十二月大歌舞伎 夜の部2019/12/05 23:28

2019年12月4日 歌舞伎座 午後4時半開演 3階2列2番

「神霊矢口渡」

お舟役の梅枝はうまいが鑑賞教室で観た壱太郎の娘らしさの方が好きだし、うてなの児太郎もうまいが吉太朗もうまかったな、と前半は鑑賞教室の矢口渡が忘れられなかった。
潮目が変わったのは、頓兵衛役の松緑が草藪から姿を現したときだ。白髪、白い眉、白い髭の拵えが似合っている。頓兵衛は話の最後の方に出てくる老人の役、という認識だったが、松緑は今まで見てきた頓兵衛とは身のこなしが全然違って、こんなにいい役だったのか、と認識を新たにした。お舟の横に立っているだけでも強そうだし、矢口渡の表示柱を切って花道に来たときの所作が素晴らしい。踊りの基礎の上に荒事の力強さもあって、本領発揮だ。
頓兵衛が花道を引っ込んだ後、手負いのお舟が太鼓の方に這い寄って姿に迫力があって、盛り上がった。

「本朝白雪姫譚話(ほんちょうしらゆきひめものがたり)」

腰元たちのおしゃべりは天守物語を思い出す。そこで、お七夜を迎えた姫が「白雪姫」と名付けられた、と語られる。
奥方役は児太郎。「この世で一番きれいなのは誰?」と訊かれて答える鏡の精は梅枝。奥方が鏡に近づくと、鏡の向こうから鏡の精が同じように近づいてくる。同じくらいの背丈の二人が鏡のように動く姿がきれいだ。
白雪姫を敵視して美しさを張り合う奥方が継母ではなくて、グリム初版の通り実母なのが話に深みを与えている。
16歳の白雪姫役の玉三郎は、終始受動的。白雪姫を殺そうとして動き回るのは奥方。鏡の精は冷静。梅枝の台詞で芝居が引き締まる。
この3人が並んで琴を弾くのは綺麗だった。
全体に女形が多い舞台だが、白雪姫を殺すことを奥方に命じられる家臣の役で獅童が出る。獅童は見た目が良いので舞台の綺麗さを壊さない。
七人の小人は別々の中間色の衣装で、歌ったり踊ったりする。使われる曲の中にはパパゲーノの歌みたいなきいたような曲もあった。
最後に出てくる皇子の役が歌之助だが、子供っぽくて玉三郎とは合わない。獅童の二役にした方が最後の場が見映えがしたろうと思う。

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