芸術祭十月大歌舞伎2017/10/19 01:34

2017年10月11日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階11列27番

「沓手鳥孤城落月」
序幕大阪城内奥殿の場、「日ノ本はわが化粧箱」という台詞が玉三郎にピッタリ。松竹座で藤十郎の淀君を見たときにも思ったが、この役は美人にやってもらいたい。玉三郎の台詞がたくさんあって嬉しかった。
千姫は可愛い米吉、饗場の局の梅枝の顔が古風でいい。

二の丸の場、秀頼は七之助。

裸武者は今月は出なかった。

「漢人韓文手管始」
七之助はこの演目では傾城高尾太夫。芝翫演じる典蔵と二人の場はとてもお似合いで美しいが、実際の恋人伝七の役が鴈治郎。背の高さもずいぶん違うし、高尾が伝七を騙している話なのかと思ったがそうではない。松也が出ているのだから、伝七は松也にすればいいのに。
ただ、伝七が松也になったとしても面白い話になったかどうかはわからないような芝居だった。


「秋の色種」
玉三郎と、梅枝、児太郎の踊り。
最初に玉三郎だけの踊りがある程度長くあるのが嬉しい。
途中で玉三郎は引っ込んで、その間、梅枝と児太郎が琴を弾く。
玉三郎が黒地の着物に着替えて出てきて、また三人で踊り、最後は花道から引っ込む。
いい演目だった。

錦秋名古屋顔見世 初日 昼の部2017/10/03 22:07

2017年10月1日 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール 午前11時開演 1階か列19番

「恋女房染分手綱」

会場に入るのが少し遅れて、花道の脇でしばらくかがんで見ていたが、三吉役の子役が立派。最後に泣きながら花道を走り去るときまで、ずっとうまかった。先月観に行ったときは休演していた魁春が元気そうだったので安心した。

「番町皿屋敷」

梅玉は青山播磨はニンなのだが「若さ」とか「情熱」とかを感じなくてあまり面白くはなかった。その分、役の年齢に近い壱太郎のお菊と梅丸のお仙から受ける印象が強かった。梅丸のお仙は、美人の優等生といった雰囲気。壱太郎のお菊は出て来たときから悩み事がありそうな表情をしている。お仙は屈託なく、仕事をテキパキこなす。お菊と播磨の仲も知らず、播磨は奥方をもらったりしないと主張するお菊を不思議がる。お仙はお菊がわざと皿を割ったところを偶々目にして、それを用人に告げたわけだが、それもお菊を陥れようというより、真面目なので言ってしまったのだ、という気がした。

お菊は男を知っている女の色気がある。お菊が「一枚」「二枚」と言い、播磨がそれを割っていくシーンの緊迫感が凄かった。

「蜘蛛絲梓弦」

碓井貞光役の松江と坂田金時役の亀鶴は、幕が開いても目を閉じていて動かない。久しぶりの亀鶴だった。

愛之助は小姓、太鼓持、座頭、傾城、蜘蛛の精を踊る。ニンにない役はないのだが、逆に愛之助に似合ういい男の役もなかったのは少し残念だ。
楽しみにしていた傾城は、 顔はごついが声は良かった。女形もたまにやってほしい。太鼓持のしゃべり方で「悦ちゃん」のナレーションを思い出した。

最後は錦秋らしく上に紅葉が飾られて、愛之助は隈取をした蜘蛛の精でぶっかえった。花道で投げた蜘蛛の糸が私の身体にもかかったので嬉しかった。

秀山祭 九月大歌舞伎 夜の部2017/09/27 23:50

2017年9月20日 歌舞伎座 午後4時半開演 2階東9の1番

「ひらかな盛衰記 逆櫓」

初めて観た歌舞伎がこの演目だった。松右衛門が幸四郎、お筆が菊五郎で、遠見の子役たちの中に染五郎と丑之助がいた。
内容的にあまり面白いと思わないのだが、権四郎役の歌六は娘夫婦の役者たちより実際には若いので、身体のきれもよくうまいと思った。松右衛門の吉右衛門は私の好みではないがうまいには違いない。
遠見の子役たちのシーンが一服の清涼剤のように感じた。

