一座ではなくなっているのだから、亀治郎が猿之助を襲名しても、亀治郎一人の奮闘公演にする必要はない。亀治郎は自分のニンでないものは避けるのが、自分のためにも客のためにもなるはずだ。

亀治郎は役者としては猿之助よりうまいと思う。猿之助を襲名することも心からめでたいと思う。猿之助の名前に縛られずに、役者としての自分の持ち味を大事にしてほしい。

今回の照手姫は笑也で、前回観たときと同じ。小栗判官が代替わりしたのに、笑也が相変わらず若くて綺麗なのは驚異的だ。最初に観たときは笑也はお駒の役で、可愛かった。その時の照手は当時の児太郎。

照手の叔父で悪役の横山大膳は段四郎。昔の猿之助歌舞伎の雰囲気が盛り上がる。息子の次郎と三郎は猿弥と薪車。薪車は先月の梶原は閻魔大王のような顔だったのに、今月の赤っ面の顔は意外におとなしい。


漁師浪七宅の場の爆笑シーン。 矢橋の橋蔵役は獅童。ボロの衣装で、歯が抜けたようなおかしな化粧で杖をついて出てくるが、それでも、いつもの獅童とそんなにかけはなれた感じはしない。話自体が可笑しいので、ここは多分誰がやっても笑える。代官に化けて(?)出て来たときの、顔の前面だけ真っ白に塗ったような化粧が、獅童だと、ビジュアル系バンドのメンバーのように見える。最後は、「あまりにも役が悪すぎる」とこぼして、音楽が鳴り、それに乗って踊った。獅童が去った後、鬼瓦の胴八役の右近が「何が細マッチョや」。 

矢橋の橋蔵と言えば、宗十郎が忘れられない。常日ごろ女形をやる人が、汚ないなりで出てくるのが衝撃的だった。最後のこぼすところは「これも全部、猿之助が悪いんですよ」と言っていた。

この場では、四郎蔵が、かんざしを持って畳の下から飛び出してくる絵が頭に焼きついていて、猿弥がかんざしを手に持った瞬間に笑いがこみ上げて来た。

浪七の最後のシーンは、出て来た岩を見て俊寛を思い出したので、コロコロ転がるかもと思ったら案の定転がった。最後、頭を下にして岩肌を滑り落ち、途中で止まって幕になるのはかっこいい。いかにも猿之助歌舞伎だ。

お駒が出る幕は好きなのに、不覚にも奥座敷の場の途中で寝てしまった。お槇がお駒を手にかける前に目が覚めたが。もう一回見る予定なので、そのときにしっかり見たい。

次の場では、歩けなくなった小栗判官を車にのせ、照手姫が引いている。判官の身体を治すため熊野の霊湯にたどりついた。そこに遊行上人が現れる。愛之助は美坊主だった。上人の読経で判官の病は癒え、絵馬の白馬を本物の白馬にして、宙乗りになる。

久しぶりにこの一座で観る宙乗りだ。白馬に乗った判官と照手の影が壁に映っていた。亀治郎は猿之助がやったように、わざと馬の頭を上下に揺すったり、落ちそうになるふりをしたりしながら、三階に消えた。

最後の大滝の場は、前に観たときは滝の下に大きな本水を使った池があって、そこで立ち回りがあったような気がする。あそこで最高に気持が盛り上がった後で、勢ぞろいだった。筋書きを読んだら、猿之助が時間を短くするようにアドバイスしたようだが、客としては楽しみが一つ減ってしまった。

勢ぞろいでは、上杉安房守役の獅童がうって変わって綺麗な姿だったのが嬉しかった。亀治郎の「こんにちはこれぎり」で終わった。

日生劇場十月公演 坂東玉三郎特別舞踊公演2011/10/16 02:21

2011年 10月14日 日生劇場 午後6時半開演 1階D列27番

金曜の夜、勤め帰りでちょっと眠いが、良い席で良かった。玉三郎の表情や、きれいな指がよく見えた。

「傾城」

幕が開くと、暗闇に長唄の声が響き、暗闇の向こうは吉原仲野町の風景だ。 明るくなると、花魁の格好の玉三郎が現れて、功一の方に手を乗せて歩く。揚巻の花魁道中のようだ。外八文字もしっかり見えた。

「藤娘」

幕あきはまた、暗闇の中の長唄。藤娘の暗闇というと、二十年以上前、数ヶ月歌舞伎座に出なかった玉三郎が久しぶりに出たとき、あの暗闇に玉三郎がいるのだと思うと嬉しくて、同じ思いの客が多かったのか、自然に拍手が沸いたのが忘れられない。きょうは、暗闇のときは静かで、明るくなってパッと華やかな舞台が見えた瞬間に拍手。

いつもは松の木は真ん中にあるような気がするが、きょうは上手。その後ろが玉三郎が衣装を変える。

玉三郎は、酔った様子を見せる踊りが一番玉三郎らしくて絶品だった。芸者姿が見たくなった。玉三郎は藤娘の衣装でもやっぱり藤おばさんだし、上手、下手、中央、と客席に向かってお辞儀するのは、可愛いが、今ではややぶりっ子めいている。

「楊貴妃」

後ろに薄いカーテンのような幕があって、現れたのは方士役の弥十郎。弥十郎の踊りを見たのは初めてかも。
楊貴妃役の玉三郎は薄い幕の向こうから現れた。髪飾りがとても綺麗だ、楊貴妃の役や踊りは何回か見たことがあるが、今日は十分近い席だったので、じっくり見た。髪飾りというより冠か帽子のように頭を包んでして、後ろも美しい。あの髪飾りの形が玉三郎の顔の形によく似合う。

