芸術祭十月大歌舞伎 初日 夜の部2018/10/02 01:24

2018年10月1日 歌舞伎座 午後4時半開演 2階東11の1番

「宮島のだんまり」
奴団平役の隼人は見映えがする。

「吉野山」
今月、私が一番観たいのは勘九郎の踊りだ。
スッポンから現れた狐忠信の踊りは素晴らしくて、良い踊りを観たい欲求が久しぶりに満たされた。勘九郎の忠信は静に対してとても丁寧な態度なので、しっかり主従に見える。忠信が静に踊りの振りを教えるところ、男雛女雛の形になるところは綺麗で楽しかったし、「待ってました」と声がかかって始まる、合戦を物語る忠信の踊りは圧巻だった。
早見藤太は巳之助。一行全体と藤太の動きがよく見えるので、この席をとってよかった。

「助六」
助六の出端をよく見たいからこの席をとったわけだが、仁左衛門の老いも見えてしまった。タタタタッ、と出て来ると記憶しているのに、タッタッタッタと出てきて、やっぱり転ばないように気をつけているんだ、と思った。
今回の助六は、七之助に揚巻をさせるためにやるのだろう。今月の全演目の役者の中で、一番ドキドキしているのは七之助だろう。意休に対する悪態が始まるときには「ガンバレ、七之助」と、弁慶初役のときの新之助以来久しぶりに心の中で応援の声をかけた。七之助はそれに応えてがんばってくれた。意休に「ふんっ」という顔をして引っ込むあたりはイマイチ。
勘九郎の白酒売りは無理がなくうまかった。しゃべり方が勘三郎に似ていると思った。

團十郎襲名で初めて「助六」を観たから感じるのかもしれないが、もう少し祝祭感がないと「助六」らしくない。

芸術祭十月大歌舞伎 昼の部2018/10/10 01:04

2018年10月6日 歌舞伎座 午前11時開演 1階17列17番

「三人吉三 大川端の場」

七之助のお嬢を観るのは三度目。巳之助のお坊は二度目だ。巳之助がお坊のときはお嬢は隼人だったな、と浅草のあれこれを思い出した。
おとせ役の鶴松は、うまいけれども、あまり若い娘っぽくない。
七之助のお嬢は、「おいらは泥棒だよ」とガラッと男になるところがはっきりしていていい。
獅童の和尚は、これより後の場が観たい。この場だと、百両は俺がもらっとく、というのが獅童らしくちゃっかりしてるな、と笑いをとれる程度。

「大江山酒吞童子」
この公演のチケットは勘九郎の酒吞童子を観るために買った。
濯ぎ女わらび役の種之助の踊りまで観られて嬉しかった。

「佐倉義民伝」
もっと熱血系の話かと想像していたが静かだった。物質的に貧しい時代だったということはよくわかった。
いろんな意味で動きが少ない芝居だった。