Kバレエカンパニー 「くるみ割り人形」2017/12/22 00:55

2017年12月21日 赤坂ACTシアター 午後2時開演 1階V列39番

「くるみ割り人形」はクリスマスが本物に見える外国のバレエ団に限る、と思っていたのだが、美術と技術が気に入ったKバレエカンパニーのを観てみることにした。
クリスマス気分がイマイチなのは、ダンサーの顔が日本人だからだと思う。しかし、一幕目は美術が素晴らしく、二幕目は馴染みの曲が次々に出てきて、楽しめた。立派なエンタテインメントだ。

ネズミが可愛い。幕開きにもカーテンコールにも出る。おもちゃの兵隊と戦うときは、投石機でチーズを投げ、おもちゃの兵隊に当たる、という演出。

倒れたくるみ割り人形の側で悲しむクララから悲しみが伝わってきた。その後、クララ、ドロッセルマイヤー、くるみ割り人形の三人で踊るシーンが美しい。後ろでひらひらと揺れ動く幕、それに音楽の力が加わって、観客をうっとりさせる。揺れ動く幕が落ち、横にすべってはける。後ろには雪の国が現れる。

二幕目は花のワルツ、アラビア、スペイン、中国、ロシア、と馴染みの曲が続き、それぞれが別の魅力で惹きつけられた。私の好きな「アラビア」は女性一人と男性二人。女性が大柄で手足が長く、顔立ちもはっきりしていて、いかにもアラビアのダンサー風でインパクトがあった。中国の人形の二人もコミカルな感じが良かった。ロシアのコサックダンスもあった。

マリー姫と、青年の姿になったくるみ割り人形の踊りも、流れる曲が美しくてよかった。マリー姫は小林美奈。浅川紫織のケガで、雪の女王役からこちらに変わったと掲示があった。難しい踊りも何気なくこなせる、上手い人だと思う。

NHK交響楽団定期公演 「イワン雷帝」2017/11/20 22:08

2017年11月17日 NHKホール  午後7時開演 2階C4列5番

プロコフィエフの「イワン雷帝」と言えば、昔テレビで見たボリショイバレエを思い出すが、きょうのはスタセヴィチ編オラトリオ「イワン雷帝」作品116というものだ。合唱、語り手、独唱、オーケストラのためのオラトリオで、全20曲からなる。
開演時間になると合唱団のメンバーが出てきて、オーケストラの後ろの段に並ぶ。東京混声合唱団と、東京少年少女合唱隊。
指揮者のトゥガン・ソヒエフと語り手の愛之助がいっしょに出てきて、愛之助は指揮者よりも上手よりに立った。
曲の合間に愛之助の語りが入る。赤い表紙の本を手にして読むが、最初の語りは特にカタカナ系が聞き取りにくかった。その後、そうでもなくなったのは音声担当の人のマイク調整があったのかもしれない。愛之助は、平家物語の語りのときと同じで地の文より台詞の部分がうまい。特にイワン雷帝の台詞は太い声が雷帝らしかった。他の人の台詞もあったと思うが、誰の台詞なのかわからない。
独唱はウクライナのスヴェトラーナ・シーロヴァとアンドレイ・キマチ。特に女性の歌唱が素晴らしかった。
演奏終了後、独唱者二人と指揮者、語り手が4、5回舞台に現れて拍手を受けていた。

国立劇場 9月文楽公演 第二部2017/09/23 01:17

2017年9月12日 国立劇場小劇場 午後4時開演 14列23番

『玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)』

人生三度目の文楽。動物が出るのを始めて観た。狐はとても良かった。
文楽の語りは腰元なんかのところが面白い。
側室たちが集まる「廊下の段」や傾城が裁きを行う「訴訟の段」が目新しくて面白かった。一番面白かったのは最後の七変化。雷が三味線を弾いたり、娘や夜鷹の人形とか次々に出て、派手。歌舞伎のようなこんな派手な終わり方の文楽は始めてで、興奮した。

