坂東玉三郎 チャリティ・コンサート ― 2011/06/08 22:24
2011年6月8日 赤坂BLITZ 午後7時開演 1階O列14番
なんて素敵な夜なんだろう。
これは、神様の贈り物だわ。
ありがとう、神様。 ありがとうありがとうありがとう。
勤め帰りなので、玉三郎の歌を子守唄に眠ってしまう可能性大だと思っていた。席も一番後ろだし、玉三郎の英語の歌を聴いて感動できるはずもないし。
しかーし、全く眠らなかったのである。歌詞はほとんど日本語だった。そして、座席は一番後ろだったけれども真ん中なので、玉三郎は私の正面に立ち、前の人たちの頭の間から、玉三郎の全身が、靴まで見えた。
開演前にバンドの人たちが着席し、開演後、少しバンドの演奏があった後、下手から玉三郎が出て来た。ダークスーツに白いシャツで、普通の男性みたい。
Climb every mountain(すべての山にのぼれ)
いきなりそんないい歌やっちゃうの? 英語じゃないんだ。日本語の歌詞。発声が良い。流石に舞台俳優だ。
Those were the days
次はロシアの民謡で、Those were the days を歌います、と言った。
「木枯らしの街をゆく ひとりぼっちのわたし」って歌ってくれるの?と期待したが、違う歌詞だった。ライライラライライラのところでは会場が手拍子をした。
私も最初は手拍子をつけたが、大好きな歌なので、途中でやめて玉三郎の歌唱に浸った。マイクを持った右手、さまざまな動きをする綺麗な左手。歌っているときは女形の声ではなく男の声だし、スーツ姿だし、見つめていると、まるで恋しい男を見ている乙女のような気持ちになる。舞台のときの玉三郎はいつも女だから。
不思議なことに、横から見る腰の線は、ゆったり打ち掛けをはおった時の腰なのに、前から見ると、足の長いお兄さん(!)なのだ。
歌の後、玉三郎の短いトーク。声の衰えを避けるため、十年前からボイストレーニングに通っている。そして、最近は昆劇で歌っている。今回はチャリティなので一般のお客様の前で歌うことにした。樋口康雄に相談したら、ビートルズはどうか、と言う。
Yesterday
「イエスタディは、英語で聞いてたときは恋の歌かと思ったんですが、実は悲しい歌でした」という。
She's leaving home
これもビートルズの曲だそうだが、私は知らなかった。
Da troppo tempo(愛はるかに)
玉三郎も大好きな歌だそうだ。二番はイタリア語で歌った。
You'd be so nice to come home to
タイトルを聞いてもわからなかったが、聴いたことがある曲だ。確か、コマーシャルで。
Someone to watch over me
「王様と私」の舞台で最初にアンナ役をやったGertrude Lawrence の話をミュージカルにしたのが「スター!」。その中でジュリー・アンドリュースが歌う曲だそうだ。
Swanee
華やかにスワニーを歌った。みんなよく知っているし、ショー向きの盛り上がる曲だ。
Killing me softly (やさしく歌って)
懐かしい歌。玉三郎も、恋する人を思って聴いたことがありそうだ。
第1部終了の後、二十分休憩
ロビーでは手ぬぐい、Tシャツ、扇子、クリアファイルなどのグッズを売っていた。インタビューを受けている人がいた。有名人かと思ったら一般のお客さんのようだった。TBSがテレビ放映してくれたら嬉しい。
後半の最初はDanny Boy。
初めて聴く日本語の歌詞。最後の"Oh Danny boy, oh Danny boy, I love you so."だけ英語で歌った。
玉三郎は第1部とは違う衣装になった。白いシャツでなく、スーツと同じ色になり、スーツの形もドレッシーな感じになり左にピンをつけていた。第1部より、いつもの玉三郎に近くなった。
次の3曲を紹介するとき、スラスラ出てこなくて、会場から笑い声が上がった。「英語はちょっと・・・・」と苦笑いの玉三郎。
Alone again
ギルバート・オサリバンの曲。タイトルを知らなかったが、聴いたら、よく知っている良い曲だった。
Calling you
紹介のときに玉三郎が言った通り、難しい曲。サビのところを聴くまで、知らない曲だと思っていた。よくこんな難しい曲に挑戦したと思うが、表現力がある人なんだと、いまさらながら再認識した。素人が無理目の歌を歌ってるのでなく、芸術家が自分なりに歌の世界を表現している。
So in love
これは「日曜洋画劇場で最後に淀川さんが出てくるときの曲」という紹介だった。私にとっては「日曜日が終わる曲」だった。
次の2曲はボサノバで、Wave と Gentle rain。
ボサノバを作った人は一晩中アパートで歌っていて、隣の人にうるさいと言われたので、ボサノバのような歌唱法になった、という話をした。
The Saga of Jenny
職業柄、女優の伝記を読むのが好きだという玉三郎。これも「スター!」の中の曲だ。YouTubeで見られるジュリー・アンドリュースの歌と踊りはすごくかっこ良いが、玉三郎も、1人で歌って演じてくれて、ドラマが盛り上がった。
きょうの最初の歌がサウンドオブミュージックからの歌だし、玉三郎はジュリー・アンドリュースのファン? 世代的なものかな?
