日生劇場 「染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)」 千秋楽2010/03/28 00:07

2010年3月26日 日生劇場 午後1時開演 1階XA列

千秋楽特別バージョンなのか、きょうは、煙りを出して燃えている友右衛門が最初に3階席に現れ、次に1階に現れ、花道に上がるために客の手を借りたりしていた。舞台に上がってからも、先ず上手に走ってから下手に行って、その後で階段に飛び移る、という段取りだった。

前半に観たときと比べて階段落ちも長くなっていた。いつもはそのまま舞台下に消えていたと思うが、きょうは階段を転がり落ちた後舞台前方に出てきて、その上に金色の紙吹雪が、金閣寺の雪姫のようにどっと降りかかり、客席にも飛んできた。

大奮闘の後で死体になった染五郎は、近くで見ると身体が呼吸で動いているのがわかった。それでも顔は瞼も全く動いていなくて立派。

友右衛門のパートは、衣装が年齢相応に地味になり、くだらないところが階段落ちと入れ替わって、初演より完成度が増したと思う。初演のときはあくまでも歌舞伎として観ていて、そういう意味では数馬役の愛之助の演技がより安定していると感じたが、友右衛門が今回のようになってくると、この芝居が歌舞伎風の演劇のように見えて来て、そういう観点に立つと愛之助の数馬は重すぎるような気もする。

12日の夜に1階の後ろの方で観たときは、スポットライトがはっきり光の筋として見えた。最後に友右衛門が屋台の上に立ったときには5つのスポットライトに照らされていた。屋台の上の芝居も多いので、できれば一度上の階から観たかった。

初日に観たときに、2人のほのぼのシーンがあった方が良いと思ったが、花道を手をつないで歩いて来たり、「悪いのは私だけ」「いえ、私こそ」みたいにもめているシーンが、それに当たるのかもしれない。

門之助は初めから殿様らしかったが、千秋楽のきょうは、この芝居にすっかり慣れ、周りにも馴染んで、「あっぱれー」と大きく声を張って笑いを誘っていた。襲名の時の猿之助の言葉を思い出すと、こういうタイプの役者は、この人みたいに周りが焦れるくらいゆっくりと進歩するものなのかもしれないと思う。歌舞伎界ならではの存在。


幕が閉まった後、最後に降ってきた紫色の花弁のような紙を拾い集めながら入り口に向かっていたら、幕の向こうで手打ちをしている音が聞こえた。

12日の夜は左右の席が空いていたのでチケット販売は苦戦だったのかもしれないが、千秋楽にはプログラムが売り切れていた。

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