挑む ― 2013/08/22 22:27
2013年8月22日 日本橋劇場 午後5時半開演 1階2列2番
尾上松也の自主公演「挑む」は、初回から観たいと思っていたのだがなかなか都合がつかず、今回やっと観ることができた。もう5回目だそうだ。
最初に、國矢、左字郎、音一朗が通路から出てきて舞台に上がり、幕の前でスーツ姿で話した。三人のうち國矢はよく知っている。左字郎は顔立ちがどことなく亀治郎に似ている人。音一朗は今風の可愛い顔でもてそうな男。
長唄「助六」
上野不忍華舞台で愛之助が常磐津の助六を踊ったのを観たことがある。やはり素踊りで、助六の傘と尺八と印篭だけ持っていた。きょうの松也は傘だけ。はじめに歌だけが流れていて、そこに傘で顔をかくした助六が出てくるのは同じ。
顔がよく見える席だったからかもしれないが、終始難しい顔をして踊っているのが気になった。松也はいい男なのに、かっこ良さを感じなかった。踊りのうまい下手は関係なく、舞台に出たからには愛之助みたいに自信たっぷりに踊った方が良い思う。
幕間の後、次の幕が始まる前に松也が花道七三に立って挨拶。つま先が少し開いたスリッパみたいなのを履いていた。次の演目の説明をした後、プレゼントの抽選があった。私の座席と舞台の間のスペースにプレゼントがおいてあった。コーヒーのセット、シャンプー、鰹節、海苔など。松也が、半券の入った箱に手を入れて選んだのを取り出し、席番を読み上げる。当たった人は後でロビーで引き換えるシステムだ。花道近くの人が当たったせいか、サイン入りポスターだけは、松也が持って行って直接渡していた。
「三人吉三」大川端庚申塚の場
夜鷹のおとせは徳松。たしか、「瞼の母」でも夜鷹やってたな。11月も同じ役やるだろうか。お嬢吉三は左字郎。きれいなお嬢さん風の声が急に男になるときの落差が凄い。「月もおぼろに白魚の~」の台詞もうまかった。音一朗のお坊、國矢の和尚がニンに合っていた。
「身替座禅」
松也の右京が凄く良かった。可愛い顔が演目の明るさにマッチしていて、終始楽しかった。台詞がうまいだけでなく、表情豊か。やりたかった役なんだろうと思う。
亀三郎の玉の井は、亀治郎の右京相手だと大人しすぎる印象だったが、松也が相手だと、可愛い年下亭主に惚れ込んでいる嫉妬深い年上妻という感じになって、この演目にぴったり。
二人とも口跡が良くて気持ち良い。亀三郎は、主人に怒られるから奥方と変わったりできない、と言う太郎冠者の言葉を聞いて「ふーん」と言う、その響きが可笑しくて客がずいぶん笑った。あそこであんなに可笑しい玉の井は初めて観たかも。
右京が喜びいさんで出かけて行くところは松也の若い色気が生きた。花道より外の席だったので、戻って来た時の表情はよくわからなかった。花道七三のすぐ横の席だったので、右京の所作のときに長袴の先が隣りの席を叩いた。空席だったが、あそこに座ると袴の先で叩かれるんだろう。
花子との逢瀬を語る場面は、勘三郎や勘九郎のように踊りで勝負はできないが、愛嬌は十分。元々女形なので、花子の部分を女らしく踊れるのが松也の強みかと思う。
着物を被っていたのが玉の井とわかってびっくりする顔、逃げようとする様子も面白かった。
今まで松也の右京なんて考えたこともなかったが、こうして見せられると、なるほど説得力がある。また観たい。
國矢は右京の後見で活躍。しかし國矢の踊りが観たかった。
「挑む」は舞踊中心の公演と勝手に思い込んでいたのだが、違った。
本公演ではできない役をやってみるような、こういう自主公演を観るのは楽しい。
尾上松也の自主公演「挑む」は、初回から観たいと思っていたのだがなかなか都合がつかず、今回やっと観ることができた。もう5回目だそうだ。
最初に、國矢、左字郎、音一朗が通路から出てきて舞台に上がり、幕の前でスーツ姿で話した。三人のうち國矢はよく知っている。左字郎は顔立ちがどことなく亀治郎に似ている人。音一朗は今風の可愛い顔でもてそうな男。
長唄「助六」
上野不忍華舞台で愛之助が常磐津の助六を踊ったのを観たことがある。やはり素踊りで、助六の傘と尺八と印篭だけ持っていた。きょうの松也は傘だけ。はじめに歌だけが流れていて、そこに傘で顔をかくした助六が出てくるのは同じ。
顔がよく見える席だったからかもしれないが、終始難しい顔をして踊っているのが気になった。松也はいい男なのに、かっこ良さを感じなかった。踊りのうまい下手は関係なく、舞台に出たからには愛之助みたいに自信たっぷりに踊った方が良い思う。
幕間の後、次の幕が始まる前に松也が花道七三に立って挨拶。つま先が少し開いたスリッパみたいなのを履いていた。次の演目の説明をした後、プレゼントの抽選があった。私の座席と舞台の間のスペースにプレゼントがおいてあった。コーヒーのセット、シャンプー、鰹節、海苔など。松也が、半券の入った箱に手を入れて選んだのを取り出し、席番を読み上げる。当たった人は後でロビーで引き換えるシステムだ。花道近くの人が当たったせいか、サイン入りポスターだけは、松也が持って行って直接渡していた。
「三人吉三」大川端庚申塚の場
夜鷹のおとせは徳松。たしか、「瞼の母」でも夜鷹やってたな。11月も同じ役やるだろうか。お嬢吉三は左字郎。きれいなお嬢さん風の声が急に男になるときの落差が凄い。「月もおぼろに白魚の~」の台詞もうまかった。音一朗のお坊、國矢の和尚がニンに合っていた。
「身替座禅」
松也の右京が凄く良かった。可愛い顔が演目の明るさにマッチしていて、終始楽しかった。台詞がうまいだけでなく、表情豊か。やりたかった役なんだろうと思う。
亀三郎の玉の井は、亀治郎の右京相手だと大人しすぎる印象だったが、松也が相手だと、可愛い年下亭主に惚れ込んでいる嫉妬深い年上妻という感じになって、この演目にぴったり。
二人とも口跡が良くて気持ち良い。亀三郎は、主人に怒られるから奥方と変わったりできない、と言う太郎冠者の言葉を聞いて「ふーん」と言う、その響きが可笑しくて客がずいぶん笑った。あそこであんなに可笑しい玉の井は初めて観たかも。
右京が喜びいさんで出かけて行くところは松也の若い色気が生きた。花道より外の席だったので、戻って来た時の表情はよくわからなかった。花道七三のすぐ横の席だったので、右京の所作のときに長袴の先が隣りの席を叩いた。空席だったが、あそこに座ると袴の先で叩かれるんだろう。
花子との逢瀬を語る場面は、勘三郎や勘九郎のように踊りで勝負はできないが、愛嬌は十分。元々女形なので、花子の部分を女らしく踊れるのが松也の強みかと思う。
着物を被っていたのが玉の井とわかってびっくりする顔、逃げようとする様子も面白かった。
今まで松也の右京なんて考えたこともなかったが、こうして見せられると、なるほど説得力がある。また観たい。
國矢は右京の後見で活躍。しかし國矢の踊りが観たかった。
「挑む」は舞踊中心の公演と勝手に思い込んでいたのだが、違った。
本公演ではできない役をやってみるような、こういう自主公演を観るのは楽しい。
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