吉例顔見世大歌舞伎 梅幸、松緑追善 ― 2011/11/04 01:50
2011年11月3日 新橋演舞場 昼 午前11時開演 2階4列36番、夜 午後4時半開演、1階6列26番
吃又はパスして、「吉野山」から観た。
2階の後ろの方で不満だったのだが、踊りを見るのはもってこいの席だった。
菊之助はとても綺麗。3年前の花形のときより、艶がましてうまくなっている。 舞台で静御前が鼓を叩く。花道に目をやるとスッポンが開いていて、ドロドロという音とともに、狐忠信の松緑がセリ上がってくる。松緑は踊りは良かったが、主従という感じがしない。菊之助の方が年下のこともあり仕方がないのかもしれないが、松緑は基本的に殿さまで、人に仕える役の雰囲気が出せないのかもしれないと思った。
2人が男雛女雛の形になるところは、ロビーに飾ってある2人の祖父達の同じ姿の写真を見た後で見ると感慨深い。
逸見藤太は今回は團蔵。
「魚屋宗五郎」
宗五郎役は、私の中では菊五郎以外考えられない。勘三郎もうまいけど。
幕あきに出ている茶屋娘おしげは、遠くの席からなので梅枝かと思ったが、声をきいたら右近だった。
時蔵のおはま、團蔵の父親は前にも同じ役をやっていて、安定している。今回の三吉は松緑。吉野山と共通する感想で、小奴という感じがしない。
丁稚の役が大河。揚げ幕から現れると、私にはまだ見えないのだが一階の客席から拍手が起きる。花道の半分くらいまで歩いてくると、私にも見えるようになる。松緑の三吉と台詞のやりとりがある。「酒が好きだから酒屋に奉公してるんだい」まで、しっかりした台詞だった。花道を帰るときに、おなぎの菊之助とすれ違い、「ありがとうございました」と挨拶もしっかりやった。大河は名子役だ。
夜の最初は「外郎売」。そういえば、ロビーでういらうを売っていた。
去年の南座で見たのにもあったかどうかからないが、最初は浅葱幕の前に四天が出て来た。浅葱幕が落ちると、曽我の対面の面々が居並ぶ。
私の真正面にすごい美人が見えた。右近だった。化粧坂の少将。美人だが台詞はまだまだ。その隣が、顔ですぐわかる梅枝の大磯の虎。梅枝はいつもうまいなあ。萬太郎は、一番上手にいる八幡三郎。声ですぐわかる萬次郎は舞鶴。権十郎の朝比奈、亀寿の近江小藤太と並んで下手にいた。やはり声でかる亀三郎は茶道珍斎で、面白い姿だ。中央後方には工藤の三津五郎。昼の部最後の磯部の殿さまとちょっとかぶる。
南座のときは、上手の柱に「歌舞伎十八番の内 外郎売」と外題が書いてあり、下手の柱には「六代目片岡愛之助 相勤め申し候」と書いてあったが、今回はそういうものはなかった。
松緑の外郎売は花道から出てきて、七三のところですわって挨拶した。後見は團蔵。
舞台の真中に座って挨拶した。座って、手をついて頭を下げる所作が綺麗だった。今回の追善のこと。そして、松助さんの七回忌にもなる、と触れた。最後に「鷹揚のご見物を」と言うのは南座のときと同じだった。
松緑は元々滑舌が良くないので、言い立てをよどみなく言うのを逆に感心してきいた。愛之助のように抑揚がついてすごくうまいと思うような言い立てではない。さっぱりして、江戸歌舞伎らしいと言うべきか。
松緑は、言い立て以外の所作がとても良い。手を開いて立てて、足をちょっと上げると、どこか東南アジアの踊りっぽい姿に見える瞬間もある。
十郎の役は松也で、最後に花道から出て来た。
「京鹿子娘道成寺」
團蔵を先頭に、松也、右近、男寅、小吉、と続く所化。小吉は、福助と親子の役をやったのを見たのが最後だ。あの時は子供だったが、今は中学生だろうか。背が伸びた。
白拍子花子の菊之助の最初の衣装は珍しい柄だった。
たぶん日変わりだと思うが、きょうのマイ尽くしは右近。超安定。
田之助も所化の1人だが、後に出てきて、菊之助に烏帽子を渡した。
菊之助は笠の踊りを踊り、所化の笠の踊りはなし。短い踊りの後、そこには入ってなかった松也と右近が出てきて、右近がコロッと横になった。
菊之助は、綺麗で体力があって、技術的にも自信がついて、どんな動きも思いっきりやれるし、この踊りには一番良い時代だと思う。
最後に花子が鐘の上に乗り、所化達が身体を後ろに傾けて手を合わせるが、松也の傾き方が足りないような気がした。
「髪結新三」
江戸っ子菊五郎の新三が一度是非観たかった。
梅枝のお熊は、あの衣装は似合わないがうまい。
永代橋のところで忠七(時蔵)が新三に打ちのめされたあたりで地震があった。そんなに大きくなくて一瞬だったが、客席がざわめいた。
三津五郎の大家は、言われないと三津五郎とわからない。三津五郎は役の中に自分を埋没させるタイプか。
大家が慌てて帰ったあたりで幕がしまり、ここで終わりかと席を立つ人が多い。私も帰ろうとしたが、もう一幕あるとわかって座りなおした。
最後は源七(左団次)と新三が斬り合っているところで、「まずこんにちはこれぎり~」だった。
