秀山祭九月大歌舞伎 又五郎、歌昇襲名披露 昼の部2011/09/19 15:12

2011年9月18日 新橋演舞場 午前11時開演 1階6列5番

昼の部は舞踊が2演目あるし、新歌昇が活躍して楽しかった。

「舌出し三番叟」

三番叟は好きだが、これは初めて観る。舞台中央に三番叟の染五郎。千歳の歌昇は上手に控えている。

ここは役者の足元まで見える良い席だ。染五郎は黄色い足袋だ。舌出しというだけあって、踊っている間に舌を出した。染五郎は、エンタテイナーの踊り。

襲名なんだから歌昇が三番叟を踊れば、と思ったが、この演目の千歳の踊りは時間も長くて見ごたえがあった。歌昇は丁寧に踊っていて、踊りがうまいのがよくわかった。

「新口村」

忠兵衛(藤十郎)と梅川(福助)が上半身をゴザに包み隠して登場する。福助が必死に膝を曲げて背を盗もうとしているのが見えた。ゴザを開いたが、私の席からは上手の藤十郎の顔しか見えなかった。

孫右衛門は歌六。花道を歩いて出て来た。時々足を持ち上げて下駄の歯にはさまった雪を落とす仕草をした。

この芝居は梅川と孫右衛門2人の芝居の時間が長い。
福助は神妙。歌六も良いが、若過ぎて哀れさが足りない。

「寺子屋」

幕が開くと、涎くりが猛スピードで墨をすっている。南座の時と同じだ。新歌昇の涎くりは、瑞々しくて可愛かった。管秀才が「一日に~」の台詞を言うと、「あんなこと言ってるよ」みたいな顔をする。外に出て花道の奥を見るときはつま先立ちで膝を少し曲げて歩いている。

源蔵役の新又五郎は、アキレス腱断裂とかで、花道を出てくる姿をよく見たら、右足はキプスで太く、甲高になっていて、左足も、何か詰め物をしているのか、踵の後ろに何か白いものが見えた。

迎えに来た親といっしょに子供たちが帰る時、玄蕃(段四郎)に頭を叩かれた涎くりは、茫然として花道のところまで歩いてきた後、次第に顔を歪めて泣きだした。負ぶってくれと言われて、親は花道に頭をつけて屈みこむ。その上を跳び越える涎くり。まだ何の傷もないスベスベした肌の足だった。

又五郎は、不自由な足で立ち回りもよくこなしていた。

「勢獅子」

若手が鳶頭、手古舞の役で舞台にずらりと並ぶ。そこに、花道から鳶頭が2人出てくる。梅玉と松緑。歌昇の襲名の紹介があり、梅玉の音頭で手締めをした。昼の部は全体に新歌昇に花を持たせてくれているようだ。

梅玉と松緑がいっしょに踊る。松緑はうまい。鳶頭役の歌昇、種之助が兄弟で踊った。手古舞の米吉と隼人が、扇子を二枚つけた取っ手のようなのを持っていっしょに踊った。米吉の女形を見るのは初めてだが、結構可愛い。隼人は化粧が濃くなって美人度がアップした。

獅子舞が出てきた。頭の方は、歌昇がやっているらしい。後ろは松緑かなと思ったが、確信はなかった。頭の耳が動いて可愛い。後ろ脚で頭を掻いたりする仕草が可笑しくて客の笑いを誘っていた。最後に顔を見せたら、後ろはやっぱり松緑だった。