歌舞伎座こけら落とし 初日 第二部2013/04/02 20:21

2013年4月2日 歌舞伎座 午後2時40分開演 2階7列32番

銀座線の銀座で降りて地下道を歩き、久しぶりに歌舞伎座へ行く前の、面倒な階段と通路を通った。以前は歌舞伎座前に出る階段があったところが、地下広場になっていて、店舗や座るところができていた。
幕間に食べる大福を買って、エスカレーターで地上に出た。

歌舞伎座の玄関を入ったところは、旧歌舞伎座と同じだった。左側で筋書を売っていて、長い列が3列もあったので、2階に行ってから買おうかと思ったが、2階で売ってないかもしれないので1階で買った。1500円。

上手のエスカレーターで地下に降りてトイレに寄ってから、エスカレーターで2階に上がった。2階でも筋書を売っていた。中央の吹き抜けは旧歌舞伎座と同じで、周りにソファがあり、絵が飾ってあって、絵の向かい側のソファの前にはテーブルがあるのも同じ。吹き抜けの下手側の店はなくなった。

2階7列32番からは、花道は前の人の頭に隠れて見えない。役者が出てくると、上半身は見える。白浪五人男が花道に勢ぞろいすると、一番後ろの日本駄右衛門の傘までは見える。助六はここでは見たくないと思った。

「弁天娘女男白浪」

菊五郎の弁天小僧はさよなら公演のときにも観た。私にとっては、女殺油地獄の与兵衛が孝夫で決まりなのと同じくらい、弁天小僧は菊五郎に限る。すごく自然で、あぶなっかしいところがどこもなくて、楽しい。
こけら落としの最初に、この芝居を観られて良かった。

5人が勢ぞろいして台詞を言うところより、「知らざあ、言ってきかせやしょう」と言うあたりの衣装や座っている形がかっこいい。ああいう、グダグダなのに美しいものを見せてくれるから歌舞伎は好きだ。

鳶頭の幸四郎、南郷力丸役の左團次、弁天の菊五郎と70代の大御所が並ぶ贅沢な舞台。

菊之助は若旦那の宗之助のような役だと文句なくうまい。浜松屋幸兵衛は、初めは誰がやってるのかわからなかったが、声をきいているうちに彦三郎だと気づいた。

番頭(橘太郎)の「この番頭も添い寝したいくらいの、いい男振り」という台詞は結構すごいと思う。

丁稚の「おは~~い」は本当にべらぼうに長かった。

勢揃いのところで、赤星の時蔵と忠信利平の三津五郎が加わる。捕手と立ち回りの後、最後に決まる形は、上から全体を見ると、背中を踏まれている捕手達も見事に美しい形で決まっていて感動する。

ここで終わりだと思って、ロビーで大福を食べたのだが、席に戻ったら次の幕は将門ではなくて、弁天の大屋根の立ち回りだった。捕手役の人たちの見せ場で、菊五郎は年齢のわりによくがんばっていた。最後に腹を切って、大屋根のがんどう返し。この場は、私の席からは真正面で、よく見えた。

がんどう返しの後は山門のせり上がり。岩淵の三次(錦之助)と関戸の吾助(松江)が、日本駄右衛門を捕えようとする。

山門がまたせり上がって、青砥左衛門藤綱(梅玉)、伊皿子七郎(友右衛門)、木下川八郎(團蔵)が現れる。

最後の山門の場面はあまり面白くなかった。さよならの時に観た、浜松屋の場の後、番頭の悪事が露見したり、生き別れの親子が見つかったりする場面の方が面白かった。今月はご祝儀で、良い役者をたくさん出したいのかもしれない。

20分の幕間に3階へ行って、思い出の歌舞伎役者の写真を見た。新たに追加された5人。勘三郎が写真になってこちらを見ている不思議。
個々の写真が前よりも小さくなった。全部の写真が印刷された大きなシートが飾ってある、と言うべきか。

