明治座 五月花形歌舞伎 初日 夜の部 ― 2013/05/04 19:10
2013年5月3日 明治座 午後4時開演 1階4列
「将軍江戸を去る」
しょっちゅうやってるなあ、コレ。
いろんな人が出てくる「上野彰義隊の場」と、上さま、お名残惜しゅうございます、の人々が出る「千住大橋の場」の間の「上野大慈院の場」が長い。
愛之助は高橋伊勢守の役に合っている。慶喜を前にしてのよどみない長台詞が気持ち良い。この台詞の直後の慶喜(染五郎)の台詞が、ちょっと女々しすぎるように感じた。「頼朝の死」の頼家を思い出したが、頼家は終始ヒステリックで女々しくてもかまわなかった。慶喜はキャラが違うだろう。ただ、女々しすぎると感じたのは一瞬で、続く台詞では知的で思慮深い人になっていった。染五郎は今月、演じているうちに自分で声のトーンやしゃべり方を調整して慶喜像を完成させることだろう。
勘九郎の山岡鉄太郎はとても良いと思うが、私は中車の鉄太郎が忘れられない。
「藤娘」
七之助の藤娘は明るく華やかで大好きだが、錦秋公演のときの方が、無条件に綺麗だと思った。あの時が若さの絶頂だったのか。
「鯉つかみ」
腰元の「もうし、みなさん」で始まったので由緒正しい歌舞伎かと思ったが、間違いだった。
小桜姫は壱太郎。簪がキラキラして綺麗だ。壱太郎は、ただ可愛いだけでなく、台詞がしっかりして演技が安定してきた。伸び盛り。
釣家の小桜姫は恋煩いで、家老夫婦(薪車、吉弥)がその相手を探すと言ったのをきいて安心して居眠りを始める。
その夢の中のお話。 天井からすっぽんにワイヤーが通っていたので、そこから愛之助が出てくるかと思ったら、出て来たのは大きな鯉。その鯉が落ちて、中の愛之助が姿を現した。数馬のようなお小姓姿。空中に浮かぶお小姓は少し後ろに移動した後、どんどん高く上がって天井まで行った。こういう宙乗りは初めて見た。GOEMONのときの鷹のように鯉にまたがって宙乗りで引っ込むのかと思っていたので意外。
笛を吹きながら屋敷の庭に現れたお小姓は探していた相手で、滝窓志賀之助と名乗る。家老の女房は喜んで、「どうぞ姫様と奥でしっぽり」と勧める。何このイキナリ感? 家老の女房は更に、奥に行くのをためらう志賀之助に「何をウジウジ」と言う。先に立って志賀之助を奥に引き込む姫様。
奥の部屋の障子に映る影は、姫様と鯉。
2人が奥から出て来たとき、志賀之助が、いかにも脱いでいた着物を着なおしましたという風に着物を直していたのが面白かった。数馬が寝所から袴の紐を結びながら出て来たのを思い出した。
実は滝窓志賀之助と名乗ったお小姓は琵琶湖の鯉で、釣家の滅亡を企てていた。
本物の志賀之助が現れ、琵琶湖に鯉退治に出かけるところで幕。
ここまでの話はスカスカ。宙乗りを別にすれば見るべきものは壱太郎の踊りしかない。せめて踊りをもっと見応えのある振付にしてほしい。今のままでは冗長。
次の幕が開くと、舞台は琵琶湖。私の席からは水面は見えない。花道から出て来た志賀之助が湖にばっちゃーんと飛び込んで鯉つかみが始まる。大きい鯉の顔はとっても可愛い。バシャバシャ水が飛ぶので、客席2列目まではビニールが配られている。愛之助が手で水を飛ばしてもそんなにたくさん飛ばないが、鯉は身体をひねって尾ひれで大量の水を飛ばす。
サイズ違いの鯉がいくつか用意してあって、小さいのが何回か飛んだ。中くらいの大きさのを愛之助がキャッチして、それを両手でつかんで水面に叩きつけて振り回したときは最高に水が飛んで、四列目の私のところにも飛沫が届いた。
鯉は、最後は志賀之助に刺されて殺される。舞台の真中に白目をむいて倒れた。
全身びしょ濡れの愛之助は花道七三で立ち止まり、いかにも疲れたという様子を見せて盛大な拍手をもらった後、引っ込んだ。
