九月大歌舞伎第二部2020/10/02 02:02

2020年9月2日 歌舞伎座 午後1時40分開演 1階13列14番

「累」
定式幕がかかっているのを見て、きのうのは歌舞伎ではなかったのだと思った。
猿之助のかさねと幸四郎の与右衛門。二人とも襲名前に、違う相手で踊ったのを観ている。どちらも良かった。
最初に、花道を二人いっしょに出てくる型。
猿之助は綺麗ではないが踊りも台詞もうまい。この踊りは特に前半はかさねが一人で踊っていて与右衛門はじっとしていることが多い。だから二枚目でないともたない。その点、幸四郎はとても与右衛門に向いている。
後半、演舞場で海老蔵相手のときも大阪の舞踊会で愛之助相手のときも、亀治郎のかさねは玉三郎ばりの戦うかさねで幕が閉まっても客席がざわつくような感じだったが、きょうはおとなしくなったように感じた。正統派のかさねにしたのかな、とも思うが、やや期待外れでもあった。
隼人と鷹之資が捕手の役で出たが、最初に出たときは普通だったが与右衛門と絡むときは黒いマスクをしていた。

九月大歌舞伎第四部2020/09/02 00:09

2020年9月1日 歌舞伎座 午後7時15分開演 1階13列20番

きょうは幕開き前のアナウンスはなくて、幕が上がると玉三郎が舞台の真ん中に座って頭を下げていた。半年ぶりの玉三郎だ。口上のときの女形のように、頭に紫色の布をのせている。私の真正面に玉三郎のニコニコした顔が見える。嬉しい~
玉三郎の後ろに金屏風があって、その後ろには歌舞伎座の建物の書割がある。櫓もある。玉三郎によれば、櫓は顔見世の11月にしか上がらないそうだが、きょうは特別に櫓もこしらえてもらったそうだ。
2階、3階のお客様からは見切れるので、ということで、お弟子さんが上手に書割の櫓と同じものを置いて見せてくれた。

役者がどのような景色を見ているかお見せしましょう、と玉三郎の後ろに歌舞伎座の客席を映し出した。キラキラした、誰も座っていない客席。

その後、玉三郎が梅ゼリから奈落に降りる、という設定で映像を使って玉三郎が歩いたり階段を上ったりしながら、花道の下、すっぽん、鳥屋、「松ゼリ」「竹ゼリ」「大ゼリ」、、回り舞台などを紹介した。超豪華歌舞伎鑑賞教室、といったところ。

映像の中で滝夜叉の打掛を着てそのかっこうで実際にせりから上がってきたり、阿古屋が鳥屋から出ようとする映像の後、実際に鳥屋から出てきたりした。

後半は鷺娘。初めは映像で、その前に本物の玉三郎が真っ白い衣装で現れて踊った。そして赤い着物に引き抜き。その後、紺地の着物の踊りは映像。これはとても綺麗だった。そして映像の中でピンクの着物に引き抜き。
最後のシーンは映像で海老反りのあたりまで見せたところに玉三郎が同じ格好でせりあがってきて、最後に息絶えるまでをやった。

幕が下り、もう一度上がったがそのときは玉三郎は倒れているままで、一度幕が下り、また上がったときは玉三郎は座ってお辞儀をしていた。その次に上がったときは立ち上がっていた。みんな盛大に拍手をして幕が下りて、終わり。

