新橋演舞場 11月花形歌舞伎 夜の部 2回目2008/11/25 00:44

2008年11月24日 新橋演舞場 午後4時開演 1階3列21番

「伽羅先代萩」

夜の部は初日以来なのだが、菊之助の政岡が絶品なのはそのままだが、愛之助の八汐と海老蔵の仁木が良くなっていたので驚いた。

きょうの菊之助は嘆きのところで「よう死んで」の「よう」を言わないで「・・・死んで、死んでくだしゃった」のように言っていた。

愛之助の八汐は、初日に観たときに、相変わらずそつなくこなしているが、自分の演技で受けているときはなく、鶴千代の台詞が受けているだけで、これはもうこのままなのだと思った。しかし今日は、「おさがり」という台詞が笑いを取っていたし、その後も、笑わせたり拍手をもらったりしていた。愛之助自身もそれを喜んでいるような印象を受けた。「おさがり」のところでは、愛之助の演技も海老蔵の仁木に合わせて大げさにしたのか、と思ったが、大げさになっただけでなく何か客にアピールするように進歩したのだろう。細かいことは言えないが。初日より迫力のある八汐だったのは確かだ。

海老蔵の仁木は、初日に対決を見たときに、変に低い声を作って小手先の演技でごまかしていると思った。しかし、きょうは低い声だがちゃんとしていると思った。私が好きな仁左衛門の仁木は色男(仁左衛門がそれを意図しているとは思わないが)だが、海老蔵の仁木はそういう言わば余計な要素は持っていない。こっちの方が純粋な仁木像なのではないかという気もしてきた。海老蔵は貢にしても仁木にしても、役になりきっているのが偉い。台詞はうまいが台詞がとぎれるところでは本人の素が出る、ということがない。

千松役の子役を見ていると、土曜日に獅子虎傳で教わった座り方、お辞儀の基礎がちゃんとできている。あんな小さいときから身体に叩き込めば自然に和の生活ができるのだろう。

「龍虎」

初日にはあっけにとられた舞踊なので、何か良くなったかと興味を持って見た。

隈取はやはりおかしい。愛之助が鬣をつけて隈取して現れると、太った熊が出てきたようで笑える。獅童の方はスタイルが良いのと、隈取が虎に見えなくもないので悪くはない。

初日は下手の端近くで見たのでよく見えないところがあったが、きょうは中央なので全体がよく見えた。

それにしても、この振り付け自体が変わっている。二人が交差した腕を組んで順番に跳ぶような動きは、フィギュアスケートで見たことがある。何か、外国のダンスに影響を受けた振り付けなのだろうか。

最後の毛振りでは二人のクッ、ウッというような声も聞こえて、頑張っているのがわかった。

引き抜きの後、二人が舞台に顔を伏せ、隈取を取り去った元の顔が現れると綺麗でほっとする。

最後のところは、獅童と愛之助が斜めの線を作るように寄り添って終わる。中央から見ると綺麗だった。