「将軍江戸を去る」
しょっちゅうやってるなあ、コレ。
いろんな人が出てくる「上野彰義隊の場」と、上さま、お名残惜しゅうございます、の人々が出る「千住大橋の場」の間の「上野大慈院の場」が長い。
愛之助は高橋伊勢守の役に合っている。慶喜を前にしてのよどみない長台詞が気持ち良い。この台詞の直後の慶喜(染五郎)の台詞が、ちょっと女々しすぎるように感じた。「頼朝の死」の頼家を思い出したが、頼家は終始ヒステリックで女々しくてもかまわなかった。慶喜はキャラが違うだろう。ただ、女々しすぎると感じたのは一瞬で、続く台詞では知的で思慮深い人になっていった。染五郎は今月、演じているうちに自分で声のトーンやしゃべり方を調整して慶喜像を完成させることだろう。
勘九郎の山岡鉄太郎はとても良いと思うが、私は中車の鉄太郎が忘れられない。
「藤娘」
七之助の藤娘は明るく華やかで大好きだが、錦秋公演のときの方が、無条件に綺麗だと思った。あの時が若さの絶頂だったのか。
「鯉つかみ」
腰元の「もうし、みなさん」で始まったので由緒正しい歌舞伎かと思ったが、間違いだった。
小桜姫は壱太郎。簪がキラキラして綺麗だ。壱太郎は、ただ可愛いだけでなく、台詞がしっかりして演技が安定してきた。伸び盛り。
釣家の小桜姫は恋煩いで、家老夫婦(薪車、吉弥)がその相手を探すと言ったのをきいて安心して居眠りを始める。
その夢の中のお話。 天井からすっぽんにワイヤーが通っていたので、そこから愛之助が出てくるかと思ったら、出て来たのは大きな鯉。その鯉が落ちて、中の愛之助が姿を現した。数馬のようなお小姓姿。空中に浮かぶお小姓は少し後ろに移動した後、どんどん高く上がって天井まで行った。こういう宙乗りは初めて見た。GOEMONのときの鷹のように鯉にまたがって宙乗りで引っ込むのかと思っていたので意外。
笛を吹きながら屋敷の庭に現れたお小姓は探していた相手で、滝窓志賀之助と名乗る。家老の女房は喜んで、「どうぞ姫様と奥でしっぽり」と勧める。何このイキナリ感? 家老の女房は更に、奥に行くのをためらう志賀之助に「何をウジウジ」と言う。先に立って志賀之助を奥に引き込む姫様。
奥の部屋の障子に映る影は、姫様と鯉。
2人が奥から出て来たとき、志賀之助が、いかにも脱いでいた着物を着なおしましたという風に着物を直していたのが面白かった。数馬が寝所から袴の紐を結びながら出て来たのを思い出した。
実は滝窓志賀之助と名乗ったお小姓は琵琶湖の鯉で、釣家の滅亡を企てていた。
本物の志賀之助が現れ、琵琶湖に鯉退治に出かけるところで幕。
ここまでの話はスカスカ。宙乗りを別にすれば見るべきものは壱太郎の踊りしかない。せめて踊りをもっと見応えのある振付にしてほしい。今のままでは冗長。
次の幕が開くと、舞台は琵琶湖。私の席からは水面は見えない。花道から出て来た志賀之助が湖にばっちゃーんと飛び込んで鯉つかみが始まる。大きい鯉の顔はとっても可愛い。バシャバシャ水が飛ぶので、客席2列目まではビニールが配られている。愛之助が手で水を飛ばしてもそんなにたくさん飛ばないが、鯉は身体をひねって尾ひれで大量の水を飛ばす。
サイズ違いの鯉がいくつか用意してあって、小さいのが何回か飛んだ。中くらいの大きさのを愛之助がキャッチして、それを両手でつかんで水面に叩きつけて振り回したときは最高に水が飛んで、四列目の私のところにも飛沫が届いた。
鯉は、最後は志賀之助に刺されて殺される。舞台の真中に白目をむいて倒れた。
全身びしょ濡れの愛之助は花道七三で立ち止まり、いかにも疲れたという様子を見せて盛大な拍手をもらった後、引っ込んだ。
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