What a wonderful world
これが、第2部の最後の曲だった。
一度全員引き上げた後、場内の拍手に応えて再登場。「一応アンコールは用意してあります」と言う玉三郎。
Going out of my head と Can't take my eyes off you(君の瞳に恋してる)の二つが一つになった曲で、アメリカに派手なアレンジはあるけれど、玉三郎が歌うのは樋口康雄が新たにアレンジしたものだそうだ。
Can't take my eyes off you の I love you, baby~I need you, baby あたりが知ってるメロディーだった。
今夜は玉三郎の「I love you」が何度もきけて幸せだった。玉三郎は、なかなか百パーセント幸せと思うことはないけれど、短い時間でも幸せだと感じられることがあれば、本当に幸せなんじゃないか、と言ったが、今夜の私は本当に百パーセント幸せだった。
アンコールのもう一つは、「おやすみなさいの意味をこめて」 Moon light serenade
"Moon light serenade"は、セレナードじゃなく、ちゃんとセレネイドと歌っていた。
これで歌は最後だったが、もう一度全員で出てきて、舞台前方に並んで挨拶した。
玉三郎の歌は、発声が良くて、音程がしっかりしていて、表現力があって良かった。似てるわけではないけれども、大竹しのぶの歌を聴いたときに感じる役者の表現力と同じものを感じる。
舞台上の動き方とか、外国語の歌詞とか、それぞれ専門家に指導を受けたのではないだろうか。外国語の発音は完璧ではなくてもいい加減なものではなかったし、舞台の動き回り方も慣れた感じがした。単なる隠し芸披露ではなく、レベルの高いエンタテインメントだった。
なんて素敵な夜なんだろう。
これは、神様の贈り物だわ。
ありがとう、神様。 ありがとうありがとうありがとう。
勤め帰りなので、玉三郎の歌を子守唄に眠ってしまう可能性大だと思っていた。席も一番後ろだし、玉三郎の英語の歌を聴いて感動できるはずもないし。
しかーし、全く眠らなかったのである。歌詞はほとんど日本語だった。そして、座席は一番後ろだったけれども真ん中なので、玉三郎は私の正面に立ち、前の人たちの頭の間から、玉三郎の全身が、靴まで見えた。
開演前にバンドの人たちが着席し、開演後、少しバンドの演奏があった後、下手から玉三郎が出て来た。ダークスーツに白いシャツで、普通の男性みたい。
Climb every mountain(すべての山にのぼれ)
いきなりそんないい歌やっちゃうの? 英語じゃないんだ。日本語の歌詞。発声が良い。流石に舞台俳優だ。
Those were the days
次はロシアの民謡で、Those were the days を歌います、と言った。
「木枯らしの街をゆく ひとりぼっちのわたし」って歌ってくれるの?と期待したが、違う歌詞だった。ライライラライライラのところでは会場が手拍子をした。
私も最初は手拍子をつけたが、大好きな歌なので、途中でやめて玉三郎の歌唱に浸った。マイクを持った右手、さまざまな動きをする綺麗な左手。歌っているときは女形の声ではなく男の声だし、スーツ姿だし、見つめていると、まるで恋しい男を見ている乙女のような気持ちになる。舞台のときの玉三郎はいつも女だから。
不思議なことに、横から見る腰の線は、ゆったり打ち掛けをはおった時の腰なのに、前から見ると、足の長いお兄さん(!)なのだ。
歌の後、玉三郎の短いトーク。声の衰えを避けるため、十年前からボイストレーニングに通っている。そして、最近は昆劇で歌っている。今回はチャリティなので一般のお客様の前で歌うことにした。樋口康雄に相談したら、ビートルズはどうか、と言う。
Yesterday
「イエスタディは、英語で聞いてたときは恋の歌かと思ったんですが、実は悲しい歌でした」という。
She's leaving home
これもビートルズの曲だそうだが、私は知らなかった。
Da troppo tempo(愛はるかに)
玉三郎も大好きな歌だそうだ。二番はイタリア語で歌った。
You'd be so nice to come home to
タイトルを聞いてもわからなかったが、聴いたことがある曲だ。確か、コマーシャルで。
Someone to watch over me
