日生劇場十月公演 坂東玉三郎特別舞踊公演2011/10/16 02:21

2011年 10月14日 日生劇場 午後6時半開演 1階D列27番

金曜の夜、勤め帰りでちょっと眠いが、良い席で良かった。玉三郎の表情や、きれいな指がよく見えた。

「傾城」

幕が開くと、暗闇に長唄の声が響き、暗闇の向こうは吉原仲野町の風景だ。 明るくなると、花魁の格好の玉三郎が現れて、功一の方に手を乗せて歩く。揚巻の花魁道中のようだ。外八文字もしっかり見えた。

「藤娘」

幕あきはまた、暗闇の中の長唄。藤娘の暗闇というと、二十年以上前、数ヶ月歌舞伎座に出なかった玉三郎が久しぶりに出たとき、あの暗闇に玉三郎がいるのだと思うと嬉しくて、同じ思いの客が多かったのか、自然に拍手が沸いたのが忘れられない。きょうは、暗闇のときは静かで、明るくなってパッと華やかな舞台が見えた瞬間に拍手。

いつもは松の木は真ん中にあるような気がするが、きょうは上手。その後ろが玉三郎が衣装を変える。

玉三郎は、酔った様子を見せる踊りが一番玉三郎らしくて絶品だった。芸者姿が見たくなった。玉三郎は藤娘の衣装でもやっぱり藤おばさんだし、上手、下手、中央、と客席に向かってお辞儀するのは、可愛いが、今ではややぶりっ子めいている。

「楊貴妃」

後ろに薄いカーテンのような幕があって、現れたのは方士役の弥十郎。弥十郎の踊りを見たのは初めてかも。
楊貴妃役の玉三郎は薄い幕の向こうから現れた。髪飾りがとても綺麗だ、楊貴妃の役や踊りは何回か見たことがあるが、今日は十分近い席だったので、じっくり見た。髪飾りというより冠か帽子のように頭を包んでして、後ろも美しい。あの髪飾りの形が玉三郎の顔の形によく似合う。

二枚の扇を使って美しく舞った。「天にありては比翼の鳥、地にありては連理の枝」のような耳慣れた歌の文句が聞き取れた。
最後は手が隠れる長い袖を動かして舞いながら、玉三郎が自分で歌っていた。
憂き世なれども恋しや昔 はかなや別れの蓬莱の 台に
伏し沈みてぞ留まりける

コンサートを思い出した。また歌を聴きたい。

最後にカーテンコールがあった。