スカイツリー歌舞伎2014/05/26 14:50

2014年5月24日 午後1時~ スカイアリーナ D列34番

行ったことがなかった最寄りの東武ストアに片道30分かけて歩いて行って応募葉書をもらいレシートを貼りつけて応募した。2通しか出さなかったが、自分以外に応募葉書を取ってる様子がないので当たるかも、と思っていたら案の定当たった。

押上というところに初めて行った。スカイツリータウンの4階の屋外、スカイアリーナに開演ギリギリくらいに行って招待券を出したら、代わりにお土産の袋と座席番号を書いたカードをくれた。
お土産はアサヒスーパードライドライプレミアム2缶、Mintiaの白と黒、スカイツリータウンのポストカード、東京ソラマチ2周年記念ピンバッジで、袋には三人吉三と錦秋公演のチラシも入っていた。

私の席は一番下手の最前列通路側。遅く行ったわりには舞台に近くて良い席だった。

すぐ始まったのが和太鼓と津軽三味線の演奏で「武蔵」。芸談のときに「ムサシ」はスカイツリーの634メートルにちなんでるのだと言っていたが、言われて初めて気づいた。

次が七之助と松也の「団子売」。舞台の左右は黒御簾風の囲いがしつらえてある。「武蔵」の後スタッフがワラワラと出て来て太鼓を片づけたり、後ろに、天神橋の書割が掛けたりした。お囃子の人たちが上手に座った。

七之助と松也は2人とも踊りより芝居がうまい人たちだから踊りにはあまり期待していない。それでも若くて綺麗で気が合ってる二人なので華やいで楽しい雰囲気だった。七之助が上の方を指して2人が後ろを見上げたのは、後ろの液晶画面を見て「映ってるね」と言い合っている様子かと思ってしまったが、芸談のときに、スカイツリーを見上げた振りだと言っていた。特別な振りを追加したために松也が振りを忘れ、本当は七之助の肩を叩く振りがあるのに、「こいつ、なかなか来ねえな」と思っていたと七之助。後ろの人が見づらいから画面がついていたのだろうが、肉眼で見るのとは違う角度が見えるので嬉しかった。踊りのときはいろんな角度からとった画面が後ろに見えたら楽しいだろう。

15分休憩の後、「芸談」。2人ともスーツに着替えていた。15分で化粧を落として着替えるなんてとても無理だから「団子売」の格好のままで出たいと松也は言ったらしいが、七之助は経験値が高く、「15分もあるの?余裕」という感じだったそうだ。でも「人間、やってみればできるもんですねえ」という松也。
きのうの夜、この場所で舞台稽古があって、七之助は恥ずかしかったという。松也は昨夜初めてスカイツリーに上がり、夜景が予想外に素晴らしくて感動した。
「団子売」は七之助は何度も踊っているが兄と踊るときは兄の方が女だった。松也といっしょに踊ること自体初めて。松也は野外で踊ったのは初めてだが七之助は野外の経験は多い。水回りがないのが不便。きょうもテントの中で着替えをした。松也は金盥で身体を洗ったのは初めて。
野外で「俊寛」を演じたときは歌舞伎座の舞台にはない本物の「砂」を手から落とす感覚がわかったり、遠くから近づいてくるものを見る感覚を覚えたり、ためになったそうだ。

きょうはアサヒビールの主催なのでテーブルの上に缶ビールが置いてある。
司会の女性「どんなときにビールを飲みますか」
七之助「ビールはアサヒですよ。きょうは兄は敵です」
松也「そういうのはいやらしいですけどね...。僕は実はビールはアサヒしか飲んだことがないんです」
司会「...すごいですね」

七之助と松也は仲が良いので、きょうも息が合っていたし、来月の「コクーン」の「三人吉三」でもうまくいっている。お嬢が奪った金をお坊がよこせといい、いや渡せねえ、ともめる場面は普通は三味線に乗ってやるが、今回はその演奏がない。気心が知れない同士だとぎこちなくなるかもしれないが、2人の場合は遠慮なくつかみ合いのようにやっている。それを見ている和尚役の勘九郎も、止めに入るところで気が入っている。菊五郎にお嬢を教わったときにお嬢が刀を持って決まる見得は柄を持ち上げてちゃいけないよ、と言われた理由が、わかった。リアルでは手が下になるから。

2人それぞれのこれからの予定を言ったが、コクーンはチケットが残ってないそうで、観たい方は当日券に並んでください、ということだった。

後ろの通路を歩いているときにこちらに気づいて立ち止まってのぞき込んでいる人が結構いたが、たまたま松也が「きょうはあちらにも・・・」と振り返ったときには少なくなっていて松也ががっかりしていた。

七之助の芸談はいつも勘九郎といっしょだったので控え目な人という印象だったが、今回のように年下の松也といっしょだと饒舌だった。

最後に七之助、松也の順で立って観客に礼を言い、引き揚げて行った。松也は、「これいいですか」と缶ビールをひとつ持ち帰った。