錦秋名古屋顔見世 初日 昼の部2017/10/03 22:07

2017年10月1日 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール 午前11時開演 1階か列19番

「恋女房染分手綱」

会場に入るのが少し遅れて、花道の脇でしばらくかがんで見ていたが、三吉役の子役が立派。最後に泣きながら花道を走り去るときまで、ずっとうまかった。先月観に行ったときは休演していた魁春が元気そうだったので安心した。

「番町皿屋敷」

梅玉は青山播磨はニンなのだが「若さ」とか「情熱」とかを感じなくてあまり面白くはなかった。その分、役の年齢に近い壱太郎のお菊と梅丸のお仙から受ける印象が強かった。梅丸のお仙は、美人の優等生といった雰囲気。壱太郎のお菊は出て来たときから悩み事がありそうな表情をしている。お仙は屈託なく、仕事をテキパキこなす。お菊と播磨の仲も知らず、播磨は奥方をもらったりしないと主張するお菊を不思議がる。お仙はお菊がわざと皿を割ったところを偶々目にして、それを用人に告げたわけだが、それもお菊を陥れようというより、真面目なので言ってしまったのだ、という気がした。

お菊は男を知っている女の色気がある。お菊が「一枚」「二枚」と言い、播磨がそれを割っていくシーンの緊迫感が凄かった。

「蜘蛛絲梓弦」

碓井貞光役の松江と坂田金時役の亀鶴は、幕が開いても目を閉じていて動かない。久しぶりの亀鶴だった。

愛之助は小姓、太鼓持、座頭、傾城、蜘蛛の精を踊る。ニンにない役はないのだが、逆に愛之助に似合ういい男の役もなかったのは少し残念だ。
楽しみにしていた傾城は、 顔はごついが声は良かった。女形もたまにやってほしい。太鼓持のしゃべり方で「悦ちゃん」のナレーションを思い出した。

最後は錦秋らしく上に紅葉が飾られて、愛之助は隈取をした蜘蛛の精でぶっかえった。花道で投げた蜘蛛の糸が私の身体にもかかったので嬉しかった。

芸術祭十月大歌舞伎2017/10/19 01:34

2017年10月11日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階11列27番

「沓手鳥孤城落月」
序幕大阪城内奥殿の場、「日ノ本はわが化粧箱」という台詞が玉三郎にピッタリ。松竹座で藤十郎の淀君を見たときにも思ったが、この役は美人にやってもらいたい。玉三郎の台詞がたくさんあって嬉しかった。
千姫は可愛い米吉、饗場の局の梅枝の顔が古風でいい。

二の丸の場、秀頼は七之助。

裸武者は今月は出なかった。

「漢人韓文手管始」
七之助はこの演目では傾城高尾太夫。芝翫演じる典蔵と二人の場はとてもお似合いで美しいが、実際の恋人伝七の役が鴈治郎。背の高さもずいぶん違うし、高尾が伝七を騙している話なのかと思ったがそうではない。松也が出ているのだから、伝七は松也にすればいいのに。
ただ、伝七が松也になったとしても面白い話になったかどうかはわからないような芝居だった。


「秋の色種」
玉三郎と、梅枝、児太郎の踊り。
最初に玉三郎だけの踊りがある程度長くあるのが嬉しい。
途中で玉三郎は引っ込んで、その間、梅枝と児太郎が琴を弾く。
玉三郎が黒地の着物に着替えて出てきて、また三人で踊り、最後は花道から引っ込む。
いい演目だった。