小劇場の休憩時間、ロビーで知らない人と向き合って食事をとるのも面白かった。また行きたいと思った。

デストラップ2017/07/19 02:14

2017年7月7日 東京芸術劇場 午後6時半開演 1階B列24番

最前列の上手。シドニー(愛之助)が座っている机が目の前で、そこで演技をすることが多かったので愛之助がよく見えた。映画で見たときに印象的だった、クリフォードからの手紙を読み上げるシーンは、演出家の指示があったんだろうな、と思われる口調だった。時代設定は映画と同時代で、電話はダイヤル式。

シドニーの妻マイラ役の高岡早紀は綺麗。クリフォード役の橋本良亮はテレビで見たときと同じ印象。頭が良さそうで役に合っている。

シドニーがロープでクリフォードの首を絞めるシーンは、ちゃんと仕掛けがあるのだろうが、間違って本当に絞まるのではないかと、怖かった。映画では、死んだはずのクリフォードがガラスを割って窓から飛びこんできたが、今回の舞台にはそんな窓はなく、上手の扉から入って来たので、映画ほどの驚きと怖さはなかった。
マイラが死んだ後のキスシーンは映画のようにしてほしかった。二人の関係が、というかこの殺人の仕掛けが一瞬で理解できるし、一幕目の最後が盛り上がったろうに。一幕目はムダのない緊迫した舞台だったので、ここでダメ押ししてほしかった。

二幕目、弁護士のポーター(坂田聡)は、うまいのはわかるが少しダレる。シドニーがクリフォードを愛している、ということはシドニーの台詞で語られる。でも、二人の間に緊張感が漂う前に、「恋人だったんだ」という確固たるイメージを植え付けるために、やはりキスをしてほしかった。
最後は逆転に次ぐ逆転でスリルがあった。愛之助が最後に倒れるところは膝上仏倒れみたいだった。

コメディ・トゥナイト 初日2017/03/07 23:49

2017年3月4日 新橋演舞場 午後四時半開演 1階1列24番

副題は「ローマで起こったおかしな出来事 江戸版」。 ローマの話を江戸に設定しなおしたのは、まあ成功したと言えると思う。衣装、装置が洋物がかった着物、日本家屋で、それは面白かった。特に澤野屋という女郎屋が、西洋の家を赤い提灯で飾り付けて日本ムードを出そうとしているようで、見とれてしまった。入り口に下がっている日本髪の女のヌードの絵の提灯がすごく良い。内装も、浮世絵の春画が壁の絵になっていたりしてエセ江戸の雰囲気。

愛之助の歌を聴くのが楽しみだったが、マイクを通しているのでどのくらいうまいのかよくわからなった。愛之助に限らず、下手な人はいないかわりに誰がとくにうまいとも感じなかった。

全体に、だれるところはないが、どこと言って盛り上がりもない。トニー賞をとっているということだが、オリジナル版はどういう点が評価されたか知りたいものだ。コメディで、客席にはお嬢さんたちの笑い声が響いていたが、自分にとっては笑うほど滑稽な場面はなかった。

ルー大柴を近くから見られて嬉しかった。テレビで見るのと同じ雰囲気。女の格好をするシーンは見ものだとは思うが、しゃべり方や仕草を女っぽくするわけではないので、ただルー大柴が女の格好をしている、というだけだった。

荒尾正蔵の役をやった鈴木壮麻が、愛之助がのっぺり見えるような立派な顔立ちで、演技も良かった。

布袋屋の主人役の高橋ジョージがいい味を出していた。澤野屋の主人役のダイヤモンド・ユカイも良かった。

ストーリーがイマイチ面白くないせいか、話の中心になる若い二人の魅力も感じられなかった。

カーテンコールでは今日が誕生日の愛之助を祝う声が上がり、私の右隣の方たちは銀紙で周りを飾った「お誕生日おめでとう」と書いたボードを分けて持って舞台の愛之助に見せていたようだ。二度目に出て来たとき、高橋ジョージが音頭をとって客たちが立ち上がり、ハッピーバースデーの歌をうたった。愛之助は「誕生日に初ミュージカルです」と挨拶した。きょうは、みんなで歌を歌ったのが一番楽しかった。

