十三代目市川團十郎白猿襲名披露公演特別公演2022/11/05 23:04

2022年11月1日 歌舞伎座 午後5時開演 1階3列3番

入場前に記念品引き換えの列に並んでチケットの裏に済のスタンプを押され、記念品が入った紙袋を受け取った。


1.神歌
翁の観世清和と千歳の三郎太が前列に座り、初めに翁が、次に千歳が歌う。後列に地頭、地謡が並んでいた。

2、顔寄せ手打式
幹部役者が3列くらいに並び、松竹の偉いさんが3、4人で短い挨拶をした。役者以外の人が話すせいかいつもの口上とは違ってマイクが入っていたようで、声が下手のスピーカーから聞こえた。役者はびっしり並んでいたが私から見えたのはほとんど一列目だけだ。下手側の真ん中寄りの端に仁左衛門がいてその隣に玉三郎がいた。上手側に獅童が見えた。どういう順番で並んでいるのかはわからなかった。
白鸚が新團十郎を紹介した後、八代目新之助を紹介した。新之助の挨拶ははきはきしていた。仁左衛門が新之助の方を見て微笑んでいた。
最後に観客も加わって手締めをした。

35分の休憩の後、「襲名記念特別映像 」があった。初代からの團十郎の紹介と11代から13代までの写真や映像の紹介だった。11代と12代、12代と13代がいっしょに写っている写真や共演の映像もあった。13代の今までの道のりをたどって新之助時代の「天守物語」や「海神別荘」の写真が出ると、見た頃の自分の暮らしも思い出して懐かしかった。
この後、10分休憩。

3、「勧進帳」
ここまでで休憩が3回もあったので、正直、やっと勧進帳か、と感じた。
海老蔵襲名のときに仁左衛門の富樫が観たくて大阪遠征した。それ以来のこの二人の弁慶富樫だが、仁左衛門はもう1か月富樫をやることはなさそうだし、この組み合わせの弁慶富樫はこれで見納めかな。私の最高の「勧進帳」なのだが。
鳴物の人たちが烏帽子をつけていた。今までに見た記憶がない。
勧進帳は何回も観ているがこの辺の席から見たことはない。富樫の顔がずっと真正面に見える。太刀持ちは丑之助だ。丑之助が将来素晴らしい弁慶役者や富樫役者になることもあるんだなあ、とふと考える。愛之助が初めて太刀持音若をやったのは今の丑之助くらいだろうか。
花道のすぐ横の2席は人がいなくて、私の右側の列の人が一番花道に近い。ここは花道に出てくる役者がよく見える。義経役の玉三郎がしばらく七三に立ち止まっていた。かぶっている笠についたひもを顔の周りで結ぼうとしているのがよく見えた。
四天王は鴈治郎、芝翫、愛之助、市蔵。芝翫、愛之助は元々うまいと思っていたが、鴈治郎も太い声で、こんなにうまかったかと思った。
新之助時代に浅草で初めてやった弁慶も観たが、あの時から何百回も弁慶をやってすっかり安定した。仁左衛門との丁々発止を堪能した。延年の舞を見ていると、弁慶はやっぱり華がある人が演じるべきだと思う。久しぶりで、客の目を引き付けるこの人の魅力を思い出した。
義経と四天王が花道から急ぎ足で去り、弁慶が花道七三あたりでお辞儀をしたり六方を始めるあたりの團十郎の顔がよく見えた。ドブ席だけど見られるだけでありがたい、と思っていたがここは役者の顔がよく見えるので気持ちが盛り上がるすごく良い席だった。