坂東玉三郎 世界のうた2019/05/28 23:14

2019年5月28日 日生劇場 午後2時開演 GC階B列39番

幕が開くと紫の布が左右を覆っていて、真ん中の玉三郎が右側の布に巻かれて立っていた。そして、幕は左右に動いて、玉三郎の全身が現れる。始めから玉三郎の魔法にかかって気持ちが高揚した。
ここは良い席。玉三郎の全身が目に入って、世界に唯二人のような気持ちにさせてくれる。「はるかなはるかな見知らぬ国へ」と歌いだした。
「つめたい部屋の世界地図」と「少年時代」。玉三郎の声に愛撫されているようだ。玉三郎の歌のコンサートが始まった頃はよく声が出ていて、名曲を表現力豊かに歌えている、と思ったが、きょうの冒頭の2曲を聴いて、玉三郎に余裕が出てきて、玉三郎の踊りでいつも感じるような、観客の心をくすぐる芸術性が出てきたと思った。

傳左衛門が、どこかの地方公演のときに玉三郎といっしょにカラオケに行って、玉三郎は「少年時代」を歌った、と言っていたから、聞きたいと思っていた。

2曲の後、玉三郎が少ししゃべった。「かくもにぎにぎしく」と歌舞伎の口上のようなことを言ったのが面白かった。2日続くコンサートの最初なので緊張しているらしい。緊張している、と終始口にしていた。

続けて「5月の別れ」「誰もいない海」「夜明けのうた」。
岩谷時子の還暦パーティのとき玉三郎が「夜明けのうた」を歌うことになって、岸洋子は「あたしの心の」と歌ってたけど、「ぼくの心の、歌ってもいい?」と聞いたら、岩谷時子は、「元々の歌詞は、ぼくの、だった」と言ったそうだ。そうなんだろう。私が最初のこの歌を聴いたのはテレビドラマで長谷川明男の歌だったから、「ぼくの」と歌っていた。

「夜明けのうた」の最後に下手に引っ込んだ。次は「18歳の彼」だから女になって出てくるのかと思ったが、キラキラする生地の服になった。
「18歳の彼」はNHKホールのコンサートのときにも聴いた。

「そして今は」はジルベール・ベコーがブリジット・バルトーと別れたときの歌だそうだ。これと「パダムパダム」はNHKホールのときは別の人が歌った。

「待ちましょう」は私もたぶん淡谷のり子の歌で聞いた。戦争へ行った恋人を待つ歌だそうだ。

前半の最後は「人生は歌だけ」と「水に流して」。「水に流して」は前のコンサートでも聴いた。

後半の最初は「虹の彼方に」。「スマイル」の後、「マック・ザ・ナイフ」。
「マック・ザ・ナイフ」と言えば映画「悪の教典」で使われて歌詞の意味に感銘を受けた。玉三郎は、ブレヒト、クルト・ヴァイルに言及し、訳詞はぶっとんでるのでいいんじゃないかと思ってそうしたようなことを言った。バラードが多くなるので少し変わったものを、と思ってこの曲を入れたそうだ。歌いだすと、客席から手拍子が沸いた。細身のスーツで動きながらの歌はなかなか良かった。

「センドインザクラウン」は歌もミュージカルも知らなかった。
「ある恋の物語」は曲をよく知っている。フィギュアスケートとかによく使われているからだろうか。ザピーナッツが「わたしの恋のお話」と歌った、と玉三郎は言ったが、私にははっきりした記憶がない。作曲家の弟の奥さんが亡くなったときに作った曲、というのが萌えだった。名曲なので歌はない方が良い。どうせなら踊ってほしかった。

「サムウェア」はウエストサイドストーリーの中の歌だそうだが、印象に残ってない。「星に願いを」は昔のテレビのディズニーアワーのテーマソングだそうだ。おとぎの国、冒険の国、あと二つ何かの国があるウォルトディズニーの番組は私も大好きだった。

「すべての山に登れ」は最初のコンサートでも歌ってくれて、嬉しかった曲だ。
最後は「アンフォゲッタブル」。

アンコールは前と同じ「ラストワルツ」だった。引っ込んだ後、もう一度出てきてお辞儀をした。

世界を歌う、というタイトルだが、シャンソンやミュージカルよりもニューミュージックの方がうまいのが同世代の日本人らしくて好き。

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