第14回 伝統歌舞伎保存会研修発表会 ― 2014/10/26 04:55
2014年10月25日 国立劇場大劇場 午後6時開演 一階上手後方で観劇
きょうは幕が開いたら羽織袴の染五郎が立っていて、その後、魁春、友右衛門、芝雀、東蔵が出て来た。染五郎が今月の舞台の写真を見せて「双蝶々曲輪日記」全体の話と役を説明しながら、その合間に各役者の話を聞いた。「角力場」の吾妻の姉が「引窓」のお早なのか、と思いながら聞く。それが終わって幕が下がると、一人幕外にいた染五郎の紹介で幸四郎が現れ、「引窓」の話をした。そういえば、「挑む」のときは舞台装置も使って松也がポイントを説明してくれたな、と思い出した。あの時も放生会の話が出た。きょうは、濡髪がつながれていた引窓の綱を与兵衛が切るあたりの台詞から最後までをかなり詳しく教えてくれて、この後の芝居でそれを確認する感じで観たので、よくわかった。こういう風に、役者が芝居の解説をしてくれるのは有難味がある。あの時幸四郎が「引窓」の最後のところについて教えてくれて、それでよくわかった、ということは一生忘れないだろう。
「引窓」
最初に出てくるお早(廣松)。お馬に乗ってハイシードードーのところを始め全体の所作が、踊りのうまい廣松ならきっと綺麗だろうと期待していたが、期待通り。最近は女形は安心して観られる域に達している。終始弾んでいるような若妻だった壱太郎のお早と比べると、しっとり落ち着いた感じがする。
母お幸は幸雀。この中に入ると大ベテランで台詞や動きは安定しているが、少し情が薄い。一回限りの公演だと情を出すのが難しいのかもしれない。
花道から出てくる濡髪(廣太郎)。ほっそりした廣太郎にお相撲さんの役なんかできるのかと思ったが、予想よりずっと良かった。顔が綺麗。横から見ると詰め物をしているのがよくわかるが不自然なところはなく、台詞もずいぶん歌舞伎らしくなった。後半、落ちやんしょう、など言う強い調子の台詞の声が若い男らしくて良い。たぶん全部の役の中で廣太郎が一番本人の性別、年齢に近い役をやっていることの強みか。見た目のせいか濡髪にはいつも感情移入できないのだが、今回は廣太郎だったので可愛いと思った。
与兵衛、後に十次兵衛役の松江が良かった。綱を腕にクルクル巻いてしまいこむところの動きなどを見ると不器用なのかなと思う。全身の雰囲気が甘ったれの息子みたいなので、この人は、生さぬ仲の母にもきっと可愛がってもらってるんだろうな、と思える。だから、「私はあなたの子でございますぞ」というところは「ママは僕のこと本当の息子と思って可愛がってくれてると思ってたのに~」と落胆してるのだろうと説得力を持つ。人相書を手にして、濡髪と母の関係に気づくところの動きは分かりやすくて良かった。
お早が与兵衛より濡髪と仲良さそうに見えてしまうのは、まあ、仕方がないか。
三原伝造役の錦成。「趣向の華」の時にロビーにいたのを見た覚えがあるが、あれは中学生くらいだった。今は高校だろうが、しっかりした大人の声なのでびっくりした。
きょうは幕が開いたら羽織袴の染五郎が立っていて、その後、魁春、友右衛門、芝雀、東蔵が出て来た。染五郎が今月の舞台の写真を見せて「双蝶々曲輪日記」全体の話と役を説明しながら、その合間に各役者の話を聞いた。「角力場」の吾妻の姉が「引窓」のお早なのか、と思いながら聞く。それが終わって幕が下がると、一人幕外にいた染五郎の紹介で幸四郎が現れ、「引窓」の話をした。そういえば、「挑む」のときは舞台装置も使って松也がポイントを説明してくれたな、と思い出した。あの時も放生会の話が出た。きょうは、濡髪がつながれていた引窓の綱を与兵衛が切るあたりの台詞から最後までをかなり詳しく教えてくれて、この後の芝居でそれを確認する感じで観たので、よくわかった。こういう風に、役者が芝居の解説をしてくれるのは有難味がある。あの時幸四郎が「引窓」の最後のところについて教えてくれて、それでよくわかった、ということは一生忘れないだろう。
「引窓」
最初に出てくるお早(廣松)。お馬に乗ってハイシードードーのところを始め全体の所作が、踊りのうまい廣松ならきっと綺麗だろうと期待していたが、期待通り。最近は女形は安心して観られる域に達している。終始弾んでいるような若妻だった壱太郎のお早と比べると、しっとり落ち着いた感じがする。
母お幸は幸雀。この中に入ると大ベテランで台詞や動きは安定しているが、少し情が薄い。一回限りの公演だと情を出すのが難しいのかもしれない。
花道から出てくる濡髪(廣太郎)。ほっそりした廣太郎にお相撲さんの役なんかできるのかと思ったが、予想よりずっと良かった。顔が綺麗。横から見ると詰め物をしているのがよくわかるが不自然なところはなく、台詞もずいぶん歌舞伎らしくなった。後半、落ちやんしょう、など言う強い調子の台詞の声が若い男らしくて良い。たぶん全部の役の中で廣太郎が一番本人の性別、年齢に近い役をやっていることの強みか。見た目のせいか濡髪にはいつも感情移入できないのだが、今回は廣太郎だったので可愛いと思った。
与兵衛、後に十次兵衛役の松江が良かった。綱を腕にクルクル巻いてしまいこむところの動きなどを見ると不器用なのかなと思う。全身の雰囲気が甘ったれの息子みたいなので、この人は、生さぬ仲の母にもきっと可愛がってもらってるんだろうな、と思える。だから、「私はあなたの子でございますぞ」というところは「ママは僕のこと本当の息子と思って可愛がってくれてると思ってたのに~」と落胆してるのだろうと説得力を持つ。人相書を手にして、濡髪と母の関係に気づくところの動きは分かりやすくて良かった。
お早が与兵衛より濡髪と仲良さそうに見えてしまうのは、まあ、仕方がないか。
三原伝造役の錦成。「趣向の華」の時にロビーにいたのを見た覚えがあるが、あれは中学生くらいだった。今は高校だろうが、しっかりした大人の声なのでびっくりした。
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