アマテラス2007/08/09 00:08

2007年8月6日 歌舞伎座 午後1時開演 三階2列38番

玉三郎と鼓童の共演。鼓童のコンサートは20年程前に見た。当時通っていた英会話学校の教師が今まで見た中で一番素晴らしいコンサートだった。と勧めたからだ。当日券で立見だったが、身体に響き渡る太鼓の音にしびれてカセットも買った。

玉三郎のファンの視点からは、どうでも良いものの一つ。初演の世田谷パブリックシアターには行かなかった。 鼓童は好きなので、1階席の料金は出せないが3階席なら文句なかった。

坂東玉三郎が語る泉鏡花 「天守物語」2007/08/17 00:08

2007年8月9日(木) 午後2時開幕 調布市グリーンホール 大ホール 一階15列38番

調布の駅を出るとき逆の改札口から出て逆方向に歩いてしまったので時間をロスし、やや遅刻。着席したときは羽織袴の玉三郎が一人で舞台に座り、話していた。後ろの方だが、舞台まで障害物なく見渡せる席だった。

朗読が始まる前に、笛の藤舎さん、ト書きを読む山本さんが加わった。

玉三郎はト書き以外、すべての台詞を一人で読む。富姫のときは本から目を離して台詞を言ったりした。途中で睡魔が襲ってきて亀姫とのやり取りを聞き逃したのが残念だ。同じ台詞でも、相手がいなくて一人で言っているとインパクトが弱い。劇場だと客席が沸く「返したくなくなった」も、ふつうにやり過ごしてしまう。

玉三郎がやるものとしては完成度が低い印象を受けた。

妻をめとらば2007/08/27 23:12

2007年8月18日(土) 明治座 昼の部 午前11時開演 二階2列6番

花道が真上からのぞける席だった。

個人的には香川照之の舞台が観たくて行ったが、中心は藤山直美。与謝野晶子は堺出身だから関西弁なのは自然だが、実像に迫るのではなく、あくまで藤山直美の演じる晶子。藤山直美のファンが藤山直美を観に行く芝居だった。

藤山が相手だと香川照之は育ちの良いお坊ちゃんに見える。映像で見るときのような達者な役者ではなく、舞台にも着物姿にも不慣れに見えた。

私が楽しんだのは本筋よりも啄木、白秋、佐藤春夫などの登場人物。もっとも、本筋といっても売れっ子の妻と時代遅れになってしまった夫の姿を、まわりの詩人たちとか大逆事件をからませながら描くだけだ。

見舞いに来た晶子がくれた金で原稿用紙を買おうとする啄木が、詩人らしくて良かった。岡本健一の啄木はやせ細っていて、結核で死ぬのが全く不自然でなかった。

亀井広忠 Act in Cerulean Tower2007/08/31 01:16

2007年8月25日 セルリアンタワー能楽堂 午後6時開演 正面1列14番

セルリアンタワーというのは渋谷の井の頭線の駅の上の高い建物だと漠然と思い込んでいて、あそこは以前仕事でも行ったことがあるから様子はわかっていると思っていた。しかしそれは間違いで、セルリアンタワー東急ホテルというのが玉川通りにできていて、能楽堂はその地下2階にあったのだった。

正面の1列目のチケットを買えたときは嬉しかったが、端に近い席で柱がじゃまだった。お目当ての亀井はよく見えたが。

「一調 勧進帳」

狩野了一の謡と亀井広忠の大鼓。暑い夏にカーンという大鼓の音をきくのは心地よい。亀井はずいぶん大きな声で掛け声を発していて、ファンの私は嬉しいが、演目全体から見ると演奏者に存在感がありすぎるのではないかと心配になった。

「舞踊 静と知盛」

舞踊は藤間勘十郎、お囃子連中の中に田中傳左衛門と傳次郎。傳次郎は先月より髪が短くなったようだ。

歌舞伎の船弁慶の静と知盛の舞踊を取り出したような演目。静の舞は動きが少ないので眠気に襲われたのもしかたないのだが、知盛を見てもあまり気持ちが盛り上がらなかった。歌舞伎の派手な衣装がないということもある。知盛のひっこみも、肩に薙刀をかついでまわる所作があっても、花道ではなく橋掛かりだし、観客の拍手もなく、静かなままで終わる。知盛を送る太鼓の音は歌舞伎のときと同じで激しいのだが。

「能 船弁慶」

義経 友枝雄太郎、 知盛・静 友枝雄人、 弁慶 大日方寛、 従者 御厨誠吾、 船頭 山本則重

再び亀井広忠が登場して大鼓。今度は演奏者として埋没していた。

歌舞伎では何回も観た船弁慶の原形を初めて観た。義経はもともと子方がやると聞いていたが、確かに子供が出てきた。顔だけ見ていると女の子にも見えたが台詞を言い始めると立派な男の子。

自分が今までに観た数少ない能と比べると、出てくる人数が多い。

静が引っ込んだ後に出てきた船頭は楕円形のフラフープを支え持ったような格好で出てくる。その楕円形のフラフープが船で、舞台に置くと弁慶と義経がその中に入る。船中の義経一行がちょうど柱で隠れる感じになって動きが完全に見えなかったのが残念だが船頭役が美声で耳に心地よかった。

能は聴覚的には好きだが視覚的にはやっぱり歌舞伎の方が好きだ。