「将門」

暗い場内。花道すっぽんのあたりに灯りを持った黒衣が見えた。玉三郎の滝夜叉姫がせり上がって来る。前の席の人たちの頭を避けながら必死に玉三郎の姿を追う。

やっと、玉三郎が舞台に行く。屋台の簾が上がって、中に光圀(松緑)がいる。

この演目では、光圀の踊りが何よりも楽しみだ。松緑の踊りはうまいが、少し音とずれている感じで、まだ練れてないようだ。

玉三郎は少しの動きでも客を魅了するのが流石。遠くから見る限りでは、この演目での玉三郎と松緑の相性は悪くないようだ。

玉三郎が屋根の上に立って、私のほぼ正面にいるところで幕になった。

歌舞伎座こけら落とし 二日目 第二部2013/04/03 23:36

2013年4月3日 歌舞伎座 午後2時40分開演 1階4列42番

雨にも負けず風にも負けず、きょうも歌舞伎座に行って、昨日と同じ第二部を観た。きょうのチケットは葉書で当たった分だ。初日は絶対当たらないと思ったので、2日目を第一希望にしたが、その後チケットWEB松竹で初日の席が買えたので、葉書が当たっても引き取るのをやめようかと思った。しかし初日の席は2階で、2日目の席は1階だったので、両方に座って見え方を確認することにしたのだ。

きょうは地下広場をひとめぐりしてみた。タリーズやコンビニや食事処、歌舞伎関係の土産物屋、臨時の売店等があって、人がたくさんいた。きのう大福を買ったのは「はなみち」という店だった。フォションの歌舞伎エクレアというのを売っていて買いたかったが、人が並んでいたのでやめた。

歌舞伎座に入って、昨日は行かなかった1階上手の売店に行った。混みあっていて、商品を選んでも店員が見つからず、逆の入り口まで行ってもレジもなく、制服を着た人に「レジはどこですか」と聞いたら、その人が包んでくれた。旧歌舞伎座にあった佃煮屋さんが入っていて、久しぶりにタラコの佃煮を買った。私の顔を覚えていて、歌舞伎座の一筆箋をくれた。

トイレで手を洗う場所を探している人もいたし、まだ客も中の人も新しいシステムに慣れていない。

「弁天娘女男白浪」

きょうの席からの見え方は、旧歌舞伎座時代と同じだろう。舞台には近いが、前の人たちの頭で下の方がところどころ見えなくなる。だから浜松屋の場は、昨日の2階席の方がずっとストレスなく見られた。1階席にももう少し傾斜をつければ良かったのにと思う。

「将門」

花道は昨日よりはるかによく見える。同じ列の人が花道を見るために頭を前に動かさなければだが。
暗い客席。差し金の先に面灯りをつけた黒衣2人が舞台の下手と花道の後ろからすっぽんに近づき、やがてすっぽんから白い煙が上がり、滝夜叉が現れる。きょうはその全身が見えた。きのうは滝夜叉が文を読んでいる様子など全くわからなかった。

舞台に来てからも滝夜叉姫の顔はあまり低い位置にならないので、人の頭に隠されて苛立つことはなかった。だから、この演目は全体を通して昨日よりずっと良く見えた。

光圀(松緑)の踊りは昨日より音楽に乗っているように感じた。松緑の繊細でしなやかな踊りは玉三郎と合う。きのう、この演目で玉三郎と松緑の相性が良いと感じたのは2人の踊りが合うからだろう。光圀一人の踊りも良かったが、2人で踊るところもとても良かった。だから、2人の踊りが終わったあたりで拍手したかったが、その時間はなくてすぐに滝夜叉姫が正体を現す。その後、玉三郎の見得のたびに拍手のタイミングがあるのだが、本当はそこで拍手したいわけではない。拍手したい時に拍手できないのが、この演目の欠点かなと思う。

きょうは上出来で楽しめたので、2人が屋根の上にいる幕切れのときに思い切り拍手した。

NHK文化センター 名優トーク 花形役者・片岡愛之助2013/04/22 21:29

2013年4月22日 阪急うめだホール 午後1時半~3時 

開演10分前くらいに着いて上手後方に座った。後ろは階段になっているので、遠いが良く見えた。

司会の葛西聖司さんによると、きょうの一番乗りは9時半に来たそうだ。阪急開店前。 一番乗りの人と言われて手を挙げた人は、最前列の真ん中に座っていた。 葛西さんの音頭で「松嶋屋」と呼ぶと、愛之助は葛西さんが見ていた舞台上手ではなく、客席後方の下手の方から通路を通って出てきた。藤色の着物に薄いグレーの袴。