楽しかった~

八月花形歌舞伎 第三部2020/08/26 16:28

2020年8月25日 歌舞伎座 午後4時15分開演 2階1列3番

きょうは、初日のときと違って、入口を入るとまず切符をもぎって入れて、次に体温計測と手の消毒だった。

席について2階から見下ろすと、花道の内側は2列、外側は3列、座れないようになっている。

幕開き前のアナウンスの声が、「七之助」と名乗るのを聴くまで誰だかわからなかった。

「吉野山」
七之助の静を観たことがあったろうか、と考え、上演記録つきの筋書きがないことを残念に思った。
七之助は綺麗で踊りも悪くないが、色気とかオーラみたいなものが少し物足りない。同じ年ごろの玉三郎は、ただ動いているのが美しくて見とれてしまったが、ああいう魅力はない。まあ、比べてはいけないが。
静が鼓を扱っているあたりで花道に目をやるとスッポンの穴があいている。ほどなく、忠信の猿之助が出てきた。猿之助の忠信はもう5回くらい観ているかもしれない。
二人の踊りも、猿之助一人の踊りも十分長くて、堪能した。
逸見藤太は猿弥。花四天は6人しかいない。藤太が「5か月ぶりの歌舞伎座でソーシャルディスタンス」のような台詞を言った。
猿之助は、ぶっかえって、花道七三で3度くらい高く跳びあがり、狐六方で引っ込んだ。

八月花形歌舞伎 第一部2020/08/06 21:12

2020年8月1日 歌舞伎座 午前11時開演 1階3列30番

5か月ぶりの歌舞伎座。エスカレーターの下の木挽町広場は開いていた。
劇場入り口で、切符は自分でもぎって箱に入れる。筋書きは売ってなくて、2本のテーブルの上に積んである「八月花形歌舞伎」のパンフレットを取って場内に入る。
前後左右に人はいない。

「連獅子」
鳴り物と長唄の人たちは黒くて長いマスクをしている。
愛之助の親獅子を観るのは流山以来か。壱太郎の仔獅子は比叡山歌舞伎、藤十郎襲名の松竹座、で観て、これが3度目。
愛之助は狂言師の姿も獅子も姿も似合って綺麗だ。踊りは普通。壱太郎は愛之助より踊りはしっかりしている。花道にどしっと腰を下ろすときは振動を感じた。後ろ向きで片足で跳んで舞台に戻っていくときは若々しい力強さを感じた。

宗論は橋之助と歌之助の兄弟。歌之助は、玉三郎の白雪姫で王子の役だったときは子供っぽくて玉三郎と合わないと思ったが、今回は兄弟のせいか息が合っている。歌之助といえば目がくりっとして可愛い、というイメージだったが変な可愛さが消えて味が出た。

一演目で幕間もないのは歌舞伎公演としては変則的だが、気楽に観られて悪くない。

二月大歌舞伎 夜の部2020/02/09 23:43

2020年2月5日 歌舞伎座 午後4時半開演 3階2列2番

「八陣守護城」

我當(佐藤正清)の状態が心配だったが、声は十分に出ていたし、多少聞きづらい台詞はあったが年寄のことと思えばそれもかまわないような気がした。
萬太郎がやる正木大介は13代目仁左衛門の最後の舞台で愛之助が演じた役だ。前髪の、似合う役をもらっていたのだな、と思った。萬太郎の台詞はきびきびしていて良い。
斑鳩平次の進之介は見た目がすっきりしている。

「羽衣」
綺麗な玉三郎の天女と、踊りがうまい勘九郎の伯竜で理想的な一幕だった。

「文七元結」
各役が粒ぞろいで、良い芝居だったと思う。
長兵衛の菊五郎、女房の雀右衛門、娘お久の莟玉、角海老女房の時蔵、文七の梅枝、鳶頭の梅玉。
この芝居については、昭和の時代に初めて観た勘三郎が長兵衛をやった舞台が印象深く、文七元結を観るときにはいつも思い出しながら観る。勘三郎と文七の八十助と鳶頭の孝夫はとびぬけて良かったが、角海老女房の玉三郎と、お久の染五郎が酷かった。
私にとっては勘三郎の長兵衛が永遠のベストだが、それは別としてきょうの舞台はみんな出来が良かった。
時蔵の肩を叩いている真秀は可愛かったし、最後に綺麗な着物を着て実家に戻ってくるお久の莟玉も可愛かった。

「道行故郷の初雪」
梅玉の忠兵衛と、秀太郎の梅川。新口村にいる二人のところに、万才の松緑が出てきて、踊りを見せる。
雪景色の中に綺麗な着物を着て立っている二人の美しさ。それに松緑の踊りが見られて得した気分。

