スーパー歌舞伎II ワンピース ― 2015/10/08 23:29

2015年10月8日 新橋演舞場 午前11時開演 1階6列27番
第一幕
私は少女漫画脳で、漫画の「ワンピース」は1巻しか読まなかった。
開幕前、舞台の上にルフィの人形が置いてあって、写真をとっている人が多かった。
開演後は、後ろの幕にそのシルエットが映り、それが動き出す。漫画のフォントの縦書きの台詞が映って、漫画ファンとしては心躍る幕開きだ。ほんの短い間だが七之助の語りが入る。最初の場面は奴隷市場。
花道から麦わらの一味が出て来たが、ナミ役の春猿は声ですぐにわかった。ショッキングピンクの着物に黒地の帯を傾城のように前に垂らした個性的な格好で、声も個性的なのでキャラが立っている。もう一人の女、ニコ・ロビンは、こういう感じの女の人いるけど、はて、誰がやってるのかしら?という感じで、ずっとわからなかった。笑也だった。 隼人(サンジ)、巳之助(ゾロ)はわかった。役者の名前はわからないが、髪に歌舞伎のような力紙をつけて、暫の権五郎がつけてる四角い座布団みたいのを両肘につけているキャラがいた。フランキー?
エジプトの輿のようなのに載って出て来た、透明なヘルメットをかぶった人は、声で欣也とわかった。世界貴族チャルロスの役だ。うまい人がこういう役をやると芝居が引き締まる。
ルフィ(猿之助)が登場し、NHKのニュースで見た、左右の人の手をつなげて長く見せる踊りをやる。
麦わらの一味は高いところに勢揃いして一人一人名乗りを上げる。そこへ行く階段が定式幕の色だ。チョッパーはチョッパーの人形を持った人が声を出していて、人形を落とすと、大きくなったチョッパーが階段から階段返しで現れる。
ルフィは吹き飛ばされてアマゾン・リリーという女だけの島に着く。そこの女帝ハンコック役も猿之助。あまりの美しさに侍女たちが失神するのは、ゴマをすっているのかと思ったが、設定としてはそうではないらしい。ハンコックとルフィの早変わりがある。
ニョン婆の笑三郎、マリーゴールドの笑也、サンダーソニアの春猿がそろう。ここの笑也はわかった。
ハンコックは人を石にする力がある怖い女帝だが、ルフィに恋煩いして、ルフィが「ありがとう」と言ったのを「アイシテル」と勝手に脳内変換する面白いキャラで、ルフィよりも猿之助らしい役。
ルフィはエース(福士誠治)を助けに行くことにする。
一幕最後のハンコックは、大きな衣装と冠の間から顔だけ出しているような、紅白の小林幸子のような雰囲気だった。
正面奥の西洋的な絵と、その脇の葛飾北斎の波の絵がよく調和していた。
第二幕
ルフィはエースを助けるために監獄に来た。ここで看守と戦うが、看守の制服が裃なのがいい。
ここで現れる旧友のおかま、ボン・クレー(巳之助)。ピンクのラメの横じまが入った服を着ている。この芝居の中で最高に目立っているキャラで、巳之助が熱演。
囚人で、角のあるアバロ・ピサロが寿猿。監獄署長マゼラン(男女蔵)の毒にやられてルフィは瀕死状態になり、そこに革命戦士イナズマ(隼人)と、オカマのイワンコフ(浅野和之)が現れて、ルフィとボン・クレーを、壁の向こうのニューカマーランドに連れて行く。
