獅子虎傳阿吽堂 番外編2008/11/23 02:33

2008年11月22日 世田谷パブリックシアター 午後7時開演 H列20番

獅子虎傳阿吽堂、きょうは広忠はしなくて、弟達歌舞伎チームが「歌舞伎と日本舞踊の世界」をテーマにやった。国立能楽堂のときとかぶっているものもあった。

舞台は真ん中に大太鼓が置いてあって、真ん中の道をふさいでいた。左右の道から傳左衛門、傳次郎が登場して挨拶した後、歌舞伎の市川段治郎と日本舞踊の尾上青楓を紹介し、本日の内容をざっと説明した。

壱 歌舞伎音楽講座  傳左衛門、傳次郎

最初に、また楽器の説明をします、と断って鼓の構造の説明をした。 傳左衛門が、尾張徳川家にあったという1550年頃にできた胴を包んでいた布から出し、皮と組み合わせた。皮は表が0.3mm、裏が0.2mm。 漆が塗ってあるのは狂うのを防ぐためだそうだ。

鼓の音が簡単には出ないことを証明するため、スタッフの男の人を舞台に呼んで、練習用の鼓を叩かせて見せた。確かに、傳次郎が叩くと音が違う。

笛の説明で、福原寛が登場し、篠笛と能管の違いを説明した。篠笛は「歌が歌える笛」で、メロディーを奏でる。能管は、メロディーを奏でるものではない。能管の音は原始的な力を感じる、とても惹かれる音だ。

国立能楽堂のときのように、歌舞伎で使ういろいろな音を演奏してみせた。大太鼓を使って、まず一番太鼓。日本橋のあたりで一番太鼓を打っていたら登城の合図と間違えて登城してしまう人がいたので、やらなくなったそうで、今は劇場の杮落としのときに打つらしい。次は、この前も聞いた着到。それに、雪おろし、お化けが出るときの音、川、海など水の音。黒御簾の中には30~40の楽器が常時置いてあって、演奏するときは立ってひしめきあっている。兄弟が立って背中をくっつけてその様子を見せる。「僕なんか迷惑かけてます」と傳左衛門が言い、客が笑ったので、「今、すごく笑われちゃったね」。傳次郎が「笑いすぎ」。

最後に大鼓の田中傳八郎、笛の福原寛も加わって「祭囃子」を演奏した。

弐 立ち役講座

段治郎が出てきて、国立劇場の養成所では最初に正座とか股割りを教わり、股割りは同じ姿勢で三十分微動だにしないのが辛くて、姿勢を崩すと又五郎のケリが入った、というような話を最初にした。生徒に手が出る先生というのは三人ほどいて、その一人が佐太郎先生だそうだ。「僕達もさんざん叩かれましたから」と兄弟。

武士の歩き方、町人の歩き方、三種類の見得をやってみせた。メリディアンのトークショーで愛之助がやってみせたのはたぶん、二番目の見得だ。足を一歩踏み出して、目を寄せるようなの。

市川猿琉が出てきて、とんぼを返ってみせた。見事なとんぼで感動していたら、兄弟が、現在、一番うまいのではないかと言っていた。「いろいろ見せてくださいよ~」と、人を乗せてこき使うのがうまい傳次郎。 猿琉は飛び越しも、舞台で8人の記録があるそうだ。驚いたのは段治郎が舞台で10人、とんぼ道場で14人も飛び越した記録を持っていたことだ。昔、猿之助の芝居を観にいったとき、気づかずに段治郎を見ていたのかもしれない。

段治郎と猿琉が立ち回りをやってみせた。先に、時代劇の立ち回りをやった後、歌舞伎的に様式化されるとこうなる、というのを見せた。その後、個々の型を説明した。山型、だんぎり、はね、その他。ドンタッポ、というのをお囃子に合わせてやってみせたりもした。最後に、いろいろ組み合わせてとんぼも入れた立ち回りをお囃子つきでやった。最後のところは泉水の立ち回りだった。

参 日本舞踊講座

尾上青楓が出てきて、日本舞踊では、座り方、扇の置き方、お辞儀を最初に習う、と説明した。膝はいっしょに下ろすのではなく、左右別々に下ろす、と初めて知った。歌舞伎の舞台を思い起こしてみると確かにそうなのだが。 尾上青楓は、座布団の上に扇子を持って座ってしゃべっていると落語家のようだが、そのくらい話がうまい。

立ち上がって、扇の説明の後、要返しというのをやってみせてくれた。バトントワリングを連想した。田中兄弟がいうには、簡単そうにやっているけれどもとても難しいのだそうだ。尾上青楓は、扇を落とすまいとギュッとつかんではうまくいかないし、落とさないことにばかり集中してはいけないのだそうだ。 傘に見立てて使うこともある、と頭に持っていったら、「では、雨の音と組み合わせてみましょう」と傳左衛門が大太鼓で雨の音を出し、音としぐさを組み合わせて見せてくれた。これは昼の部ではやらなかったそうだ。

四 舞踊「浦島」

尾上青楓の踊り。 打楽器と笛に長唄と三味線が加わって演奏。竜宮城から帰ってきた浦島太郎の話だ。素踊りだが長い竿を持って出て来た。扇の「超絶技巧」がいろいろ見られて面白かった。二枚扇は鏡獅子の弥生がやるのと同じようなのもあったが、最後の方の、二枚の扇を開いてくっつけて蝶に見立てて動かしているようなのは初めて見た。