伊賀越道中双六2017/04/01 01:17

2017年3月16日 国立劇場大劇場 12時開演 1階9列45番

序幕はお谷(雀右衛門)の実家。「正宗」を奪おうとしてお谷の父、和田行家(橘太郎)を殺す沢井股五郎役の錦之助がふてぶてしくてはまり役。二枚目なので気づかなかったのが、今まで観た中で一番錦之助に向いた役かも。愛之助の綱豊相手に助右衛門をやったとき、やっぱり年上だけあって貫禄がある、と思ったが、あれは年齢は関係なく錦之助の持ち味だったのだろう。

行家の弟子、丹右衛門役は又五郎。円覚寺に匿われた股五郎に縄をかけて連れて行く途中で、城五郎(吉之丞)側の武士たちに奪われる。股五郎は野守之助(歌昇)といっしょに逃げる。

瀕死の丹右衛門のところにお谷、弟の志津馬(菊之助)、池添孫八(隼人)が駆け付ける。丹右衛門は志津馬に、剣の達人政右衛門(吉右衛門)の力を借りて敵を討てと言い残して死ぬ。

三幕目は、藤川の新関にある茶店。茶店の娘お紺役の米吉の赤い帯が、舞妓の帯を思い出すように長めに下がっているので、一月の「錣引」 の派手な簪を思い出した。お紺は、志津馬に一目惚れする。
茶店の前を、城五郎の奴助平(又五郎)が密書を持って通りかかる。又五郎二役目の助平は遠眼鏡を覗いて見える景色に悶絶したりする滑稽な役で、本領発揮。だんまりで縄跳びをするあたりで笑った。遠眼鏡を覗いている隙に密書は志津馬にに奪われ、政右衛門の後をついて行くが捕手頭(種之助)につかまる。

四幕目が、いよいよ「岡崎」。岡崎にあるお袖の実家が舞台となる。お袖は志津馬と一夜を過ごそうと家に連れて行くが母のおつや(東蔵)はダメだという。お袖には許婚がいるからだ。
志津馬は自分を股五郎と名乗り、奪った密書の宛先である幸兵衛を探している、という。実はお袖の父が幸兵衛(歌六)だった。
関所破りをした政右衛門はこの家の前で捕手に囲まれる。ここで吉右衛門と捕手の立ち廻りがある。それを見ていた幸兵衛は、政右衛門が昔の弟子の庄太郎だと気づいて、家に入れ、股五郎の後ろ盾になってくれるように頼む。政右衛門は承知したが、幸兵衛は庄太郎が股五郎を仇と狙う政右衛門であることは知らない。
幸兵衛が外出した後、政右衛門はおつやに頼まれて莨の葉を刻みはじめた。部屋の隅に干してあったのを、魚かなんかかと思って見ていたが、莨の葉だった。そうしているうちに、巡礼姿のお谷が赤ん坊を抱えて門の外に来て、そこで癪を起して倒れる。おつやは家の中に入れようとするが、素性が知れることを恐れた政右衛門は、それを止める。おつやは赤ん坊だけ中に入れる。外に出た政右衛門は、お谷のために火を起こし、口移しで薬を飲ましてやる。お谷は意識が戻って政右衛門に縋りつくが、政右衛門は立ち去るように言う。
幸兵衛が帰宅し、おつやが持ってきた赤ん坊の臍の緒書きを見ると、政右衛門の子、と書いてある。幸兵衛は、人質がとれたと喜ぶ。それを聞いて政右衛門は、赤ん坊の喉を刺して殺し、庭に投げ捨てる。そして、人質を利用すべきではない、と言う。
幸兵衛は志津馬は股五郎ではないと見破っていた。そして、目に涙を浮かべている政右衛門を見て、政右衛門であることにも気づいた。我が子を殺してまで敵討ちをしようとする気持ちに討たれ、股五郎の味方はしない、と宣言する。
家に入って来たお谷は我が子の死骸を書き抱いて嘆き悲しむ。

最後は伊賀上野の敵討ちの場。主人公は政右衛門だが、隼人と種之助の立ち廻りがかっこいい。

役者がそれぞれはまり役で、見応えがあって面白かった。