ニューカマーランドのシーンはロングドレスの女たち、腰元の着物の丈をミニにしたようなのを着ているメイド風の女たちが踊って華やかだ。ロングドレスの踊りは「くるみ割り人形」のアラビアのような雰囲気。澤瀉のお馴染みの女形さんが踊っているが、みんなうまいもんだ。
ルフィはイワンコフの「ホルホルの実」の治療で復活。エースのいる監獄を目指す。
幕の外で、隼人が看守たちと立ち回りをする。幕が開くと天井の方まである階段を本水が流れ落ちていて、隼人、巳之助が流水の階段を上ったり、水の中に飛び込んで暴れる。前方の席の人たちはビニールを広げていた。
巳之助が花道を引っ込むとき、看守のバック転が見ごたえあった。
ルフィはエースのいる監獄にたどり着いたが、エースは既に海軍本部に移送された後だったので、ルフィは波を乗り越えて海軍本部に向かう。ということで、宙乗りになる。
波乗り板の上にのっている格好で宙乗り。歌と手拍子が入り、猿之助の口も動いていた。花道から三階上手に向かっての斜めの宙乗りで、私の席からだと、波乗りしている人を海中から見ているような角度になる。板を少し傾けて身体を前傾させた姿勢での宙乗り、高所恐怖症の人には無理、と思いながら見守った。
無条件で舞台に引きこまれた幕だった。
第三幕
最後の幕はつまらなかった。途中、ハンコックが出て来たので盛り返すかと期待したが、ダメだった。
白ひげ(右近)は、手負いの知盛のような格好で登場する。しかしスーパー歌舞伎の台詞では迫力に欠ける。
大参謀つるの門之助は、英国貴公子風の洋服の上に灰色と黒の着物を羽織り、髪型は白髪の老女、という不思議な格好だ。
赤犬(嘉島典俊)とエースとの赤い大きな旗を使った立ち回りや、役の名は忘れたが、誰かがコードにつかまって舞台から客席上をぐるりと飛び、客席に紙吹雪が降る、という見せ場はあった。
舞台で福士誠治が二枚目役をやるのを初めて観た。今までは個性的な役だった。二枚目は素のままだが、立ち回りはチャレンジだったと思う。
楽しみにしていた竹三郎のベラドンナはかなり最後の方でやっと出て来た。バタ臭い顔立ちで洋装が似合う。
この幕全体を通じての愛情、友情話に鼻白む思いがした。
最後は、ルフィを中心に麦わらの一味が乗った船が出てきて、それはまあ、楽しかった。
第一幕
私は少女漫画脳で、漫画の「ワンピース」は1巻しか読まなかった。
開幕前、舞台の上にルフィの人形が置いてあって、写真をとっている人が多かった。
開演後は、後ろの幕にそのシルエットが映り、それが動き出す。漫画のフォントの縦書きの台詞が映って、漫画ファンとしては心躍る幕開きだ。ほんの短い間だが七之助の語りが入る。最初の場面は奴隷市場。
花道から麦わらの一味が出て来たが、ナミ役の春猿は声ですぐにわかった。ショッキングピンクの着物に黒地の帯を傾城のように前に垂らした個性的な格好で、声も個性的なのでキャラが立っている。もう一人の女、ニコ・ロビンは、こういう感じの女の人いるけど、はて、誰がやってるのかしら?という感じで、ずっとわからなかった。笑也だった。 隼人(サンジ)、巳之助(ゾロ)はわかった。役者の名前はわからないが、髪に歌舞伎のような力紙をつけて、暫の権五郎がつけてる四角い座布団みたいのを両肘につけているキャラがいた。フランキー?
