伝統芸能の今2010/07/24 03:59

2010年7月15日 浅草公会堂 午後1時開演 1階お列19番

最初の演目は大好きな「道成寺組曲」。しかし、今回は素囃子ではなく舞囃子。謡と踊りがついた。三兄弟の掛け声を聞くのは気持ちが良かった。謡の坂口貴信は初めの方は暗い舞台の正面後方にうっすらと背後霊のように見えていたが、声がさわやかで力強く、よく見えるようになったら顔もなかなか端正だった。踊りの亀治郎が前にいても声は遮られずに聞こえていた。亀治郎は下手から、座っている囃子方の間を縫うように動いていた。自分の好みとしては素囃子の方が良かった。

次は「座談会」。上手と下手に分かれて床几に座っていて、雰囲気は勘太郎と七之助の公演の「芸談」風。しかし、内容は最初に広忠がいったように「演説会」だった。今回も前回同様「がんの子供を守る会」のためのチャリティー公演なので、一人一人、この基金が必要な理由や、会の活動に対する思いを語った。亀治郎はタテ板に水のしゃべりで、、「選挙に出るなよ」と心配になるほどだった。大河ドラマに出演していた時、銀座で赤い羽根の募金をしたら、道行く人が一斉に目をそらすので頭に来た話が面白かった。4人の話の後、「がんの子供を守る会」の人が出て来て話をした。この人は去年紀尾井ホールで話をされた時は書いたものを読んでいたが、今回は何も見ないで話をしていた。去年は、三兄弟の雰囲気に亀治郎が馴染んでないと思ったが、今年は、既に何回も公演をやって今日が千秋楽のせいか、まとまった雰囲気だった。

昼の部と夜の部の休憩時間にそれぞれ15枚、広忠が使用した大鼓の皮に皆のサインが入ったものを1枚20000円で売る、と言っていたが、さばけただろうか。

次は一調「屋島」。広忠の大鼓と坂口貴信の謡。きょうはこれが一番良かった。力強く、すっきりしている。

最後は舞踊「藤娘」。亀治郎は藤姐さんという感じ。顔から受ける印象は雀右衛門系だが、女らしさが不足している。技術的には高いが、ギスギスした女という印象を受ける。うまいとは言えても、綺麗とは言えない藤娘だった。