壽初春大歌舞伎 夜の部2020/01/06 23:41

2020年1月4日 歌舞伎座 午後4時半開演 3階3列2番

「義経腰越状 五斗三番叟」

たぶん、初めて観る演目だ。

花道から絵に描いたような奴さんたちが出てきた。その中心には亀井六郎役の猿之助。正月早々猿之助の所作事が観られて嬉しい。

猿之助はうまいがキャラ的に子供っぽいので、白鸚の五斗兵衛が出てくるとやっと大人が出てきた感じがする。屋台の上を歩いているときの歩き方がいかにも年寄だが、台詞が始まるとやっぱりうまい人だと思う。歌舞伎によくあるお酒関連の話。最後に酔った状態で三番叟を踊り、奴を馬にして乗って花道を引っ込む。

「連獅子」

猿之助の連獅子を観るのは初めてだ。
舞台下手から狂言師右近(猿之助)が現れ、猿之助より長身で顔の小さい團子の左近が後に続く。
猿之助はいつも通り安定のうまさ。團子は背が高いせいかやや腰高な感じ。
宗論は福之助と男女蔵。福之助はけっこううまい。
再び猿之助と團子が出てくる前に台が運びこまれた。普通に2つの台を置いて、その後もう一つ台を持ってきて2つの台の上に架橋するように置いた。
私の席は3階なので仔獅子が後ずさりするところは見えなかった。花道で毛振りをし、そこからケンケンで舞台中央まで行くのが大変そうだった。後ろ向きではないが黒塚をちょっと思い出した。
最後は、二人で台の上で毛を振るのではなく、舞台の端に対して斜めになるような感じで二人が並んで毛振りをした後、親獅子が一番上の台に立ち、仔獅子はその下で決まるような形で終わった。

「鰯売恋引網」

中村屋兄弟で観るのはこれが2度目。前回は獅童がやっていた役を今回は男女蔵がやっている。前回は傾城の中に巳之助がいたが、今回は笑也、笑三郎、國久、と大姉御揃いだ。
七之助は綺麗で、ところどころ玉三郎に似てて良い。勘九郎は軍物語だけを何回も観たい。

十二月大歌舞伎 夜の部2019/12/05 23:28

2019年12月4日 歌舞伎座 午後4時半開演 3階2列2番

「神霊矢口渡」

お舟役の梅枝はうまいが鑑賞教室で観た壱太郎の娘らしさの方が好きだし、うてなの児太郎もうまいが吉太朗もうまかったな、と前半は鑑賞教室の矢口渡が忘れられなかった。
潮目が変わったのは、頓兵衛役の松緑が草藪から姿を現したときだ。白髪、白い眉、白い髭の拵えが似合っている。頓兵衛は話の最後の方に出てくる老人の役、という認識だったが、松緑は今まで見てきた頓兵衛とは身のこなしが全然違って、こんなにいい役だったのか、と認識を新たにした。お舟の横に立っているだけでも強そうだし、矢口渡の表示柱を切って花道に来たときの所作が素晴らしい。踊りの基礎の上に荒事の力強さもあって、本領発揮だ。
頓兵衛が花道を引っ込んだ後、手負いのお舟が太鼓の方に這い寄って姿に迫力があって、盛り上がった。

「本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)」

腰元たちのおしゃべりは天守物語を思い出す。そこで、お七夜を迎えた姫が「白雪姫」と名付けられた、と語られる。
奥方役は児太郎。「この世で一番きれいなのは誰?」と訊かれて答える鏡の精は梅枝。奥方が鏡に近づくと、鏡の向こうから鏡の精が同じように近づいてくる。同じくらいの背丈の二人が鏡のように動く姿がきれいだ。
白雪姫を敵視して美しさを張り合う奥方が継母ではなくて、グリム初版の通り実母なのが話に深みを与えている。
16歳の白雪姫役の玉三郎は、終始受動的。白雪姫を殺そうとして動き回るのは奥方。鏡の精は冷静。梅枝の台詞で芝居が引き締まる。
この3人が並んで琴を弾くのは綺麗だった。
全体に女形が多い舞台だが、白雪姫を殺すことを奥方に命じられる家臣の役で獅童が出る。獅童は見た目が良いので舞台の綺麗さを壊さない。
七人の小人は別々の中間色の衣装で、歌ったり踊ったりする。使われる曲の中にはパパゲーノの歌みたいなきいたような曲もあった。
最後に出てくる皇子の役が歌之助だが、子供っぽくて玉三郎とは合わない。獅童の二役にした方が最後の場が見映えがしたろうと思う。

