新橋演舞場 11月花形歌舞伎 昼の部 2回目2008/11/03 18:38

2008年11月2日 新橋演舞場 午前11時開演 1階1列15番

今日は2回目。最前列で細部をよく見た。

「伊勢音頭恋寝刃」

序幕を見ていて、初日は北六が按摩の了庵に駄賃を渡すときに財布を開いたらお金が落ちてしまい、了庵役の欣也が「あ、お金」と拾ったのを思い出した。きょうは普通に渡していた。

2回目で慣れたせいか、序幕の海老蔵もそんなにおかまっぽいと感じなかった。台詞も良い。ただ、意識してなよっとしようとしているな、とは思う。

ダンマリの場面で海老蔵は門之助にしきりに何か言っている。初日は、何か打ち合わせでもしているのかと思ったが、きょう、もっと近くから見たら、声がはっきり聞こえるわけではないが、貢として万次郎に声をかけているのだ。想像だが、たとえば、暗闇の中で「万次郎さま、こちらでございます。私の手を離さないでくださいまし。大丈夫でございますから」のように。門之助は海老蔵に何度も手を握られた後、林平役の獅童に手を握られて花道を入っていく。何気においしい役。

海老蔵が刀をポンと放り投げるのが男の子らしくて好き。日の出で手紙が「読めたー」と喜ぶ顔が、本当に嬉しそうで可愛い。海老蔵が喜んでパカッと口を開けた顔は寄生獣が口を開いたときか、どこかで見覚えのある形をしている。

油屋の場で、仲居の団扇の模様、衝立の模様、暖簾の模様、さらには欄間の模様まで、竹の葉の模様のお猪口が水に浮いている図だと気づいた。客の浴衣、伊勢音頭を踊る女達の浴衣の模様も同じだった。今までもそうだったのかもしれないが、初めて気づいた。

喜助の顔もきょうは障害物なく見放題。関西弁に全く心配ない吉弥と愛之助のやり取り。

初日に海老蔵の貢が万野を最後に強く叩いた時、すぐに客が気づくくらい刀と鞘がバラバラになって、アレ?と思ったのだが、きょうは、最前列でよく見ると叩いたときに鞘が割れたような感じはあったが昨日のようにバラバラにはなっていなかった。あれは、元々鞘の割れた刀で、貢役の役者が叩いたり振ったりすることでバラバラになるように調節しているのだろうか。

貢、お紺、喜助が揃って幕となるシーン、明かりの紐を握った愛之助の腕を間近に見て、腕っ節の強そうな太さに改めて感動。

「吉野山」

菊之助はきのうの政岡がうまく言ってほっとしているだろうと、見ているほうの思い入れがあるせいか、花道の静がきのうよりゆったりした感じに見えた。

踊っている松緑の腕は、さっき見た愛之助の腕に比べるとすんなりしている。壇ノ浦の踊りの後、息が上がっていた。