「再桜遇清水(さいかいざくらみそめのきよみず)」

「清玄桜姫もの」の1つだそうだ。桜姫、清玄はいるが、権助はいない。桜姫の恋人は清玄と書いて「きよはる」。僧の清玄は「せいげん」。桜姫は雀右衛門、きよはるは錦之助、せいげんは染五郎。せいげんが桜姫に恋焦がれるのは、この物語も同じ。
初めはコメディのようでホラーで終わるので客は少し戸惑い気味。染五郎は、情けない清玄といい男の浪平の二役をやるが、どちらも合っていた。歌昇と種之助は奴。奴といっても衣装が違い、雰囲気も違う。種之助は所作事もあっていい役だった。寺小姓は米吉と児太郎。清玄に殺される後室役の京妙がうまかった。

八月納涼歌舞伎 第三部 「野田版 桜の森の満開の下」2017/08/12 17:02

2017年8月11日 歌舞伎座 午後6時半開演 2階2列46番

全体のストーリーは頭に入らなかったが、プッチーニの「私のお父さん」の流れる中、桜の花びらが散る下で七之助が死ぬシーンが、泣きたくなるほどの美しさだった。坂口安吾は読んだことがないが、こんな、オスカー・ワイルドばりの耽美な話を書いている人だったのか?

主な人物は耳男(勘九郎)、オオアマ(染五郎)、夜長姫(七之助)、早寝姫(梅枝)、マナコ(猿弥)、ヒダの王(扇雀)、といったところ。一番印象的だったのは超マイペースで残酷だが綺麗で可愛い夜長姫。耳男は一番活躍する。壬申の乱の中心人物であるオオアマはストーリー的に重要だが、染五郎は早寝姫と戯れているところと、缶蹴りの缶を蹴るところが良かった。マナコはわかりやすく安定したキャラで猿弥の骨太な演技が良かった。扇雀のヒダの王がニンに合っていた。

冒頭は満開の桜の下に鬼女たちが眠っていて、やがて起き出して桜の枝を持って動き出す。聞こえてくる音楽が「私のお父さん」なので、ちょっと驚く。いつもの歌舞伎とは違って、役者がマイクをつけている。

基本的な風景も役者の動きも綺麗で、バレエや絵画のような印象だった。野田秀樹のジョークの連続のような台詞、「〇坊〇坊の天気予報」を始めとする今の若者には通じないパロディも、舞台の妨げとはならず、そういう台詞に乗って話が進む感覚的な舞台で、また見たいと思った。

伊賀越道中双六2017/04/01 01:17

2017年3月16日 国立劇場大劇場 12時開演 1階9列45番

序幕はお谷(雀右衛門)の実家。「正宗」を奪おうとしてお谷の父、和田行家(橘太郎)を殺す沢井股五郎役の錦之助がふてぶてしくてはまり役。二枚目なので気づかなかったのが、今まで観た中で一番錦之助に向いた役かも。愛之助の綱豊相手に助右衛門をやったとき、やっぱり年上だけあって貫禄がある、と思ったが、あれは年齢は関係なく錦之助の持ち味だったのだろう。

行家の弟子、丹右衛門役は又五郎。円覚寺に匿われた股五郎に縄をかけて連れて行く途中で、城五郎(吉之丞)側の武士たちに奪われる。股五郎は野守之助(歌昇)といっしょに逃げる。

瀕死の丹右衛門のところにお谷、弟の志津馬(菊之助)、池添孫八(隼人)が駆け付ける。丹右衛門は志津馬に、剣の達人政右衛門(吉右衛門)の力を借りて敵を討てと言い残して死ぬ。

