新春浅草歌舞伎 初日 第二部 ― 2015/01/03 00:48
2015年1月2日 浅草公会堂 午後3時開演 一階き列19番
挨拶は米吉と種之助の従兄弟。米吉は口が達者。種之助はちょっと口下手。小川家の人間が歌舞伎界にはたくさんいて、浅草にはその小川家に所縁の神社がある、という話をした。
演目の説明で、米吉が、イスカという鳥がいて、くちばしが上下食い違っていて、勘平の台詞に「いすかの口のなんとかいうのがある」と言って、「いすかの~」の後が出て来なかったら、客席から「いすかのはしの食い違い」と教えられていた。「女形なので勘平役はやらないかと思って」と米吉が言った。
知らない言葉だったので調べてみたが、イスカのくちばしの上下食い違った形から、物事が食い違って思うようにならないことを「イスカのはしの食い違い」と言うそうだ。そして、勘平の台詞の中に「交喙(いすか)の嘴(はし)と 食い違い 言い訳無さに 勘平が・・・」というのがあるそうだ。ひとつ利口になった。
「忠臣蔵 五段目・六段目」
松也の勘平は危なげがなくて良い出来。「30になるやならず」の勘平を、今29歳の松也が演じる。さらっと演じる菊五郎と違って松也はところどころで表情豊か。定九郎の死体を確認して去ろうとして、もう一度死体のところへ戻る前の花道での表情が印象的だった。
おかるを呼び戻して膝の上に乗せるときは、菊五郎と同じく自分が動いておかるの方に身体を向けるようにしていた。わーっと泣き伏すところは、おかるともども派手に泣いているが、まあ、若い人だからしかたないかと思う。
気になったのは、おかや(芝喜松)と二人での演技がまだしっかりからんでいる感じがしないのと、勘平の台詞で一番楽しみな「いかなればこそ勘平は」以下の一連の台詞が力が抜けすぎているような感じで、やや聞き取りにくいことだ。
巳之助の定九郎は、稲掛けからつき出た手がパッと広がってわかりやすい。姿を現したとき、すごく痩せているのに今更ながら驚く。去年の「上州土産百両首」 の牙次郎の役にはあの身体がピッタリだったが、定九郎はもう少し肉付きがないと観客サービスにならないのではないか。猪より軽そうで、松也があんな風に引っ張ったら、すぐズルズル動いてしまいそうに見える。
おかる役の児太郎は、今月は全体的にどの役も破綻がない。
二人で勘平を訪ねて来る千崎弥五郎(隼人)と不破数右衛門(歌昇)は、大人びた化粧をしている。二人とも勘平ができそうなイケメンだが、特に隼人は最近いい男度が増した。二人とも勘平より年上の設定なのだろうが、不破は千崎より年上なんだろうと、今までぼーっとしていて気づかなかったが今回の二人を見て初めてはっきり意識した。
「猩々」
種之助の猩々は又五郎歌昇襲名の南座で観たことがある。第一部の「独楽売」では種之助の踊りがじっくり観られなくて物足りなかったので、この演目は嬉しい。酒売り役は隼人。
猩々は赤い毛の生き物。妖精らしい。酒を飲んで酔っぱらった踊りもある。
種之助が花道にいて幕がしまり、お囃子が四人、幕の外に出てきて、幕外の引っ込みになった。大きく動いて、クルクルまわるところもあり、なかなか見応えがあった。たぶん、次の幕の用意のために幕を閉めるのだろうが、種之助にとってはラッキーなことだ。
「俄獅子」
鳶頭の松也、歌昇、巳之助、芸者の米吉、児太郎が中心の舞踊。花道から松也が出てくるのを待って、客席といっしょに一本締めをする。松也はこの演目でも中心なので、第二部はほとんど松也祭り状態。それに違和感がないくらい松也は堂々としていた。
ただ踊りが一番うまいのは歌昇。歌昇と児太郎がいっしょに踊るときがこの演目の中では一番レベルが高かったと思う。
これもお正月らしく華やかな演目だった。