「王様と私」の舞台で最初にアンナ役をやったGertrude Lawrence の話をミュージカルにしたのが「スター!」。その中でジュリー・アンドリュースが歌う曲だそうだ。
Swanee
華やかにスワニーを歌った。みんなよく知っているし、ショー向きの盛り上がる曲だ。
Killing me softly (やさしく歌って)
懐かしい歌。玉三郎も、恋する人を思って聴いたことがありそうだ。
第1部終了の後、二十分休憩
ロビーでは手ぬぐい、Tシャツ、扇子、クリアファイルなどのグッズを売っていた。インタビューを受けている人がいた。有名人かと思ったら一般のお客さんのようだった。TBSがテレビ放映してくれたら嬉しい。
後半の最初はDanny Boy。
初めて聴く日本語の歌詞。最後の"Oh Danny boy, oh Danny boy, I love you so."だけ英語で歌った。
玉三郎は第1部とは違う衣装になった。白いシャツでなく、スーツと同じ色になり、スーツの形もドレッシーな感じになり左にピンをつけていた。第1部より、いつもの玉三郎に近くなった。
次の3曲を紹介するとき、スラスラ出てこなくて、会場から笑い声が上がった。「英語はちょっと・・・・」と苦笑いの玉三郎。
Alone again
ギルバート・オサリバンの曲。タイトルを知らなかったが、聴いたら、よく知っている良い曲だった。
Calling you
紹介のときに玉三郎が言った通り、難しい曲。サビのところを聴くまで、知らない曲だと思っていた。よくこんな難しい曲に挑戦したと思うが、表現力がある人なんだと、いまさらながら再認識した。素人が無理目の歌を歌ってるのでなく、芸術家が自分なりに歌の世界を表現している。
So in love
これは「日曜洋画劇場で最後に淀川さんが出てくるときの曲」という紹介だった。私にとっては「日曜日が終わる曲」だった。
次の2曲はボサノバで、Wave と Gentle rain。
ボサノバを作った人は一晩中アパートで歌っていて、隣の人にうるさいと言われたので、ボサノバのような歌唱法になった、という話をした。
The Saga of Jenny
職業柄、女優の伝記を読むのが好きだという玉三郎。これも「スター!」の中の曲だ。YouTubeで見られるジュリー・アンドリュースの歌と踊りはすごくかっこ良いが、玉三郎も、1人で歌って演じてくれて、ドラマが盛り上がった。
きょうの最初の歌がサウンドオブミュージックからの歌だし、玉三郎はジュリー・アンドリュースのファン? 世代的なものかな?
What a wonderful world
これが、第2部の最後の曲だった。
一度全員引き上げた後、場内の拍手に応えて再登場。「一応アンコールは用意してあります」と言う玉三郎。
Going out of my head と Can't take my eyes off you(君の瞳に恋してる)の二つが一つになった曲で、アメリカに派手なアレンジはあるけれど、玉三郎が歌うのは樋口康雄が新たにアレンジしたものだそうだ。
Can't take my eyes off you の I love you, baby~I need you, baby あたりが知ってるメロディーだった。
今夜は玉三郎の「I love you」が何度もきけて幸せだった。玉三郎は、なかなか百パーセント幸せと思うことはないけれど、短い時間でも幸せだと感じられることがあれば、本当に幸せなんじゃないか、と言ったが、今夜の私は本当に百パーセント幸せだった。
アンコールのもう一つは、「おやすみなさいの意味をこめて」 Moon light serenade
"Moon light serenade"は、セレナードじゃなく、ちゃんとセレネイドと歌っていた。
これで歌は最後だったが、もう一度全員で出てきて、舞台前方に並んで挨拶した。
玉三郎の歌は、発声が良くて、音程がしっかりしていて、表現力があって良かった。似てるわけではないけれども、大竹しのぶの歌を聴いたときに感じる役者の表現力と同じものを感じる。
舞台上の動き方とか、外国語の歌詞とか、それぞれ専門家に指導を受けたのではないだろうか。外国語の発音は完璧ではなくてもいい加減なものではなかったし、舞台の動き回り方も慣れた感じがした。単なる隠し芸披露ではなく、レベルの高いエンタテインメントだった。
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