三幕目は、藤川の新関にある茶店。茶店の娘お紺役の米吉の赤い帯が、舞妓の帯を思い出すように長めに下がっているので、一月の「錣引」 の派手な簪を思い出した。お紺は、志津馬に一目惚れする。
茶店の前を、城五郎の奴助平(又五郎)が密書を持って通りかかる。又五郎二役目の助平は遠眼鏡を覗いて見える景色に悶絶したりする滑稽な役で、本領発揮。だんまりで縄跳びをするあたりで笑った。遠眼鏡を覗いている隙に密書は志津馬にに奪われ、政右衛門の後をついて行くが捕手頭(種之助)につかまる。

四幕目が、いよいよ「岡崎」。岡崎にあるお袖の実家が舞台となる。お袖は志津馬と一夜を過ごそうと家に連れて行くが母のおつや(東蔵)はダメだという。お袖には許婚がいるからだ。
志津馬は自分を股五郎と名乗り、奪った密書の宛先である幸兵衛を探している、という。実はお袖の父が幸兵衛(歌六)だった。
関所破りをした政右衛門はこの家の前で捕手に囲まれる。ここで吉右衛門と捕手の立ち廻りがある。それを見ていた幸兵衛は、政右衛門が昔の弟子の庄太郎だと気づいて、家に入れ、股五郎の後ろ盾になってくれるように頼む。政右衛門は承知したが、幸兵衛は庄太郎が股五郎を仇と狙う政右衛門であることは知らない。
幸兵衛が外出した後、政右衛門はおつやに頼まれて莨の葉を刻みはじめた。部屋の隅に干してあったのを、魚かなんかかと思って見ていたが、莨の葉だった。そうしているうちに、巡礼姿のお谷が赤ん坊を抱えて門の外に来て、そこで癪を起して倒れる。おつやは家の中に入れようとするが、素性が知れることを恐れた政右衛門は、それを止める。おつやは赤ん坊だけ中に入れる。外に出た政右衛門は、お谷のために火を起こし、口移しで薬を飲ましてやる。お谷は意識が戻って政右衛門に縋りつくが、政右衛門は立ち去るように言う。
幸兵衛が帰宅し、おつやが持ってきた赤ん坊の臍の緒書きを見ると、政右衛門の子、と書いてある。幸兵衛は、人質がとれたと喜ぶ。それを聞いて政右衛門は、赤ん坊の喉を刺して殺し、庭に投げ捨てる。そして、人質を利用すべきではない、と言う。
幸兵衛は志津馬は股五郎ではないと見破っていた。そして、目に涙を浮かべている政右衛門を見て、政右衛門であることにも気づいた。我が子を殺してまで敵討ちをしようとする気持ちに討たれ、股五郎の味方はしない、と宣言する。
家に入って来たお谷は我が子の死骸を書き抱いて嘆き悲しむ。

最後は伊賀上野の敵討ちの場。主人公は政右衛門だが、隼人と種之助の立ち廻りがかっこいい。

役者がそれぞれはまり役で、見応えがあって面白かった。

猿若祭二月大歌舞伎 夜の部2017/02/16 01:30

2017年2月3日(金) 歌舞伎座 午後4時半開演 2階2列11番

「門出二人桃太郎」
勘九郎の息子二人が、勘太郎、長三郎と名乗って初舞台。
菊五郎に、染五郎(犬)、松緑(猿)、菊之助(雉)も出る豪華な配役。
今の年齢だと兄弟の年齢差がはっきり出る。勘太郎はもうしっかりしている。長三郎はまだ動きもぎこちないし、口上の間も動いたりして、後ろにいる七之助が持ち物の位置を直したりして世話をやいていた。その幼い子の動きを、客が喜ぶ。
きょうの席は花道を俯瞰できたので、二人が引っ込むときの様子がよく見えた。

「絵本太功記」
久しぶりに歌舞伎で寝た。役者は全員よくやっているが、面白さが全くわからない。佐藤正清役の橋之助の、若い溌剌とした動きが唯一の救いだった。

「梅ごよみ」
玉三郎、勘三郎で見慣れていた芝居だが、今月は菊之助、勘九郎。菊之助がすごくいい。ちょっと冷淡な感じが、この役に合っている。勘九郎もまあいいが、少しごついのと、女形が板についてない点がマイナス。丹次郎は染五郎、お蝶が児太郎で、二人とも良かった。