第60回記念日本舞踊協会公演 2/172017/03/04 01:46

2017年2月17日(金) 国立劇場大劇場 午後4時半開演 1階13列27番

1.「四季三葉草」
翁が西川扇蔵、千歳が中村梅弥、三番叟は尾上墨雪。中村梅弥は初めて観たが綺麗で、踊りも良かった。

2.「妹背山道行」
ここの部分の踊りだけを見てもあまり面白いものではない。

3.「洛中洛外」
幕間に外にいて戻るのが遅れたので後ろで立って観たが、テンポが良くてなかなか面白かった。

4.「三人連獅子」
初めて観たが、舞踊会で見ると他の演目とは目先が変わって楽しい。前半は、連獅子や鏡獅子と違ってステップも軽く、草原で遊んでいるライオンの家族風。それでも、舞台は深山幽谷と石橋。後半は石橋の上で踊り、仔獅子をリアルに突き落とす。仔獅子が一番目立つ良い役。花柳源九郎のきびきびした動きが良かった。

5.「邯鄲」
井上八千代一人の踊り。黒留袖で全体のトーンはとても静かなのだが、、寝転がって、そこからさっと立ち上がるとか、回転とかの動きがたまに入ってアクセントになっている。

最後に「にっぽん・まつりの四季」という群舞があった。

アントニオ・ガデス舞踊団「カルメン」2016/09/22 22:15

2016年9月18日 オーチャードホール 午後1時開演 1階33列30番

映画の「カルメン」は官能的で、映画館で6回くらい見た。アントニオ・ガデスの来日公演で、舞台の「カルメン」も、複数回観た。今回はほぼ30年ぶりの「カルメン」だ。

映画のプログラムか新聞評に「主役はフラメンコ」と書いてあった記憶があるが、本当にその通り。舞台転換もなく、踊りっぱなし。
ガデスは死んでしまって、ドン・ホセは別のダンサーが踊る。ガデスのようなカリスマ性、オーラはないが、良いダンサーだ。来日当時のガデスより若い。カルメン役はセクシーな美人。二人とも腕が長い。

30年前はあまり意識しなかったが、今回は音楽の構成の見事さを感じた。開幕はビゼーの「カルメン」で、最後も「あーカルメン、あー、カルメ~ン」で終わり、それは録音で流れる。しかし、かなりの部分はスペイン語の歌、フラメンコの曲の生演奏が占めていて、演奏者は舞台上にいる。歌いながら踊った人もいる。合間に「ハバネラ」のような有名な曲やカルメンのテーマの録音が流れる。そのつながりがごく自然で全体が美しい音楽劇になっている。最後、エスカミリオとドンホセの対立のところはフラメンコの曲で、その直後、ドンホセがカルメンを殺すシーンにはオペラの録音が流れてつながる。

マシューボーンの「白鳥の湖」と同じで、繰り返しの鑑賞に堪える名作だと思う。

カーテンコールでも何度も踊ってくれて、スカッとした。

ミュージカル 狸御殿2016/08/07 14:08

2016年8月6日 新橋演舞場 午後4時半開演 1階16列35番

シンデレラと「白鳥の湖」が合体したようなストーリーだった。
ガラスの靴のかわりに、草履、草履は誰でも履けるから国中の女と面接することになる。

渡辺えりが足を見せて歌うシーンくらいインパクトがあるシーンが次々に出て来たら全体ははちゃめちゃでももっと見応えがあったろうと思う。他のシーンはつまらなくはないが小粒。B級がぞろぞろ出てくる感じ。
押しつけの感動シーンがないから鼻白むことはないのが救い。

最後の方の、オペラ歌手の翠千賀と歌手の城南海の対決はなかなか良かった。翠千賀の役は王子さまのお妃候補で、「白鳥の湖」のオディールがスペイン人のダンサーを従えて夜の女王のアリアを歌っているようなキャラ。

松也は最後の太鼓と、「東西。まづこんにちはこれぎり~」が一番良かった。 王子さまらしい華があり、衣装がどれも似合う。立ち回りは、「小金吾討死」のときより良かった。

宮本亜門の演出だからダンスはまとも。歌は、本職の二人はうまいとして、台詞を音にのせて歌うところが、渡辺えり以外は下手。「ミュージカル」とは言っても、踊りや歌に完全に魅了される瞬間はない。

