三月大歌舞伎 夜の部2015/03/16 22:15

2015年3月8日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階2列22番

「車引」

愛之助の梅王丸を観るのは3回目だが、菊之助の桜丸、染五郎の松王丸だと、なんか一人違う感じがする。美声だが低い声と高い声が混じっている愛之助の声より、杉王丸をやっている萬太郎の声の方が今月の梅王丸としてはしっくりくるような気がした。
最後に決まる形は、愛之助だと苦しい。今月の座組だったら松緑が梅王丸、愛之助が源蔵をやった方が二人とも楽だろう。勉強しなさいということだろうか。

染五郎の松王丸は貫禄があった。「車引」は梅王丸の方が大きな役だと思っていたが、染五郎が主役だと感じてしまう。

「賀の祝」

愛之助はこっちの方が良い。台詞が多く、それも上方弁なのでアドバンテージがある。兄弟喧嘩で米俵を持ち上げたりする姿が似合う。それでも途中でいなくなる染五郎の松王丸の方がやっぱり主役だと感じる。

この幕は嫁たちが出てくるのが好きだ。松王女房の孝太郎はこの座組みだともうベテランで、梅王女房の新悟とは嫁姑くらいの年齢差があるが、新悟はしっとりしっかりしているので、年齢差は感じない。舅の白太夫と連れ立って花道から出てくる、桜丸女房の梅枝。「加茂堤」に続いて梅枝が一人で見せる場面があるが、危なげがなく、華やかさもある。

「寺子屋」

涎くりは廣太郎。いつもながらの緩い雰囲気でかわいい。寺入りで千代の所作を真似るところは、種之助のようなうまさはないが、かわいくて面白い。

涎くりを叱る戸浪は若い壱太郎だが、貫録がある。源蔵に菅秀才を守る計画を打ち明けられて同調する。昼の部と配役は違っているが、昼の部の「筆法伝授」で背負って来た子供を守ろうとしている。瑞々しいが一本芯の通った、良い戸浪だったと思う。孝太郎の千代は、お仕置きを受けている涎くりを戸浪に許してもらおうと面倒を見るところが、おばさんらしくていい。

松緑の源蔵は花道を歩いてくるところは良いが、子供たちの顔を見回して言う最初の台詞から下手。台詞はずーっと下手で、松王丸が来て動きが主体になると、所作はやたらに綺麗。首実検の松王丸を見据えてつま先を立てている足の裏が目についた。

松王丸の染五郎は、駕籠から降りて来て咳込むところが下手だと思った。あとは普通で、一度帰った後に再び源蔵宅を訪れて、大泣きする前に千代に「家でさんざん吠えたではないか」と言うあたりが気持ちが伝わって来て染五郎らしいと思った。

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