秀山祭九月大歌舞伎 昼の部 ― 2006/09/09 23:08
2006年9月9日 歌舞伎座 午前11時開演 4列33番
しゅうざんさい、と読む。私はなぜかずっとヒデヤマサイだと思っていた。
「車引」
はじめて見る演目。最近まで、昼の部の最初の演目はパスすることが多かったので今まで見たことがなかったが。古典歌舞伎らしい所作と台詞の美しさ、力強さがあって、台詞の意味はほとんど頭に入らなかったが楽しめた。
最初に松緑の梅王丸と亀治郎の桜丸が花道から登場。最初は笠をかぶったままで顔を見せずに台詞を聞かせる。力強い梅王丸とやや女性的な桜丸。亀治郎は繊細な手。ふと隣りの松緑の手に目をやるとこちらは手にも隈を描いている。
二人とも所作も台詞も安定してうまいが、とくに松緑が良いと思った。
二人が花道を引っ込み、しばらくして走って戻ってきて、松王丸登場となる。 染五郎の松王丸は声が割れていた。台詞が悪いというわけでもないが、他の二人ほどの安定感がない。 種太郎が杉王丸で登場。これも声が割れているがまだ声変り中?
筋書きの上演記録によると愛之助は杉王丸と松王丸をやっているが、力強い梅王丸の役が見たい。
「引窓」
実の息子への情と、義理の息子への義理。わかりやすい話。
「業平小町」「文屋」
梅玉は贔屓ではないが、この人は平安貴族の役が似合う。とても綺麗で優雅に見えた。
「文屋」は去年の南座の顔見世で仁左衛門が踊った。テレビで見たとき、ぴったりの役だと思った。染五郎は全体のタイプとしては仁左衛門に似ている。しかし美しさ、高貴さ、色気、かわいらしさが全部少しずつ足りない。踊り自体はおそらく染五郎の方がうまいのに、仁左衛門が踊ったときにような、優雅でいながら滑稽でかわいくて、という風情にならず、少しギスギスする。 特に「こいづくし」のとき、台詞はけっこうきわどい。仁左衛門だと色っぽく上品で見ているほうがムフフ状態になるが染五郎は色気が足りなくてつまらない。
「寺子屋」
吉右衛門と幸四郎の兄弟が源蔵と松王丸をやるので話題だが、この二人は声の質が似ているので台詞の応酬を楽しむような役は避けたほうが良いのではないかと見ていて感じた。
寺小屋の主役は松王丸だと思っていたが、今回は源蔵が主役で松王丸はゲストのように感じた。ひょっとするとそれが正しいのかもしれない。
二人が似ているという理由もあって、松王丸は仁左衛門で見たかったと思った。今回は二人の祖父初代吉右衛門の生誕百二十年記念の秀山祭なので、二人でやることに意味があるのだが、仁左衛門の神々しいような松王丸と吉右衛門の源蔵の共演が私は見たかった。
福助が園生の前、娘の佳奈が菅秀才をやっていて、親子コスプレみたいでおもしろいと思った。
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