きのうがこんぴら歌舞伎の千秋楽で、葛西さんが「こんぴらに行った人、拍手してください」と言うと、たくさんいた。

愛之助 「葛西さんは人をつかまえるのがうまい。自分は千秋楽がいつかも知らないのに、21日が千秋楽だから22日は大丈夫のはず、と言われた」

愛之助によると、新しい歌舞伎座の楽屋は広くて綺麗だそうだ。

普通は仕事をするときは契約書をかわすのだろうが、自分たちの仕事は口約束。何ヶ月か先のチラシを見て、「あ、ここに出る」と知ることさえある。自分たちは松竹の社員ではない。
愛之助「社員ならまだいい。ボーナスも休みもある」
葛西「皆さん、これ、ブログに書いちゃダメですよ」
愛之助「書いても良いです。改善されるかもしれない」


富樫は我當に教わった。我當は関西で弁慶も何度もやったことがあって、よく知っている。愛之助は我當の富樫の太刀持ちもしたことがある。

太刀持ちは何度もやった。幸四郎は富樫の出の前に浄めの塩をたくさん使う。そのたびに、後ろにいた自分にたくさん塩がかかって、頭に塩をかぶって出て行った。

太刀持ち音若の席は特等席。子供なので、台詞を全部覚えてしまう。

ここで葛西さんが一言。梅幸も音若をやったことがあって、その時、父の菊五郎の義経をじっと見ていた。手が綺麗だったという。

こんぴらでやった鳥辺山の半九郎は3回目。相手役のお染は亀治郎、孝太郎、春猿。それぞれ違う。
春猿はハイカラ(愛之助)、バタ臭い(葛西)。
春猿は秀太郎に教わった。秀太郎はお染の役を一度しかやったことがないが、いろんな人の型をやってみせて、その中で気に入った役をやりなさいと言った。
春猿も亀治郎も良い匂いがする。孝太郎は無臭。

右近が敵役。その弟が猿弥。配役に無理があるだろう、と皆で言い合った。源三郎役の猿弥は自分の近くに来て台詞を言うが、しょっちゅう酒臭い。
イタズラしたことがある。花道を歩いていく源三郎を半九郎が呼び止めるシーンがあるが、一度、わざと呼び止めないで、どこまで行くか見ていた。歩くスピードがだんだん遅くなっていた。


2月の松竹座について。若い役者が多かったので深い芸は見せられないと思った。勢いだけ。各自が自分の役を掘り下げて楽しんでくれたので良かった。秀太郎、翫雀が出るとしまる。芝居のレベルが上がる。
自分は客からパワーをもらい、2月は全く疲れなかった。

葛西さんも観に行った。二階で見ていて、特に立ち回りが素晴らしいと思った。愛之助は、二階に梯子で登るとき、刀を落とすまいと大変だった。

フラメンコはシスティーナのときは小島に、松竹座のときは佐藤に教わった。浅草で富樫をやった後、フラメンコの稽古をしていた。足の裏が痛くなった。GOEMONはもう1回やりたい。
葛西「GOEMONは歌舞伎座でやるべき」

歌は好きで、ミュージカルをやりたい。

ここで席とっかえ。葛西さんが、「こっちの人は僕の顔なんか見たくないでしょ」と言って、上手にいた愛之助が下手の席に移った。葛西さんはジュース休憩と言って、愛之助にジュースをすすめた。普段はストローなんか使わないでしょと言われていたが、ストローを使ってちょっと首を傾げたりしながら飲んでいた。その後、葛西さんが愛之助を見つめながらジュースを飲んだ。

芝居中、笑ってしまうことがある。獅童にはよく笑わされる。 「あいつ悪い奴なんですよ」 犬みたいに、いつのまにか近くに来てハッハッハッとやってる。

こんぴらの義経の役のとき「きせなが」を「きながし」と言ってしまった。自分で気がつかなかったので笑わずにすんだが、後で猿之助に言われた。

寿猿は82歳。口上で、毎日寿猿が言っていることを先に秀太郎が全部言ってしまった。秀太郎が話し出したら「あーっ、あーっ」と声を発していた。自分の番になったら、秀太郎の名前も出てこなくて「あの人が言われたとおり・・・」そして、「もう一度復習します」と言って、いつもの口上を始めた。寿猿は演目名を書いた紙を自分の前に置いているが、猿之助が取れというので、取った。すると寿猿は口上の前、ソワソワして挙動不審になり、口上も初めは良かったが次第におかしくなって、最後は猿之助をよろしくと言わなければいけないのに「今後とも私をよろしく」と言ってしまった。
「それはイジメですよ」という葛西さん。でも、寿猿はいじられるのが好きなのだそうだ。