エジプトの輿のようなのに載って出て来た、透明なヘルメットをかぶった人は、声で欣也とわかった。世界貴族チャルロスの役だ。うまい人がこういう役をやると芝居が引き締まる。
ルフィ(猿之助)が登場し、NHKのニュースで見た、左右の人の手をつなげて長く見せる踊りをやる。
麦わらの一味は高いところに勢揃いして一人一人名乗りを上げる。そこへ行く階段が定式幕の色だ。チョッパーはチョッパーの人形を持った人が声を出していて、人形を落とすと、大きくなったチョッパーが階段から階段返しで現れる。
ルフィは吹き飛ばされてアマゾン・リリーという女だけの島に着く。そこの女帝ハンコック役も猿之助。あまりの美しさに侍女たちが失神するのは、ゴマをすっているのかと思ったが、設定としてはそうではないらしい。ハンコックとルフィの早変わりがある。
ニョン婆の笑三郎、マリーゴールドの笑也、サンダーソニアの春猿がそろう。ここの笑也はわかった。
ハンコックは人を石にする力がある怖い女帝だが、ルフィに恋煩いして、ルフィが「ありがとう」と言ったのを「アイシテル」と勝手に脳内変換する面白いキャラで、ルフィよりも猿之助らしい役。
ルフィはエース(福士誠治)を助けに行くことにする。
一幕最後のハンコックは、大きな衣装と冠の間から顔だけ出しているような、紅白の小林幸子のような雰囲気だった。
正面奥の西洋的な絵と、その脇の葛飾北斎の波の絵がよく調和していた。
第二幕
ルフィはエースを助けるために監獄に来た。ここで看守と戦うが、看守の制服が裃なのがいい。
ここで現れる旧友のおかま、ボン・クレー(巳之助)。ピンクのラメの横じまが入った服を着ている。この芝居の中で最高に目立っているキャラで、巳之助が熱演。
囚人で、角のあるアバロ・ピサロが寿猿。監獄署長マゼラン(男女蔵)の毒にやられてルフィは瀕死状態になり、そこに革命戦士イナズマ(隼人)と、オカマのイワンコフ(浅野和之)が現れて、ルフィとボン・クレーを、壁の向こうのニューカマーランドに連れて行く。
ニューカマーランドのシーンはロングドレスの女たち、腰元の着物の丈をミニにしたようなのを着ているメイド風の女たちが踊って華やかだ。ロングドレスの踊りは「くるみ割り人形」のアラビアのような雰囲気。澤瀉のお馴染みの女形さんが踊っているが、みんなうまいもんだ。
ルフィはイワンコフの「ホルホルの実」の治療で復活。エースのいる監獄を目指す。
幕の外で、隼人が看守たちと立ち回りをする。幕が開くと天井の方まである階段を本水が流れ落ちていて、隼人、巳之助が流水の階段を上ったり、水の中に飛び込んで暴れる。前方の席の人たちはビニールを広げていた。
巳之助が花道を引っ込むとき、看守のバック転が見ごたえあった。
ルフィはエースのいる監獄にたどり着いたが、エースは既に海軍本部に移送された後だったので、ルフィは波を乗り越えて海軍本部に向かう。ということで、宙乗りになる。
波乗り板の上にのっている格好で宙乗り。歌と手拍子が入り、猿之助の口も動いていた。花道から三階上手に向かっての斜めの宙乗りで、私の席からだと、波乗りしている人を海中から見ているような角度になる。板を少し傾けて身体を前傾させた姿勢での宙乗り、高所恐怖症の人には無理、と思いながら見守った。
無条件で舞台に引きこまれた幕だった。
第三幕
最後の幕はつまらなかった。途中、ハンコックが出て来たので盛り返すかと期待したが、ダメだった。
白ひげ(右近)は、手負いの知盛のような格好で登場する。しかしスーパー歌舞伎の台詞では迫力に欠ける。
大参謀つるの門之助は、英国貴公子風の洋服の上に灰色と黒の着物を羽織り、髪型は白髪の老女、という不思議な格好だ。
赤犬(嘉島典俊)とエースとの赤い大きな旗を使った立ち回りや、役の名は忘れたが、誰かがコードにつかまって舞台から客席上をぐるりと飛び、客席に紙吹雪が降る、という見せ場はあった。
舞台で福士誠治が二枚目役をやるのを初めて観た。今までは個性的な役だった。二枚目は素のままだが、立ち回りはチャレンジだったと思う。
楽しみにしていた竹三郎のベラドンナはかなり最後の方でやっと出て来た。バタ臭い顔立ちで洋装が似合う。
この幕全体を通じての愛情、友情話に鼻白む思いがした。
最後は、ルフィを中心に麦わらの一味が乗った船が出てきて、それはまあ、楽しかった。
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