八月納涼歌舞伎 第三部2013/08/07 02:55

2013年8月6日 歌舞伎座 午後6時20分開演 1階13列34番

「狐狸狐狸ばなし」

タイトル通り騙し騙されの、面白くて後味の良い話だった。
ドライな悪女がうまい七之助のおきわが良い。最後のこんぴらふねふねもビシッと決まった。
浮気相手の重善役の橋之助とは、気の合った綺麗なコンビ。
伊之助役の扇雀は、関西弁だと藤十郎のしゃべり方に似るが、時には玉緒にも似ていた。シェーッと驚いたりするような誇張した演技がうまい。現代的な喜劇に合う人だと思う。
亀蔵の牛娘の関西弁は私が聞いても気持ち悪い。

「棒しばり」

20年以上前に、一度だけ、勘九郎と八十助の「棒しばり」を観た。それ以来大好きな踊りになった。
今回の次郎冠者は三津五郎。後ずさりするときの足の動きをはじめ下半身の動きは見事だが、勘三郎のような上半身の愛嬌はないので、ちょっと寂しい。次郎冠者の方が大きい役だから三津五郎がやるのだろうが、実質的には若い勘九郎が踊った方が正解ではないかと思った。連れ舞の前に太郎冠者は腰をおろしてたっぷり休憩しているので、勘九郎は待ってましたとばかり元気に踊るが、続けて踊る三津五郎は疲れが出るのではないか。

いろいろ思うことはあったが、うまい人たちの踊りを見るのは楽しい。扇をくるっと回して持ち替えるところも成功して喝采を受け、三津五郎が嬉しそうだった。

勘九郎も長身なのだが、主人役の彌十郎はもう一段背が高く、身分が視覚的に分かりやすくて、太郎冠者次郎冠者がかわいく見えるので良い。すっかり酔っぱらった2人が酔っ払いの口調で酔ってないと主張する様子が笑える。最後は、逃げるどころか主人を蹴飛ばそうとまでしていて、とても好きな幕切れだ。