寿猿の話をしている時の愛之助を葛西さんは「人の不幸を語る嬉しそうな愛ちゃん」と言った。

葛西さんは、「愛之助さんが大評判になった演目」として外郎売の台詞をプリントした紙を渡し、その一部を客席に「言えますか」ときいたり、愛之助に言わせたりしていた。先輩アナウンサーが新人を指導しているような雰囲気だったが、葛西さんは「おちゃたちょ、ちゃたちょ、ちゃっとたちょ」のところが嫌いだそうだ。
これは再演はないでしょうねえ、という。失敗できないので毎日ドキドキしていたそうだ。愛之助は、團十郎がやったときも毎日練習していて、トイレから「ぶぐ、ばぐ、ぶぐ、・・・・」と聞こえてきた、と声色風に言った。
愛之助によると、外郎売の台詞はアナウンサーや普通の役者は訓練で必ず練習するが、歌舞伎役者はやらないのだそうだ。
最後に、外郎売の台詞を何行か言ったが、それが團十郎の真似だったのでとってもとっても嬉しかった。「喉が開くんですよね」と葛西さんと言い合っていた。

葛西さんは、ちょっと暗くしてくださいと言って、スライドで「鯉つかみ」の滝窓志賀之助の写真を見せた。

この役も我當に教わった。我當は南座の夏芝居でやったことがある。葛西さんは学生のとき学割で観たそうだ。
永楽館でやった時の鯉の中の人は 佑次郎。シュノーケルを使って水中に潜っていた。
鯉は何種類かあって、大きな鯉を振り回していたら肩が痛くなった。四十肩が来たかと思って医者に行ったら筋肉の使い過ぎだった。

客に配布されていた五月明治座のチラシを見ながら話を続けた。

与三郎は少し気持ち悪い。自分は大阪の人間なので、あまり気持ちよくはやれない。

染五郎とは「あーちゃん」「愛ちゃん」と呼び合っている。
葛西「二枚目で役がかぶるから、お互いに役とられないかと心配してるんじゃないの?」

葛西「このチラシに出ている全員の中で、誰が一番嫌い?」

吉弥はまじめで面白いからいつもいっしょにいたい。

多左衛門は初役。初めて歌舞伎に出たときに丁稚をやった。
与三郎は当時の海老蔵、お富は澤村藤十郎、多左衛門は孝夫。

明治座は、新築後のこけら落としのときに出た後は、北大路欣也が忠臣蔵やったときの浅野内匠頭、「五辨の椿」で菊川怜と共演して以来。

8月はABKAIに出る。自主公演なのに長い。
自分でできるのは良いこと。松竹がなくなっても芝居ができる。

映画のシベ超に出る。

別の映画で、自分の役をこんな男前の人にやってもらえるんですか、と言われた役をやる。

国立文楽劇場 平成25年4月 文楽公演2013/04/26 01:03

2013年4月22日、23日 国立文楽劇場

愛之助のトークショーがあったので大阪に行った。日帰りではもったいないので一泊し、国立文楽劇場の夜の公演、昼の公演の順に観た。どちろも最後列上手の席。

文楽は20年以上前に国立劇場で「曽根崎心中」を観たきりだ。

国立文楽劇場は舞踊の公演に何度か来たが、ここで文楽を見るのは初めてだ。国立劇場で観たときのことはあまり覚えていないので、人形遣いによる太夫と三味線奏者の紹介とか、太夫さんが本を顔の前に持ち上げる仕草が目新しかった。

後ろの席だと舞台の上に出る字幕が読みやすい。夜の「心中天網島」では、ほとんど字幕を読みながら語りを聴いていて、人形にはあまり目が行かなかった。歌舞伎だと義太夫はほとんど芝居の背景に埋没していて、語りの内容は耳を素通りしていることが多いが、文楽だと義太夫が主役、人形劇の方は小説の挿絵程度のもののように感じた。

