第二回 双蝶会2016/08/29 23:34

2016年8月24日 国立劇場小劇場 午後1時開演 13列34番

入り口でプログラムを手渡された。

「車引」

梅王丸と桜丸、編み笠で顔は見えないが、又五郎に似た声は種之助に違いない。桜丸はどこかで聞いた声。梅丸だ! 
梅丸の繊細な横顔が可愛かった。声はかなり安定してきた。種之助はやや絶叫気味。
歌昇の松王丸は良かった。気のせいか正月に観た獅童の松王丸に顔が似ている。

「寺子屋」

蝶三郎のよだれくりは関西喜劇風。
種之助と米吉の源蔵、戸波夫婦は、まだ若い感じがする。
歌昇の松王丸は、小柄でどうかなと思ったが、最初の派手な衣装が似合っていて立派だった。咳の仕方は下手だと思った。小太郎が首を落とされる物音を聞いてよろめくところや、首実検の「でかした源蔵、よく討った」のところは良かった。
直近で観た「寺子屋」の首実検が成田屋型だったから、普通のはこういうやり方だよな、とまじまじと見てしまった。
松王丸と春藤玄蕃が去って、若君を戸棚から出したところで、膝立ちの種之助が若君の頭を包み込むように両腕をまわした。
千代役の梅枝は、大人が出て来たと思った。本公演での戸波が素晴らしかったし、今回の千代も本公演レベル。
義太夫に乗った嘆きのシーンは踊りのうまい梅枝ならではの美しさ。その間に脱いだ着物を着なおしている源蔵が目に入った。いつもと舞台のサイズが違うので、いつもは見逃してしまう細部に気づく。
戸波が首のない小太郎の亡骸を抱えて出てくる。親だったら泣き崩れる瞬間だろう。小太郎の亡骸を入れた籠の方に行こうとする千代を止める松王丸。
源蔵が手を合わせているときは、松王丸の書いた筋書通り小太郎を殺すはめになった源蔵を思った。
歌昇には悲劇が似合うというか、悲劇の主人公を演じる歌昇を見たいと願っている私にとっては、後半の松王丸もとても良かった。
歌昇と梅枝、同じときに初舞台を観た二人が、こんなに立派に松王丸と千代を演じるのを観られるのは、長く歌舞伎を観てきたことへのご褒美か。