歌舞伎座こけら落とし芸術祭十月大歌舞伎 夜2013/10/31 14:17

2013年10月24日 歌舞伎座 午後4時15分開演 1階14列35番

後ろの方の通路際、舞台から遠いが邪魔になるものはない。

「木の実・小金吾討死」

この演目と次の「すし屋」は巡業で観たときがほとんどパーフェクトな配役だったので、今回は梅枝の小金吾はどうだろうか、右腕の調子が悪くて、この後の舞台はしばらく休む仁左衛門はどんなもんかという点に注目。

梅枝の小金吾は予想通りうまい。台詞も動きも完成度が高い。特に立ち回りは、踊りのうまい人はやっぱり綺麗だと思う。
長身で強そうなので、愛之助の小金吾より用心棒としては頼りになりそうだが、愛之助のように可愛くはない。愛之助の小金吾は前髪の少年らしい愛らしい姿で、あんな年で大勢の討手を一人で相手にして死ぬのは哀れだと思わせたが、梅枝はそんな同情は拒否するような凛とした小金吾だ。
愛之助は「男の子」だったが梅枝は女形という感じか。

仁左衛門の権太はいつも通り良く、右腕が持ち上がらないと聞いていたが右手はけっこう使っていて、それでも懐に入れていることが多かった。左手でどんぐりを投げ、小せんの茶店の長椅子を片づけるときは左腕で抱え込むようにして、器用に片づけていた。善太をおぶう時にも左手だけで支えていた。大きな人なので片腕でもどうにかなるようだ。

「すし屋」

時蔵が悪いわけではないが、維盛は松竹座で観た染五郎の貴公子ぶりが忘れられない。この役は女形がやることが多いが、自分にとっては染五郎を超える維盛は今後ないだろう。

孝太郎のお里は何十年も娘をやっているように見える。うまいが、もう少しみずみずしさがないと、弥助実は維盛の話をきいて傷ついても可哀想だと思えない。

竹三郎の母は、「ゴンタロウが来た」と中から喜びいさんで出てきて、しかし本人に向きあうほんの少し前に厳しい顔に変わるのが、母の本音と建前をのぞかせて表現力がある。

仁左衛門はいつもながら、おかしみのあるところで笑わせ、悲しいところで泣かせて、絶妙。しばらく舞台は観られないのかと、幕が閉まる前に顔を目に焼き付けておいた。

「川連法眼館」

菊五郎の忠信は前に一度観たことがある。菊五郎はうまい人なので、この役も無難にこなす。欄干を跳び越えて下に着地するような筋肉力のいるものは流石にやらず、欄干から飛び降りていた。
猿之助の型とは違って、私の好きな欄間抜けなどはないが、ケレンに感動しなくなった自分が嫌で四の切はしばらく観たくない私にとっては、あんまり刺激のないこちらの型がかえって良かった。

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