國矢と徳松も赤井英和の子分の役で出ていた。

坂東竹三郎 語りの会2016/05/24 01:01

2016年5月5日 木馬亭 午後5時半開演

「楢山節考」朗読

岡崎泰正のギターと歌が所々に入りながら、竹三郎が朗読。朗読というよりは「語り」で、地の部分もあるのだが、全体として「演じている」印象だった。「朗読」が活字だとしたら、今回のは手書きの文字のようだった。この後のトークで、竹三郎が、自分は関西の人間だから台詞はともかく地の部分はなまりが出るので、と言うようなことを言っていたが、いつもイントネーションが気になる私が、全く気にならなかった。
「楢山節考」は映画を観たことがあるが小説は読んだことがなく、こんな話だったのか、と思った。

トークは、司会の人がいた。途中で、ギターの岡崎泰正がちょっと顔を見せた。竹三郎の息子だが顔が似ているとは思わなかった。顔と髪型は少女漫画に出てくるキャラのようだった。
「楢山節考」の朗読をやりたいと思った理由や、先月は博多でやった「ワンピース」に出ていて、その間に熊本の地震があって劇場で募金をした話をした。共演者がきょうも来てくれて、と竹三郎が上手の方に目をやっていたが、帰るときに笑三郎と、先月の共演者ではないが吉弥が確認できた。
竹三郎は「男の花道」に出ていた時に具合が悪くて休演したが、自分では気づかず、周りの人がおかしいと思ったらしく、門之助が「医者を紹介します」と言った。千葉の医者で診てもらったら硬膜下血腫だった。だから、門之助と猿之助が命の恩人。「女團七」は猿之助にも良い財産になったのではないかと思っている。あの役は他の人にはできない。自分がやった役は別の人でも鍛えればできるだろう。自分は猿之助についていくつもり、という話だった。

ハンブルクバレエ「真夏の夜の夢」2016/03/13 22:45

2016年3月13日 東京文化会館 午後2時開演 1階25列39番

ジョン・ノイマイヤー振付のハンブルクバレエは30年くらい前に「マタイ受難曲」を見て以来数回見ているが、きょうが一番良かった。
妖精たちの世界のシーンに全身タイツの前衛的バレエを使っているのがすごくマッチしていて、舞台全体が絵葉書にしたいほど綺麗だった。
歌舞伎の浅黄幕が落ちるときのような感じに幕が落ちて、その後ろにあるものが現れる演出があり、幕の材質が違うのでフワフワとあーゆるやかに落ちる感じが、バレエらしいと思った。
職人たちの踊りで、男性ダンサーの一人がトウシューズで踊る趣向が面白かった。

序幕の最初にヒッポリタの部屋でヒッポリタ(エレーヌ・ブシェ)が花嫁衣装の長いトレーンを引きながら一歩一歩前に進む絵柄が美しい。
やがて、カウチの上で眠り込むヒッポリタ。

全身タイツの妖精たちは宇宙人のようでもあり、昆虫のようでもある。皆、タイツ姿に耐える美しい骨格をしている。3つの木立と、絡み合って動く妖精たちの姿が、正に別世界。

パックが赤い花を上に放り上げて暗転、としゃれた終わり方をする一幕。

二幕は結婚式で、メンデルスゾーンの結婚行進曲が鳴り響く。結婚式の、古典的なバレエの後、赤い花が舞台の真中に落ちる。やがてそこに妖精の女王タイターニア(エレーヌ・ブシェ)と王オベロン(ウラジーミル・ヤロシェンコ)が現れて二人のデュエットになり、タイターニアをリフトしてゆるやかに回っているところで幕となる。二人の姿を最後まで見せる、幕の閉まり方も素敵だ。エレーヌ・ブシェの持ち上げて後ろに回した脚が長くて綺麗だった。

きょうは後ろの方の席だったし感動したので、カーテンコールにジョン・ノイマイヤーが現れたときはスタオベをした。30年前のNHKホールで何度も律儀に現れたカーテンコールを思い出した。お互いに、あの頃は髪も黒かったが、今はすっかり白髪になった。