七月花形歌舞伎 昼の部2016/07/21 22:22

2016年7月17日 歌舞伎座 午前11時開演 1階13列43番

「柳影澤蛍火」

柳沢吉保の話。吉保が綱吉ではなく美男好みの桂昌院に気に入られて出世する、というのが面白い。イケメンの海老蔵は役にはまっていて、桂昌院の役は国宝になったばかりの東蔵が楽しそうに演じている。
綱吉役は中車。中車にしては印象が薄い。

護持院隆光役の猿之助がすごくうまかった。客に受ける台詞術を心得ている。

最後は六義園で、猿之助と海老蔵の対決の後、おさめ役の右近と海老蔵の対決になって、そこはなかなか盛り上がる。権太夫役の猿弥を殺すあたりが、話としては少しだれたと思う。

「流星」

今月は、これが観たかった。綺麗でうまい、織姫役の右近と、衣装が似合っていた牽牛の巳之助。この二人を前座に、猿之助の流星が花道から現れる。七三での所作からして、うまい人は一味違う。

後見は段一郎が頑張った。夫婦、赤ん坊、姑、と面をとっかえひっかえ、役を演じ分けながら踊る。赤ん坊のときが一番客席が沸いた。

この後、面をつけないでしばらく踊るが、それがまた滅法うまい。うまい人の、全盛期の踊りを観られる幸せを感じながら、ずっと足の動きを見ていた。

最後は宙乗りで引っ込む。踊りを堪能した客から万来の拍手。これが、猿之助の宙乗りのいいところ。宙乗りの間、たっぷり拍手で称えられて客も嬉しいし、猿之助も満足だろう。

三階に消える前に、壁に映る猿之助の影が見えた。