右團次襲名披露 夜の部2017/01/26 01:29

2017年1月22日 新橋演舞場 午後4時半開演 1階6列26番

今月5回目の観劇。気ぜわしい日だったので黒塚以外観るのが面倒だったが、中車の折平が観たいと思いなおして、初めから行った。

「義賢最期」

上演記録を見ると、11年前の松竹座、愛之助の「義賢最期」以来、愛之助が5回、海老蔵がこれで2回、義賢を演じていて、私は全部観た。
愛之助のは親子の情愛や源氏への思いが伝わってくる義太夫狂言で、正調「義賢最期」だと思うが、海老蔵の、ときに「やっとことっちゃうんとこな」を思い出すような義賢も、海老蔵の魅力に組み伏せられ、あっ、あっ、あーっと引きこまれて見せられてしまう。
まず、襖が開いて登場する時の美しい細面の顔が、いかにも病の床にありそう。最後の仏倒れは真っすぐにきれいに倒れ、身体が少し弾んで階段の下の方に崩れ落ちた。
折平は中車に期待するような役ではないが、うまくはなくても違和感は感じさせないレベルだった。

「口上」
真ん中が梅玉で、上手の端が海老蔵、下手の端が門之助。海老蔵が、「右團次さんはアイロン掛けが趣味」「門之助さんの泣ける話がある」「襲名グッズは襲名クッキー、襲名ファイルもある」と笑いをとる。門之助は話し始めたが、最後に「泣けませんね」とあきらめたように言って、また笑いをとる。右團次は「門之助さんの話、泣けました。市川宗家みずから襲名グッズの宣伝、ありがとうございます」と話を回収していた。なごやかな口上。右近も幼稚園の子にしてはしっかり挨拶をしていて感心した。

「錣引」
こんなつまらなそうな演目、最初か最後にしてくれれば観なくてすむのに~と思って覚悟して観たが、米吉の簪が派手だとか、本筋に関係ないものをぼーっと見てるだけなら悪くはなかった。九團次と米吉、綺麗な二人の色っぽいやり取りは予想外で楽しかった。米吉は、「義賢最期」の待宵姫より、この伏屋姫の方が不良っぽくて似合う。

「黒塚」
本日の本命。猿之助の岩手の踊りが絶品だった。鬼女になってからの踊りはいつも通り、派手。花道七三で真っすぐに倒れた後、一瞬で逆を向く。暗転なし。
阿闍梨役が右團次で、うまいので気持ちがいい。中車は、これも中車には期待していない山伏の役。台詞を聴いて、一人下手な人がいるな、と感じる程度で、おかしくはない。

「雙生隅田川」2017/01/19 01:17

2017年1月7日 新橋演舞場 午前11時開演 1階6列27番

「雙生隅田川」

昔、亀治郎が梅若・松若の二役をやった「雙生隅田川」を観たが、こんなに終始ちょこちょこ出て来たことは覚えていない。今回の右近はまだ幼稚園だそうだが、亀治郎は3、4歳年長で、宙乗りの前に天狗と踊るとき、いっしょに片足を上げてトントン跳んでいて、観客がそれを応援して拍手していたのだけ覚えている。

その時は、烏天狗がワラワラ出てくるところや、天井をつついて小判を落とすところなど視覚的にもとても面白くて、歌舞伎を観てみたいという友人を連れてもう一度観た。20年くらい前に「雙生隅田川」をやった時は会社の同僚を連れて観に行ったが、最初に観たときほどは感動しなかった。上演記録を見ると、その時は班女御前の役も当時の猿之助がやっていたから、無理があったのかもしれない。最初に観たときは班女御前が菊五郎。当時の菊五郎は綺麗だった。子供を天狗にさらわれて狂うシーン、一人舞台で扇を振り開くシーンが記憶にある。

