歌舞伎座鳳凰祭三月 昼の部 「封印切」「二人藤娘」2014/03/28 11:31

2014年3月10日 1階10列30番

昼の部を途中から観劇。

「封印切」

藤十郎の忠兵衛はここ数年でこれで4回は観ている。以前はもっぱら松嶋屋型のを観ていたが、最近は正面を向いた階段も見慣れたものになった。
扇雀の梅川は綺麗だが、大人っぽく落ち着いているので、笑三郎のときに感じたと同じように、旦那から八右衛門の身請けの話をきいて忠兵衛に身請けされたいと懇願するような分別なしの若い女には見えない。
翫雀の八右衛門がつまらなかった。この人は、見た目はふんわりしているけれども醸し出す雰囲気は硬い。ひょっとすると扇雀がやった方が面白いかもしれない。


「二人藤娘」

本日、お目当ての演目。
七之助は白い藤の花を持って先に舞台にいる。玉三郎は藤色の藤を持って花道から登場。
七之助は藤娘そのもの、玉三郎はやや年のいった藤姐さんだと思うのだが、見た目はまだ玉三郎の方が綺麗だ。だからこそ成り立つ共演なのだろう。
二人でお酒を注ぎ合ったりするのが「二人藤娘」ならでは。衣装替えは引き抜きではなく、藤の木の後ろに隠れてまた出てくるときに替わっていた。
二人が違う色の着物なのでその分一人のときよりもカラフルだし、同じ動きでも玉三郎独特の観客にアピールする動きを確認することができ、玉三郎の何とも言えない目の動きをあらためて感じて、楽しかった。

第三十七回 俳優祭2014/03/28 18:21

2014年3月27日 午後4時半開演 2階5列22番

六歌仙容彩
「遍照」
高僧は誰かすごく長身の人だと思ったら松緑だった。顔が小さいから背が高く見える。小野小町は芝雀。
「文屋」
勘九郎の踊りが良かった。きょうの踊りの中のぴか一。
官女たちは、お三輪をいじめる系統の官女だった。
「業平」
菊之助の業平と七之助の小野小町。
綺麗な衣装の綺麗な二人。
「喜撰」
喜撰法師の染五郎は花道から出てくる。祇園のお梶は時蔵。この二人の「累」が良かったので期待して観た。時蔵は踊りがうまいとは思わないのだが、お梶の役は所作が綺麗で凄く良かった。
「黒主」
大伴黒主が海老蔵、小野小町は玉三郎。踊りより衣装と台詞が大事な演目のようだ。

素踊「楠公」
楠正成が橋之助、正行が宜生、正孝が錦之助。
橋之助は最近少し太った。宜生は子どもから大人になろうとしている。錦之助は顔と佇まいが端正で素踊り向きの役者の一人だと思う。
この三人の踊りの後、扇雀、孝太郎、松江、男女蔵、亀寿、亀鶴が集団で踊り、次に梅枝以下の若手がせり上がってきて踊る。真ん中は歌昇だったのですぐわかったが役者の数が多くて、誰がどこにいるか確認しているうちに終わってしまった。一番小さいのが團子。最後に左馬頭の役の又五郎が出て来て引き締まった。

「模擬店」
藤十郎はじめ理事の挨拶と、三津五郎と亀三郎による模擬店の説明があった。
万雷の拍手で迎えられた三津五郎は「こんなことで復帰すると思わなかった」と言って、にこやかに説明をした。二年前の俳優祭は三津五郎の踊りが最高で、観客も舞台も息をのんで見ていたのに、あのとき舞台にいた勘三郎と團十郎がもういなくて、三津五郎が病み上がりだなんて、この二年の変化の激しいこと。
吉右衛門をはじめ「前の歌舞伎座より狭いのでお客様が殺到すると不測の事態が起こらないとも限らない」と心配していた。
二階だったので、出てすぐのところで売っていたかぶき手帖を買った後、下手のドリンクコーナーの方に行ったら、蝶ネクタイの仁左衛門が見えた。しかし混んでいて並ぶ人の数もロープを張って制限していたので並ぶのはあきらめた。
吹き抜けの周りを一周すると、画廊のところに梅丸や種之助がいた。正面では歌昇たちがTシャツを売っていた。
三階の「花篭」に初めて入った。ここで焼きおにぎり、お団子、ワッフルを買った。いつも舞台写真を売るところで中車親子がTシャツを売っていて、私が行ったときはお客さんと記念撮影をしていた。
幕間の舞踊ショーが見たかったので席に戻った。舞踊ショーはゲイバーのような雰囲気で、吉弥が紫の着物にラメ入りの白いショールをかけ、白い髪飾りもつけて「津軽海峡冬景色」の曲で踊ったのが綺麗だった。最後の歌江はまたヒモがたくさんぶら下がったような派手な衣装で受けていた。

幕間の後の抽選会では、座席番号によって熊本までの航空券があたる抽選会があった。歌昇、巳之助、壱太郎が担当だった。この後、又五郎が押し隈の落札者の発表をした。愛之助の義賢最期の押し隈があったらしいが全然気づかなかった。

「鈴ヶ森錦繍雲駕」

金太郎の白井権八と大河の幡随院長兵衛の対決が楽しみな一幕。おじさん達はひたすら二人の引き立て役に回った。
権八のかごかきは染五郎と松緑。舞台から遠かったので、たくさんいる雲助たちは誰が誰だかほとんどわからなかった。わかったのは目立つ役だった翫雀と、身長でわかる弥十郎くらい。飛脚の役の左團次は裸エプロンで、客席に背を向けて座ったり立ったりするときにしきりに後ろを気にしていた。
きたないおじさん達の中で、金太郎は本当に掃き溜めの鶴のように綺麗だった。雲助役のおじいちゃんとの立ち回りもある。きょうは金太郎の誕生日だそうで、バースデーケーキも登場した。
夜鷹の役で水谷八重子と波乃久里子、雲助役のくまモンも出た。
大河は一つ年下だから、二人の対決といっても金太郎が主体で大河は「おわけえのおまちなせえやし」だけかと思ったら、その後、権八と長兵衛が話をする場面があった。大河は声はかわいい子供の声なのに、大人が江戸弁をしゃべるような調子で台詞を言うものだから、聞いていると思わずニンマリしてしまう。客席は大うけで、大拍手だった。

この後、二人の子役を真ん中にカーテンコールがあり、手ぬぐい撒きがあった。仁左衛門はスーツ姿で投げていた。