二月大歌舞伎 昼の部 初日2019/02/07 00:10

2018年2月2日 歌舞伎座 午前11時開演 1階12列2番

「すし屋」
松緑は権太が柄に合って、すし桶を抱えて花道に出たあたり等、所作が綺麗で見応えがあった。

「暗闇の丑松」
観るのはたぶん三度目だが、はじめて全体がつながって頭に入った。救いようのない暗い話、というネガティブな受け止め方でなく、暗いストーリーを歌舞伎の観客に描き出して見せた話なんだな、と好意的な受け止め方ができた。
菊五郎は走る場面などは完全に老人の動きだが、女郎になったお米(時蔵)に腹を立てているのがわかるとっくりの動かし方とか、三吉(片岡亀蔵)に酒を飲ませながら四郎兵衛がお米にしたことを聞き出して顔を曇らせて行くところとかで、この話の要である丑松の気持ちを観客に十分わからせてくれた。

「団子売」
芝翫と孝太郎の夫婦の団子売。花道で、観客に愛想よくお辞儀をする。二人ともそこそこ踊りがうまく、楽しい演目だった。

二月大歌舞伎 夜の部2019/02/08 00:38

2019年2月6日 歌舞伎座 午後4時半開演 3階4列1番

「熊谷陣屋」
食傷気味の「熊谷陣屋」で漫然と観ていたが、菊之助の義経が出てきて後半になるにつれ、芝居の質の高さに感動した。国立で「岡崎」を観たときのように、全員がニンに合った役をやっている感じがした。菊之助は風邪を引いたようでやや鼻声だったが、それを忘れさせるほどの力があった。

「當年祝春駒」
梅丸は先月に続いて化粧坂少将。今月は舞踊で動くのが嬉しい。
曽我五郎役の左近の踊りを期待していたが、凡庸なのでがっかり。

「名月八幡祭」
新助が出て来る前に、三次(仁左衛門)が美代吉(玉三郎)に金を無心するシーンがある。玉三郎の美代吉は昭和の御代に観たがその時の三次は橋之助で、孝夫の三次は観たことがない。雰囲気的に桜姫の権助とか、三五大切の三五のような、私が一番観たいタイプの孝夫の役だ。5両になるという簪を頭にさして出て行く、色っぽい仁左衛門。
新助役の松緑は、口調は丁寧だが身体全体に「腰が低い」雰囲気が足りないと思った。
美代吉は我儘な女だがそれが許せてしまう玉三郎、そして、その恋人であるのが当然な仁左衛門。この二人に対すると、新助は気の毒だが美代吉をものにすることは「ありえない」ことに見える。
美代吉を刺す前に狂っているときは、追いつめられて狂ってしまった、というより、初めからそういう精神的傾向があった人なのかもしれない、と思えてしまう。
最後は吉右衛門のときと同じく、祭りの若い衆に担ぎ上げられて花道を去った。