亀井広忠 Act in Cerulean Tower2007/08/31 01:16

2007年8月25日 セルリアンタワー能楽堂 午後6時開演 正面1列14番

セルリアンタワーというのは渋谷の井の頭線の駅の上の高い建物だと漠然と思い込んでいて、あそこは以前仕事でも行ったことがあるから様子はわかっていると思っていた。しかしそれは間違いで、セルリアンタワー東急ホテルというのが玉川通りにできていて、能楽堂はその地下2階にあったのだった。

正面の1列目のチケットを買えたときは嬉しかったが、端に近い席で柱がじゃまだった。お目当ての亀井はよく見えたが。

「一調 勧進帳」

狩野了一の謡と亀井広忠の大鼓。暑い夏にカーンという大鼓の音をきくのは心地よい。亀井はずいぶん大きな声で掛け声を発していて、ファンの私は嬉しいが、演目全体から見ると演奏者に存在感がありすぎるのではないかと心配になった。

「舞踊 静と知盛」

舞踊は藤間勘十郎、お囃子連中の中に田中傳左衛門と傳次郎。傳次郎は先月より髪が短くなったようだ。

歌舞伎の船弁慶の静と知盛の舞踊を取り出したような演目。静の舞は動きが少ないので眠気に襲われたのもしかたないのだが、知盛を見てもあまり気持ちが盛り上がらなかった。歌舞伎の派手な衣装がないということもある。知盛のひっこみも、肩に薙刀をかついでまわる所作があっても、花道ではなく橋掛かりだし、観客の拍手もなく、静かなままで終わる。知盛を送る太鼓の音は歌舞伎のときと同じで激しいのだが。

「能 船弁慶」

義経 友枝雄太郎、 知盛・静 友枝雄人、 弁慶 大日方寛、 従者 御厨誠吾、 船頭 山本則重

再び亀井広忠が登場して大鼓。今度は演奏者として埋没していた。

歌舞伎では何回も観た船弁慶の原形を初めて観た。義経はもともと子方がやると聞いていたが、確かに子供が出てきた。顔だけ見ていると女の子にも見えたが台詞を言い始めると立派な男の子。

自分が今までに観た数少ない能と比べると、出てくる人数が多い。

静が引っ込んだ後に出てきた船頭は楕円形のフラフープを支え持ったような格好で出てくる。その楕円形のフラフープが船で、舞台に置くと弁慶と義経がその中に入る。船中の義経一行がちょうど柱で隠れる感じになって動きが完全に見えなかったのが残念だが船頭役が美声で耳に心地よかった。

能は聴覚的には好きだが視覚的にはやっぱり歌舞伎の方が好きだ。