四代目中村鴈治郎襲名披露 四月大歌舞伎 夜の部2015/04/05 00:30

2015年4月3日 歌舞伎座 午後4時半開演 2階東11の2

「梶原平三誉石切」

何度も観ているが好きになれない演目なのでどうでもいいのだが、舞台下手にいて花道も動く梢役の壱太郎がこの席からよく見え、紅一点ということもあり、目についた。
下手に座る梶原方の大名は由次郎、松江、廣太郎、松之助。前回観たときの歌昇、種之助、米吉、隼人に比べると、今回はずいぶん年齢分布が広い。
俣野は錦之助。赤っ面のこの役は、前に愛之助がやったときには鼻が丸いせいか面白い顔になっていたのに、錦之助はあくまで良い男。舞台の真中で主役の幸四郎とからむ時、そういえば愛之助のときも主役は幸四郎だったと思い出した。

「芝居前」

襲名の口上のかわりに、芝居仕立ての幕がある。
成駒屋一門の役者が芝居小屋の前に集まっている。そこに、道頓堀座元の仁左衛門に案内されて鴈治郎が来る。小屋の中から菊五郎、吉右衛門、梅玉が出てきて出迎える。
梅玉は「正月の道頓堀の芝居以来」と言って鴈治郎もそれに返していたが、菊五郎、吉右衛門は台詞がちゃんと入っていないらしくプロンプが聞こえて、それが何度もあるので、客が大笑いだった。
それ以外の役者たちは、立ち役が本花道、女形が仮花道に並んで、男女交互に一人ずつ決まったセリフを言う。この席は本花道はよく見えるが、仮花道は見えない。大谷友右衛門が珍しく女形の方に入っていた。
秀太郎、我當、進之介も出て来た。最後に奉行の役で幸四郎が登場。

全員が引っ込んだ後、藤十郎と息子二人、その息子たち、合計5人が裃姿で台の上に並んで出てきた。藤十郎だけ藤色の裃だった。最後に口上を述べる藤十郎のオーラがすごい。

「河庄」

三五郎役の虎之介を壱太郎と勘違いし、前に観たことがあるけど、またやるんだな、と思っていた。少し後に善六役の壱太郎が出て来たときは二役なんだと思った。

小春(芝雀)を身請けしようとしている太兵衛(染五郎)と善六が治兵衛の悪口を浄瑠璃風に語るのは、この二人には荷が重すぎた。

今まで治兵衛役は藤十郎しか観たことがなかったが、鴈治郎は悪くない。この役は二枚目である必要はなく、ただ小春と別れがたい気持ちさえ客に伝われば、この芝居のテーマは表現できる。そこをちゃんと押さえていた。

梅玉の孫右衛門は、小春の情を理解して感謝もするが、かつ「こうあるべきである」ということを弟の治兵衛に言って聞かせる分別の人、という立場がよく出ていた。

芝雀の小春は可愛くて情があり、かつ水商売の女の色気があって良い。

「石橋」

染五郎、壱太郎、虎之介が獅子の精。白獅子の染五郎が舞台の石橋の上にいてせり上がって来て、赤獅子の二人は花道から。

「河庄」では壱太郎と虎之介を見間違ったが、踊りのときは間違えない。虎之介の方が腕が短いように見える。たぶん壱太郎は肩から指の先までの動きが良い。
毛ぶりに入る前の踊りが、この三人だとモダンな感じで観てて楽しかった。