演舞場の初日 夜の部 ― 2009/11/03 14:17
2009年11月1日 新橋演舞場 午後4時半 開演 1階2列
「三人吉三」
あんまり好きな芝居ではない。今回は、5年前に歌舞伎座でやったのよりはましだった。菊之助のお嬢は、男に戻るとちゃんと男の声になるし、それなりの動きをするので、この役の面白さが出せている。玉三郎がお嬢をやるのは間違いだと思う。
愛之助のお坊は久しぶりに仁左衛門の顔と台詞回しを思い出す役だった。台詞はうまいと思うが、無理して太い声を出しているのがわかる。弁天が良かったし、本来はお嬢のニンなのかもしれない。
松緑は相変わらず舌足らずではあるが兄貴分の貫録があって良かったと思う。
「鬼揃紅葉狩」
鬼が出る紅葉狩りというと、玉三郎がやったのが好みでなかったので警戒していたが、これは楽しめた。
更科の前、実は戸隠山の鬼女の亀治郎が、初役で、いつになく真剣な顔をして踊っていたので、それだけでも観て良かった。
花道を出てくるとき、亀治郎の手を引いている侍女が、最年長の吉弥。亀治郎のすぐ後ろにいる女形が、こんな美人いたかしらと思うほど綺麗で、それが松也だった。化粧の腕が上がったか。おそらく年の順で、梅枝、巳之助、右近、隼人と続く。絶世の美女はいなくても、これだけ若い子ばかり並べるとやっぱり華やかだ。踊りも、3人で踊ったり、2人で踊ったり、1人で亀治郎にからんだり、個人技が見られて見ごたえがあった。 立鼓の傳次郎が舞台後方の真ん中にいるのだが、さすがに今回は亀治郎の踊りと若女形達を観るのが忙しくて、傳次郎には目が行かなかった。
隼人を立役で観られないのは残念だが、十五歳の隼人の女形姿というのは何年か後で振り返ったら希少価値のあるものかもしれないと考えなおしてしっかり目に焼き付けた。 尾上右近、巳之助と3人でいっしょに踊ったりして、偉い。
菊之助の踊った神女が、普通の紅葉狩の山神にあたるのだろう。
維茂の役は玉三郎の紅葉狩で海老蔵がやったときはただ寝顔を見せるために出てきたような印象だったし、松緑が海老蔵の更科姫のときにやったときは踊らないのが不満だった。今回は、女子供の中にいる唯一の大人の男としての存在価値を感じた。
更科の前と侍女達が鬼女の化粧になると、玉三郎の時もそうだったが、どれが誰かわからなくなる。身長と長い指を頼りに隼人を探した。たぶん、一際小さくて立体的な顔の鬼女で、最後は後ろの一番上手で毛振りをしていたのが隼人だろうと思う。必死に隼人を探して、ふと気づいたら近習役の種太郎が目の前に来ていた。種ちゃん!
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