歌舞伎の「心中天網島」は好きだ。特に河庄の場面は、別れなくてはならないことは頭では十分わかっていて、それでもなお別れかねる男女のありさまをよく切り取ったものだと思う。近松晩年の作であることに納得。
文楽だと、小春と軽口をたたく丁稚は出てこない。あの丁稚は歌舞伎が娯楽性を高めるために追加したものか。
治兵衛は毎月起請を出すなんて、28にもなって恋愛に入れ込みすぎだろう。他にすることはないのか。こんなバカ男と死ぬはめになった19の小春がもったいない。
「時雨の炬燵」の場面もある。女房おさんは、親に離縁を迫られるが、治兵衛に心を残していると思う。
この芝居を観るとフランス映画の「隣の女」を思い出す。

昼の部は「伽羅先代萩」、「野崎村」、「釣女」

「伽羅先代萩」の若様は歌舞伎の鶴千代とは違って鶴喜代という。ママ炊きの場が、眠い時間帯だったこともあって長くてうんざりした。歌舞伎でもこの場は嫌い。 米を砥いで炊き上がるまでは時間がかかるので大人でも空腹のときは別のものを食べるのに、子供を待たせてというのは現実的でない。この時代でも、ゆで卵とか干し芋でも隠し持っていて、ご飯が炊ける前に食べさせてやることくらいできただろう。つかえない乳母だ。

「床下」では、ねずみは人形でなくて、歌舞伎と同じ人間の着ぐるみ。仁木弾正(文楽の役名は貝田勘解由)も出る。花道はないので煙とともに舞台上に現れる。花道の引き上げはなく、荒獅子男之助(松ヶ枝節之助)とともに舞台にいて幕となり、2人いっしょに視界に入るのが私には新鮮だった。

「野崎村」は歌舞伎の演目としては好きではないが、人形劇としては面白かった。おみつが大根を切るし、最後に出てくる駕籠かきや船頭の動きも面白い。それに、本物の上方弁の語りが珍しくて聞き惚れた。歌舞伎では、関西の役者が演じた野崎村を観た覚えがない。

「釣女」は松羽目もの。 「野崎村」で人形を見るのに慣れたせいか、義太夫を聴くよりも目で人形を追う方が主になった。この変化が文楽の人形に慣れたせいなのか、演目の違いによるのかはわからない。

歌舞伎座こけら落とし 第一部2013/04/28 20:02

2013年4月24日 午前11時開演 3階1列5番

「壽祝歌舞伎華彩(ことぶきいわうかぶきのいろどり)」

新しい歌舞伎座の第一部最初の演目の舞台に真っ先に現れるのは「春の君」の染五郎。女御は魁春。

宮中の男女10人がせり上がってきて踊る。
男女が組になっていて、下手の2人がわからなくてプログラムを見たら廣太郎と廣松兄弟だった。その隣が順に壱太郎と松也、高麗蔵と権十郎、梅枝と亀鶴、右近と萬太郎。

やがて鶴の藤十郎がせり上がって来る。

ほぼ三世代が同じ舞台で踊る、華やかでおめでたい演目だった。

歌舞伎の舞台なのに女性たちが後ろで楽器を演奏しているのが珍しかった。

「お祭り」

十八世中村勘三郎に捧ぐ、とついた演目で、平成中村座のレギュラーメンバーが勢ぞろい。少し遅れて勘太郎と七之助が七緒八を連れて花道を通って出て来た。鳶頭役の三津五郎が「挨拶しとけば安心だ」とか言っていた。

順番に前に出て踊る。
最初は弥十郎、獅童、亀蔵。獅童は踊りは決してうまくないが、決まり方がかっこいい。
三津五郎と勘太郎のソロの踊りが本命だが、もう少し長く踊ってほしかった。
橋之助の息子3人プラス虎之助とか、児太郎、巳之助、新悟とか、年齢が近いグループが踊るのを見るのが楽しかった。

「熊谷陣屋」

相模役の玉三郎が、誰もいない舞台に登場する。美しい。ここまでで終わっても満足。直美(吉右衛門)の横で、堤軍次(又五郎)と身振り手振りで何かもめているのが面白い。

藤の方の菊之助は、きりっとしているが息子の敦盛を思う母の気持ちも出ていて良かった。直実に腕をつかまれるところで、去年の南座を思い出した。大人が子どもの手をひねっているように見えた吉右衛門と壱太郎の姿が忘れられない。

義経役の仁左衛門はやたらに存在感がある。背が高いので、座敷の中に占める割合が大きい。四天王は歌昇、種之助、米吉と、桂三。