吃又はパスして、「吉野山」から観た。
2階の後ろの方で不満だったのだが、踊りを見るのはもってこいの席だった。
菊之助はとても綺麗。3年前の花形のときより、艶がましてうまくなっている。 舞台で静御前が鼓を叩く。花道に目をやるとスッポンが開いていて、ドロドロという音とともに、狐忠信の松緑がセリ上がってくる。松緑は踊りは良かったが、主従という感じがしない。菊之助の方が年下のこともあり仕方がないのかもしれないが、松緑は基本的に殿さまで、人に仕える役の雰囲気が出せないのかもしれないと思った。
2人が男雛女雛の形になるところは、ロビーに飾ってある2人の祖父達の同じ姿の写真を見た後で見ると感慨深い。
逸見藤太は今回は團蔵。
「魚屋宗五郎」
宗五郎役は、私の中では菊五郎以外考えられない。勘三郎もうまいけど。
幕あきに出ている茶屋娘おしげは、遠くの席からなので梅枝かと思ったが、声をきいたら右近だった。
時蔵のおはま、團蔵の父親は前にも同じ役をやっていて、安定している。今回の三吉は松緑。吉野山と共通する感想で、小奴という感じがしない。
丁稚の役が大河。揚げ幕から現れると、私にはまだ見えないのだが一階の客席から拍手が起きる。花道の半分くらいまで歩いてくると、私にも見えるようになる。松緑の三吉と台詞のやりとりがある。「酒が好きだから酒屋に奉公してるんだい」まで、しっかりした台詞だった。花道を帰るときに、おなぎの菊之助とすれ違い、「ありがとうございました」と挨拶もしっかりやった。大河は名子役だ。
夜の最初は「外郎売」。そういえば、ロビーでういらうを売っていた。
去年の南座で見たのにもあったかどうかからないが、最初は浅葱幕の前に四天が出て来た。浅葱幕が落ちると、曽我の対面の面々が居並ぶ。
私の真正面にすごい美人が見えた。右近だった。化粧坂の少将。美人だが台詞はまだまだ。その隣が、顔ですぐわかる梅枝の大磯の虎。梅枝はいつもうまいなあ。萬太郎は、一番上手にいる八幡三郎。声ですぐわかる萬次郎は舞鶴。権十郎の朝比奈、亀寿の近江小藤太と並んで下手にいた。やはり声でかる亀三郎は茶道珍斎で、面白い姿だ。中央後方には工藤の三津五郎。昼の部最後の磯部の殿さまとちょっとかぶる。
南座のときは、上手の柱に「歌舞伎十八番の内 外郎売」と外題が書いてあり、下手の柱には「六代目片岡愛之助 相勤め申し候」と書いてあったが、今回はそういうものはなかった。
松緑の外郎売は花道から出てきて、七三のところですわって挨拶した。後見は團蔵。
舞台の真中に座って挨拶した。座って、手をついて頭を下げる所作が綺麗だった。今回の追善のこと。そして、松助さんの七回忌にもなる、と触れた。最後に「鷹揚のご見物を」と言うのは南座のときと同じだった。
松緑は元々滑舌が良くないので、言い立てをよどみなく言うのを逆に感心してきいた。愛之助のように抑揚がついてすごくうまいと思うような言い立てではない。さっぱりして、江戸歌舞伎らしいと言うべきか。
松緑は、言い立て以外の所作がとても良い。手を開いて立てて、足をちょっと上げると、どこか東南アジアの踊りっぽい姿に見える瞬間もある。
十郎の役は松也で、最後に花道から出て来た。
「京鹿子娘道成寺」
團蔵を先頭に、松也、右近、男寅、小吉、と続く所化。小吉は、福助と親子の役をやったのを見たのが最後だ。あの時は子供だったが、今は中学生だろうか。背が伸びた。
白拍子花子の菊之助の最初の衣装は珍しい柄だった。
たぶん日変わりだと思うが、きょうのマイ尽くしは右近。超安定。
田之助も所化の1人だが、後に出てきて、菊之助に烏帽子を渡した。
菊之助は笠の踊りを踊り、所化の笠の踊りはなし。短い踊りの後、そこには入ってなかった松也と右近が出てきて、右近がコロッと横になった。
菊之助は、綺麗で体力があって、技術的にも自信がついて、どんな動きも思いっきりやれるし、この踊りには一番良い時代だと思う。
最後に花子が鐘の上に乗り、所化達が身体を後ろに傾けて手を合わせるが、松也の傾き方が足りないような気がした。
「髪結新三」
江戸っ子菊五郎の新三が一度是非観たかった。
梅枝のお熊は、あの衣装は似合わないがうまい。
永代橋のところで忠七(時蔵)が新三に打ちのめされたあたりで地震があった。そんなに大きくなくて一瞬だったが、客席がざわめいた。
三津五郎の大家は、言われないと三津五郎とわからない。三津五郎は役の中に自分を埋没させるタイプか。
大家が慌てて帰ったあたりで幕がしまり、ここで終わりかと席を立つ人が多い。私も帰ろうとしたが、もう一幕あるとわかって座りなおした。
最後は源七(左団次)と新三が斬り合っているところで、「まずこんにちはこれぎり~」だった。
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