挨拶は米吉と種之助の従兄弟。米吉は口が達者。種之助はちょっと口下手。小川家の人間が歌舞伎界にはたくさんいて、浅草にはその小川家に所縁の神社がある、という話をした。
演目の説明で、米吉が、イスカという鳥がいて、くちばしが上下食い違っていて、勘平の台詞に「いすかの口のなんとかいうのがある」と言って、「いすかの~」の後が出て来なかったら、客席から「いすかのはしの食い違い」と教えられていた。「女形なので勘平役はやらないかと思って」と米吉が言った。
知らない言葉だったので調べてみたが、イスカのくちばしの上下食い違った形から、物事が食い違って思うようにならないことを「イスカのはしの食い違い」と言うそうだ。そして、勘平の台詞の中に「交喙(いすか)の嘴(はし)と 食い違い 言い訳無さに 勘平が・・・」というのがあるそうだ。ひとつ利口になった。
「忠臣蔵 五段目・六段目」
松也の勘平は危なげがなくて良い出来。「30になるやならず」の勘平を、今29歳の松也が演じる。さらっと演じる菊五郎と違って松也はところどころで表情豊か。定九郎の死体を確認して去ろうとして、もう一度死体のところへ戻る前の花道での表情が印象的だった。
おかるを呼び戻して膝の上に乗せるときは、菊五郎と同じく自分が動いておかるの方に身体を向けるようにしていた。わーっと泣き伏すところは、おかるともども派手に泣いているが、まあ、若い人だからしかたないかと思う。
気になったのは、おかや(芝喜松)と二人での演技がまだしっかりからんでいる感じがしないのと、勘平の台詞で一番楽しみな「いかなればこそ勘平は」以下の一連の台詞が力が抜けすぎているような感じで、やや聞き取りにくいことだ。
巳之助の定九郎は、稲掛けからつき出た手がパッと広がってわかりやすい。姿を現したとき、すごく痩せているのに今更ながら驚く。去年の「上州土産百両首」 の牙次郎の役にはあの身体がピッタリだったが、定九郎はもう少し肉付きがないと観客サービスにならないのではないか。猪より軽そうで、松也があんな風に引っ張ったら、すぐズルズル動いてしまいそうに見える。
おかる役の児太郎は、今月は全体的にどの役も破綻がない。
二人で勘平を訪ねて来る千崎弥五郎(隼人)と不破数右衛門(歌昇)は、大人びた化粧をしている。二人とも勘平ができそうなイケメンだが、特に隼人は最近いい男度が増した。二人とも勘平より年上の設定なのだろうが、不破は千崎より年上なんだろうと、今までぼーっとしていて気づかなかったが今回の二人を見て初めてはっきり意識した。
「猩々」
種之助の猩々は又五郎歌昇襲名の南座で観たことがある。第一部の「独楽売」では種之助の踊りがじっくり観られなくて物足りなかったので、この演目は嬉しい。酒売り役は隼人。
猩々は赤い毛の生き物。妖精らしい。酒を飲んで酔っぱらった踊りもある。
種之助が花道にいて幕がしまり、お囃子が四人、幕の外に出てきて、幕外の引っ込みになった。大きく動いて、クルクルまわるところもあり、なかなか見応えがあった。たぶん、次の幕の用意のために幕を閉めるのだろうが、種之助にとってはラッキーなことだ。
「俄獅子」
鳶頭の松也、歌昇、巳之助、芸者の米吉、児太郎が中心の舞踊。花道から松也が出てくるのを待って、客席といっしょに一本締めをする。松也はこの演目でも中心なので、第二部はほとんど松也祭り状態。それに違和感がないくらい松也は堂々としていた。
ただ踊りが一番うまいのは歌昇。歌昇と児太郎がいっしょに踊るときがこの演目の中では一番レベルが高かったと思う。
これもお正月らしく華やかな演目だった。
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