吉例顔見世大歌舞伎 夜の部 初日2019/11/02 00:59

2019年11月1日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階11列7番

「鬼一法眼三略巻」

梅丸くんが初代中村莟玉となる披露狂言。莟玉の役は虎蔵実は牛若丸、というはまり役。美しい牛若丸だ。花道のすぐ横の席で出から見られてラッキーだった。
鬼一の芝翫、皆鶴姫の魁春、智恵内の梅玉、莟玉、湛海の鴈治郎が舞台にそろったところでこの順に上手から並んで口上。芝翫は、子供の頃から芝居の好きな変な子だと思っていた、今回のことは親戚として嬉しい、鴈治郎は壱太郎ともども自分の息子のように思っている、と言った。鴈治郎は何度か一座していたし、梅丸と壱太郎はよくいっしょに出ていることを思い出した。

皆鶴姫が牛若丸に言い寄るところの年の差カップルは、6月の舞台の高麗蔵と染五郎を思い出させた。

「連獅子」

幸四郎の親獅子を見るのは今回が初めてだ。
染五郎の方は、10年前の金太郎襲名のときの孫獅子、「趣向の華」のときに鷹之資と踊った子獅子を見ていて、今回が三度目。

狂言師右近(幸四郎)に続いて出てくる左近の染五郎。針金が踊っているように細い染五郎だが、動きに意思を感じた。子供の頃はあまりしゃべらなかったし、こんな風に自分を表現できるまで成長したことに感動。

宗論は萬太郎と亀鶴。亀鶴は久しぶりに見る気がする。珍しい組み合わせだが、息は合っていた。

親子の獅子が花道を歩いて行って、子獅子は、赤い鬣の先を右側に下して、花道を高速で後ずさりして鳥屋の奥に消えた。そしてまた出てきて、花道の途中で毛振りをした。
舞台で親子そろって毛振りをしたが、二人とも毛先が綺麗に回っていた。

「市松小僧の女」

剣術の修行に励む男まさりのお千代の役が時蔵。こんな感じの時蔵を初めて見た。
鴈治郎は市松小僧の又吉と呼ばれる掏摸の役。
お千代は又吉を捕まえて痛めつけるが、又吉の顔が可愛いので、いい仲になってしまう。
お千代に甘える年下の又吉。ここは鴈治郎の身体の小ささが生きる。
夫婦になって二人で店を出した後の女将の姿はいつもの時蔵で、結婚前との変わり方が鮮明。
お千代の道場の兄弟子で同心永井役の芝翫がいい感じだ。永井に、又吉がまた以前の癖が出て掏摸をしている、と聞いたお千代は、出刃包丁で又吉の指を切り落とそうとする。

芸術祭10月大歌舞伎 夜の部2019/10/10 23:37

10月9日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階6列30番

「三人吉三」

お嬢吉三役の梅枝の「月も朧に~」の台詞は貫禄だった。
お嬢が去ろうとすると、私の席のまっすぐ前あたりに置かれた籠の中からお坊吉三役の愛之助が出てきて、呼び止める。お嬢が急に女の声に変るのは、おとせ(尾上右近)相手に男の声に変るときより面白い。
梅枝と愛之助は二人とも台詞がうまくて、二人の台詞のやり取りは聞きごたえがあった。

演舞場で観たときは愛之助のお坊はそれほど良いと思わなかったが、改めてみると、端正な顔立ちがお坊に合うと思う。

和尚吉三の松緑、伝吉役の歌六、源次坊役の亀蔵が、演舞場のときと同じ役だった。

和尚が双子の妹と弟を手にかけるシーンが一番インパクトがある。演舞場のときは今月お嬢ダブルキャストの梅枝と松也だったなあ、と思いながら観た。

吉祥院でお坊と再会したお嬢が自分も会いたかったというあたりは梅枝は声の色を変えていた。本当にうまい。

大詰の本郷火の見櫓の場はお嬢の見せ場かと思ったが柵が上下してお坊が外の屋根から飛び移って中に入ってきたし、お嬢が太鼓を打ち鳴らし、和尚も加わった立ち回りで華やかだった。

