二月大歌舞伎 夜の部 初日2018/02/04 23:08

2018年2月1日 歌舞伎座 午後4時半開演 1階16列31番

「熊谷陣屋」
相模は魁春。前に観た芝雀の相模と違って口で言うことが本心に聞こえるのが残念。その雀右衛門は藤の方。
堤軍次は鴈治郎。
梶原が芝翫で、義経は菊五郎。四天王は歌昇、萬太郎、巳之助、隼人。
何度も観た覚えがある左團次の弥陀六は流石にうまかった。
染五郎時代に花形の熊谷を観たことがあり、その時は悪くない印象を受けたのだが、今回は周りを先輩に囲まれているバランスからか、あまり良くなかった。

「壽三代歌舞伎賑」

舞台下手に座っていた我當は呂律が回らず、引き上げるときは、たぶん千次郎ともう一人出てきて、肩につかまって運ばれるような感じだった。
藤十郎の音頭で手締めがあった。
両花道に男伊達と女伊達が並ぶとき、私の席からは女形が後ろから出て来るのがよく見えた。真ん中あたりにいた梅枝は若くて背も高いので目立っていた。男伊達と女伊達が交互に台詞を言って、最後の秀太郎の台詞が終わると間もなく、後ろから黒衣が出てきて秀太郎の腰を支えていた。
玉三郎と梅玉が花道から出て来る前に舞台の上で仁左衛門、藤十郎、菊五郎、吉右衛門のうちの誰かが台詞が出てこなくなったようで、結局どうなるのが正しかったのかはわからないまま。
玉三郎と梅玉が舞台に出てしばらくして、梅玉が襲名の三人で口上をするように促して、三人は舞台後ろに入った。
舞台上が空になった後、三人が並んで座った台が出てきて、口上になった。最初に口上を述べた白鸚は声がよくてしっかりしていて、やっぱりまだ幸四郎はこの人にかなわないと思った。

「仮名手本忠臣蔵 七段目」

由良之助役の白鸚は良かった。染五郎が力弥役。

私の席からは二階から玉三郎が現れるのを正面に見ることができた。由良助の読む手紙を、おかるが二階から、九太夫(錦吾)が縁の下から読もうと試みるシーンはいつ見ても面白い。

仁左衛門と玉三郎の兄妹は、いつもながら美しい。前半の喜劇調のところも、「髪の飾りに化粧して」から始まる悲劇調のところもうっとりする。「あにさん、わたしゃどうしょー」というおかるに「もっともだ」とだけ言って応じる兄。「どうしょー」と最後に抱きついた形が素晴らしくて、あれで幕でも良かった。この二人の「桜姫東文章」を観て歌舞伎にのめり込み、30年以上いろいろ観てきたが、私が観たいのは結局これだ。