二枚の扇を使って美しく舞った。「天にありては比翼の鳥、地にありては連理の枝」のような耳慣れた歌の文句が聞き取れた。
最後は手が隠れる長い袖を動かして舞いながら、玉三郎が自分で歌っていた。
憂き世なれども恋しや昔 はかなや別れの蓬莱の 台に
伏し沈みてぞ留まりける

コンサートを思い出した。また歌を聴きたい。

最後にカーテンコールがあった。

芸術祭十月花形歌舞伎 夜の部2011/10/23 00:00

2011年10月22日 新橋演舞場午後4時半開演 1階4列17番

「小栗判官」

きょうは睡眠が足りていたので途中で眠らなかった。素直に楽しめた。

「序幕」

小栗判官が出てくるまでが、結構長い。今月、笑也を再発見した。初めて観たとき、笑也は二十代で、可愛い女の子の印象だった。大きい役をやるのを久しぶりに観たが、相変わらず綺麗だが年増女になって、多少腹黒かもしれないキャラがよくわかった。でも魅力がある。

段四郎が体調不良で休演なので、横山大膳は右近。右近はうまいけれども、段四郎の方が大物感がある。髪の色は段四郎と同じで、灰色にしている。

小栗判官役の亀治郎が花道から出てくると盛大な拍手が湧く。熱心に拍手を送っている人々を見ていると胸が熱くなる。

荒馬の鬼鹿毛を調教するシーンがたっぷりあって楽しい。亀治郎が真ん中で見得を切っていても、下手の馬の方に目が行く。後ろ脚で立ちあがるときは、後ろの足役の人が全部持ち上げてるのだと思うとすごい。小栗判官が背に乗って手綱をとると、首を左右に振ってイヤイヤをするのが可愛かった。

竹三郎は動きが機敏だ。この幕の最後に花道から出てきて、最後は鬼鹿毛に乗った小栗判官といっしょに見得を切り、先導して花道を引き上げる。

「二幕目」

この幕が一番見ごたえがある。

前半は喜劇。

獅童は矢橋の橋蔵役を初日よりも練ってきた。下手で家の窓から「胴八、胴八」と呼び、戸を片づけて持っていく大道具の人に会釈して舞台の真ん中に来た。言い立ては、携帯が時刻を教えてくれるようなというか、外国人が日本語を話しているようなというか、自然ではないしゃべり方にしていた。獅童は、さすがに声優もやるだけあって、声やしゃべり方を調節するのがうまい。

胴八(右近)は橋蔵に、浪七(亀治郎)が「これは」と答えるから、その後、こう言えと教えたのだが、浪七は目をつぶって黙ったままだ。橋蔵は浪七の近くに行って、「これは、と言え」と何度も言う。獅童が、いろんな風に「これは」というので、目をつぶっている亀治郎が一度小さくプッと吹き出していた。獅童は「ほっぺたがピクピクしてる」と言った。

獅童は、花道を引き揚げるとき、「ここで転んで、このまま引っ込むんじゃ、あんまり役が悪すぎる」と愚痴った。「亀ちゃんは来年襲名だし、愛ちゃんは熱愛だしね」 客席から「頑張って」と声が飛ぶ。それに「頑張ってって言われても・・」と返す。音楽がかかって踊った後の拍手がすごく、「どうしたんだこれ、今月一番だよ」。「もう一回」と声がかかると、「ここ、温泉の宴会場じゃないんだから」

猿弥に「頼むから帰ってくれ」と言われ、最後は、手拍子に乗って、客席に手を振りながら引っ込んだ。いろいろ「やっちゃえる」のが、獅童の才能なんだろう。

この後、舞台はシリアスな展開になる。次の舞台装置が整う前の、幕外の漁師四人の波づくし、エグザイルのような動きが楽しかった。


「三幕目」

初日に途中から眠ってしまった幕。

亀三郎はお駒と小栗判官の早変わり。

笑三郎は落ち着いた母親ぶりが役にぴったりだった。

照手姫役の笑也が、なんとなく性格悪そうでいい。

猿之助が小栗判官をやったときはお駒は別の役者だったので、照手と小栗とお駒が座敷にいて、お駒がどうしても小栗といっしょになるといって照手を長い袖で叩いたりしていじめ、最後に母のお槇が刺し殺すシーンがあったように記憶している。あっちの方が面白かった。

薪車の赤っ面はインパクトが弱いから、あれが愛之助で、遊行上人の役は薪車で良いのではないかと思ったが、遊行上人の所作を見たら、やっぱり薪車では無理かと思った。つまらない役だとは思うのだが、ある程度踊れないとできなそう。

後ろに飾ってある絵馬の上半分が下にめくれると馬の部分が黒くなり、後ろに宙乗り用の白馬が現れる。

花道の際で小栗と照手は白馬に乗って宙乗りの態勢に入り、遊行上人は舞台の真中で右腕をグルグルッと回して数珠を腕に巻きつけ、セリで下がって行く。

最後は大滝の前での勢ぞろい。うってかわって綺麗な上杉安房守の獅童。男役の笑三郎、春猿が珍しかった。亀治郎の「こんにちはこれぎり」の口上の後、勢ぞろいした役者達の上からドカ雪が落ち、小さい紙の雪片が客席にも飛んできた。