「二人静」

小鼓、大鼓が舞台上に腰かけて、笛は座っている。
若菜摘役の児太郎が花道から出てきて七三のところで台詞を言った後、舞台に来る。ほんの短い間、歌舞伎風に踊るのが綺麗だ。
次に静御前の霊役の玉三郎が出てくる。
神職役の彦三郎は良い声で、良い能楽師になれそうだ。
玉三郎と児太郎が二人で踊る。能風の動きだが、児太郎は踊りがうまいのがわかる。玉三郎はもっと自由度の高い歌舞伎の踊りの方が合うと思う。

芸術祭10月大歌舞伎 昼の部 初日2019/10/07 00:14

2019年10月2日 歌舞伎座 午前11時開演 1階7列13番

「廓三番叟」

傾城役の扇雀は全然つまらないのに、新造役の梅枝が踊りだすと顔は玉三郎系で綺麗だし踊りも所作のそれぞれに魅力があって見応えのあるものになるので驚く。

「御摂勧進帳」

初めて観る演目だ。
花道を出てくるのが四天王が先で、四天王がそこで台詞を言い、後から弁慶が出てくる。勧進帳の読み上げのときに弁慶の後ろに迫ってくるのは富樫だけでなく全部で4人くらい覗こうとしている。
というように歌舞伎十八番の勧進帳と比べてしまうが、勧進帳以前の作品ということなので、パロディではない。ただ全体に滑稽味のある話だ。
弁慶役の松緑の顔は、隈取がある上に、鼻の下と顎が山賊のひげのように灰色に塗られていて、ふざけた雰囲気だ。相変わらず語尾が伸びるような台詞の言い方だが、この顔には合っているような気がする。
富樫(愛之助)は屋台の上に出てきて、そのままそこにいる。普通の勧進帳のように弁慶と富樫の対決という感じではなく、安宅の関を守る役人の中には斎藤次(彦三郎)というのもいる。
義経一行が去った後の荒事で弁慶は番卒たちの首を引き抜き、それを大きな桶に投げ込む。そして最後には「芋洗いをお目にかけます」と言って杖で桶をかき回しているところで、幕。
滑稽と残酷が混じった、歌舞伎らしい芝居と言うべきか。

「蜘蛛絲梓弦」
これは、前に名古屋で観たことがある。
碓井貞光(松也)と坂田金時(尾上右近)が源頼光を警護しているところへ、小姓(愛之助)がスッポンから登場。ドロドロで一瞬妖怪の所作をする。
愛之助は楽しげな雰囲気が良かった。特に太鼓持は、和事が生きるせいか良かった。座頭は滑稽味を帯びた雰囲気。傾城は、うまいのだが、愛之助の女形を楽しみにしている自分にとっては地味すぎた。顔の化粧をもっと派手な美人風にできないものだろうか。
最後は蜘蛛の精になって白い糸をたくさん巻き、それが舞台の紅葉とコントラストになって綺麗だった。

「江戸育お祭佐七」

神田祭の当日、佐七(菊五郎)や小糸(時蔵)たちが踊り屋台の踊りを見るために神酒所に集まっている。
その踊りが「道行旅路の花聟」。お軽は亀三郎、勘平は眞秀、坂内は橘太郎。亀三郎は女形に進むのかと思うようなきれいな顔で、終始真剣に踊っていた。指を折る所作とか各所作がしっかりしている。子供ながらもプロの踊り。これに比べると、勘平の眞秀は顔は可愛いが「子供がやらされてる」感じがする踊り。坂内役の橘太郎が、二人にうまく絡んでやっていた。
客席も舞台の上の人も注目していたこの踊りが一番の見もので、本編は、特に面白くはない江戸っ子の話。