今回は班女御前が猿之助で、当時の菊五郎のように綺麗ではないが、踊りの場面は見応えがあった。七郎天狗の役が右團次で、踊りの名手二人が揃う。

三人宙乗りの後、これでもか、というように本水のシーンと、鯉つかみがあり、楽しかった。

壽初春大歌舞伎 夜の部2017/01/07 00:41

2017年1月5日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階7列21番

「井伊大老」
愛之助は井伊直弼の幼馴染の水無部六臣役で、直助(幸四郎)と二人で語り合うシーンがある。「将軍江戸を去る」の時と役がかぶって、胸を病んだ鉄太郎のような雰囲気だ。二人とも美声。
全体的には退屈な話だった。

「越後獅子」
鷹之資の踊り。布晒しがうまかった。

「傾城」
場内が暗いので目をつぶって、目を開くと、正面の暗闇にぐるりと提灯が見えて、ここは何処だと驚く。舞台がパッと明るくなると、仲ノ町の花魁道中。功一の肩に手を置いた玉三郎が外八文字で歩いて、やがて消える。

仲ノ町が消えて、演奏の人たちがいる踊りの場面では、玉三郎お得意の打掛自慢。後ろ向きで腕を伸ばして打掛の柄を見せる。紫の地に孔雀の模様だった。
打掛を脱いで赤っぽい着物での手踊りが、玉三郎ならではで、きょう見に来た甲斐があったと思った。南座でも観たような気がする。見ていると嬉しくなってくる踊り。

最後は黒地に鶴の打掛を着て、後ろ向きにも横向きにも打掛を見せ、演奏者たちの後ろに黒い背景ができてそこに雪が降って、とても綺麗だった。

「松浦の太鼓」

序幕の両国橋の場で、其角(左團次)と、煤竹売りに身をやつした大高源吾(愛之助)が出会い、床几に腰かけてしばらく語る。その後、其角が「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠み、源吾が「明日待たるるその宝船」と付句を詠んで去っていく。

第二幕は松浦邸。わがまま勝手だが、染五郎演じる松浦の殿様が可愛かった。浅草と掛け持ちの壱太郎が大高源吾の妹お縫の役で、腰元をやっている。
山鹿流の陣太鼓を聴いた松浦の殿様は赤穂浪士の助太刀をしようと馬に乗る。玄関先に大高源吾が来て、問われるまま、仇討の様子を語る。愛之助の語りは立派。

新春浅草歌舞伎 第2部2017/01/06 01:42

2017年1月4日 浅草公会堂 午後3時開演 1階た列40番

年始あいさつは、第二部には出ない壱太郎。客席の後ろから現れた。いつも通り、プログラムの宣伝、イヤホンガイドの宣伝。客からの質問を募集したが、誰も手を上げなかった。自分は歌舞伎座と掛け持ちだが、第二部が終わった後、歌舞伎座で「松浦の太鼓」を一幕見で観られますよ、と宣伝。

「角力場」

吾妻役の梅丸が出てきて、花道から与五郎の隼人が出てきて、床几に座っていちゃいちゃする。隼人は、また前のように細くなった。顎が尖って見える。うまくはないが、若旦那の役はニンに合う。十分楽しませてくれた。

放駒長吉役の松也は体格的に相撲取りにぴったり。虚勢を張っている若者らしい可愛らしいがあり、うまい。

錦之助の濡髪も良かった。錦之助の濡髪は、永楽館の「引窓」で観た。「角力場」は、「引窓」よりも前の話か。

「鈴ヶ森」

隼人の権八、錦之助の長兵衛。あんまりおもしろくなかった。

「棒しばり」

大名役で、またまた隼人が出る。貫禄がないので、同級生でふざけているような感じだった。

巳之助が太郎冠者、松也が次郎冠者。松也が出てくると、客席が、おっ出て来たというように拍手をする。二人とも踊りはうまくないが芝居はうまく、愛嬌があるので楽しい。足で蓋を斜めに持ち上げるようにして相手に酒を飲ませたりとか、何度も観ている舞踊だが今回初めてじっくり見た。
松也は片方の手で扇子を放ってもう片方の手で受け取るのを失敗していたがニコニコしていた。
大名が帰ってきて、「酔ってません」と言い張るところが、二人とも一番うまかった。