吉例顔見世大歌舞伎 夜の部 初日2019/11/02 00:59

2019年11月1日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階11列7番

「鬼一法眼三略巻」

梅丸くんが初代中村莟玉となる披露狂言。莟玉の役は虎蔵実は牛若丸、というはまり役。美しい牛若丸だ。花道のすぐ横の席で出から見られてラッキーだった。
鬼一の芝翫、皆鶴姫の魁春、智恵内の梅玉、莟玉、湛海の鴈治郎が舞台にそろったところでこの順に上手から並んで口上。芝翫は、子供の頃から芝居の好きな変な子だと思っていた、今回のことは親戚として嬉しい、鴈治郎は壱太郎ともども自分の息子のように思っている、と言った。鴈治郎は何度か一座していたし、梅丸と壱太郎はよくいっしょに出ていることを思い出した。

皆鶴姫が牛若丸に言い寄るところの年の差カップルは、6月の舞台の高麗蔵と染五郎を思い出させた。

「連獅子」

幸四郎の親獅子を見るのは今回が初めてだ。
染五郎の方は、10年前の金太郎襲名のときの孫獅子、「趣向の華」のときに鷹之資と踊った子獅子を見ていて、今回が三度目。

狂言師右近(幸四郎)に続いて出てくる左近の染五郎。針金が踊っているように細い染五郎だが、動きに意思を感じた。子供の頃はあまりしゃべらなかったし、こんな風に自分を表現できるまで成長したことに感動。

宗論は萬太郎と亀鶴。亀鶴は久しぶりに見る気がする。珍しい組み合わせだが、息は合っていた。

親子の獅子が花道を歩いて行って、子獅子は、赤い鬣の先を右側に下して、花道を高速で後ずさりして鳥屋の奥に消えた。そしてまた出てきて、花道の途中で毛振りをした。
舞台で親子そろって毛振りをしたが、二人とも毛先が綺麗に回っていた。

「市松小僧の女」

剣術の修行に励む男まさりのお千代の役が時蔵。こんな感じの時蔵を初めて見た。
鴈治郎は市松小僧の又吉と呼ばれる掏摸の役。
お千代は又吉を捕まえて痛めつけるが、又吉の顔が可愛いので、いい仲になってしまう。
お千代に甘える年下の又吉。ここは鴈治郎の身体の小ささが生きる。
夫婦になって二人で店を出した後の女将の姿はいつもの時蔵で、結婚前との変わり方が鮮明。
お千代の道場の兄弟子で同心永井役の芝翫がいい感じだ。永井に、又吉がまた以前の癖が出て掏摸をしている、と聞いたお千代は、出刃包丁で又吉の指を切り落とそうとする。