吉例顔見世大歌舞伎 初日 夜の部2016/11/21 22:58

2016年11月1日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階13列27番

「御浜御殿綱豊卿」

助右衛門は私の中で染五郎の出世作である。弱っちい助右衛門が綱豊に言い返すところが痛快だった。今回は前回までに比べてはじめから線が太い助右衛門で、後半の意外性が薄くなった。それでも、仁左衛門と染五郎の綱豊・助右衛門は現時点でのベストコンビだと思う。

仁左衛門の綱豊は孝夫時代最後の時から毎回観てきたが、輝くばかりの美貌と美声の綱豊がうまく枯れて、年寄りの意地悪さも感じられて、いい味が出て来た。お喜世の手を握って話しているとき、反対側の手を伸ばすと鴬色の着物の胸のところの金色の模様が流れるように見えて綺麗だ。筋書を読んだり台詞の意味を深く考えたりしない人間だが、何度も観ているとさすがに大体の内容が頭に入って、綱豊の討入りに対する期待がそこここに現れ、助右衛門と話して確かめようとしているのもわかる。

お喜世役の梅枝は危なげないが、可愛げはない。こういう役には向かないのかも。江島の時蔵がいかにも上流婦人で私好み。竹三郎の浦尾が意地悪そうな年寄りで良い。

「松嶋屋」と声が掛かっていた巡礼は仁左衛門の孫だろう。

「口上」
左團次が期待にたがわぬ愉快な口上だったのと、梅玉が先月と同じことを言っていたのが印象的だった。

「盛綱陣屋」
芝翫も左近も良かったが、時政役の彦三郎が印象的だった。口上のときは舌がもつれるような感じであぶなかったが、それが台詞になると常人ではない雰囲気を醸し出していた。花道から去るときの、やや前傾姿勢で、滑らかではない歩き方も、不思議な力のある老人という感じで良かった。

「芝翫奴」
三人兄弟が、何日かずつ順番に踊るらしい。きょうは長男の橋之助。すごく頑張って踊っているが、あまりうまくはない。

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