第83回 歌舞伎鑑賞教室 「紅葉狩」2013/06/03 19:47

2013年6月2日 国立劇場 2回1列11番

「歌舞伎のみかた」

真っ暗な場内が明るくなると、舞台に隼人が立っていた。水色の着物と薄いベージュの袴。
揚幕の説明をした。まず上手の揚幕を開閉し、次に花道の揚幕が開くと、虎之介が出てきた。
とらちゃんは今年15歳で、高校一年だそうだ。話し方も動きもポイントをよく押さえて、メリハリがある。
2人で回り舞台の上に乗り、とらちゃんはせりに乗って持ち上がる。

きょうは、常磐津、長唄、義太夫を並べて順に演奏して見せてくれて、凄くためになった。音楽は不得意で、今までは違いがわからなかった。視覚的な区別としては、本をのせる台に房が下がってるのが義太夫、ライオン足になってるのが常磐津、折り畳み椅子のように交差してるのが長唄。
「紅葉狩」では、常磐津、長唄、義太夫の全部が使われている。

2人で、女形の説明をした。肩甲骨をくっつけて肩を落とし、両膝をくっつけて内またで歩く、とか。隼人が、扇をもってくるりと回る更科姫の動きを一瞬やって見せ、扇は大事な役割を果たすと説明した。

2人で立ち回りもやって見せた。

最後は2人で頭を下げながらスッポンから下がっていった。

「紅葉狩」

誰も踊れないのに何故に舞踊演目をやるのだと思ったが、明るくて元気で楽しかった。

錦之助が、誰かか踊る姿を見ている様子は優雅で好きだ。「十二夜」で大篠左大臣が踊る琵琶姫を見ていたときのように、更科姫(扇雀)の踊りを見る維茂も良かった。

扇雀は、鬼女の姿になったときが、この人のニンだろう。

隼人は解説のときのイケメンぶりとは違って、女形の姿は苦しい。ただ座っているときも綺麗ではないし、踊りもうまくはない。試練だ。客としては、何十年か後に「隼人の野菊を観た」とレアな体験を自慢するのを楽しみにしている。長生きがしたいものだ。

山神の虎之介が良かった。大人でも子供でもない微妙な年頃が、神の力を感じさせる。

高麗蔵(田毎)は、前回の演舞場でも同じ役だった。品があって踊りもうまい。

左源太役の薪車は踊りは元々あまりうまくなくて、右源太の宗之助と並んで動くと宗之助の方がうまいのがはっきりわかるのに、杖を持って座頭の役を踊ると意外とさまになる。華があって得をしている。

腰元岩橋は山左衛門。コミカルな感じが面白い。