9月歌舞伎座 昼の部2007/09/17 02:36

2007年9月16日 午前11時開演 1階6列26番

「竜馬がゆく」

三幕のうち、ニ幕目の一場は竜馬が出ないが種太郎が薪車に切り殺される郷士の役をやって印象に残った。次の場はお涙頂戴でつまらない。三幕目は勝海舟が出る。勝海舟といえば江戸弁。江戸末期の言葉は現代語にかなり近い。大河ドラマの野田秀樹もよかったが歌六も良かった。染五郎は、こういう歌舞伎味が薄い舞台によく合う。3日の夜に観たときは声が枯れているのが気になったが、この芝居だと声は気にならない。

「熊谷陣屋」

一昨年の11月に仁左衛門の熊谷で観た。今回は吉右衛門。一昨年はまだ愛之助のファンではなくて、堤軍次の役をやっていたのをほとんど覚えていない。その役をやったと聞いて、雀右衛門の手をとって階段を上っていた人を思い出し、あれかと思った。覚えているのはそれだけ。今回、歌昇がやっている堤軍次をあらためて見ると結構良い役で、あのときの私の席からもよく見える場所に座ったりしている。しかし当時は仁左衛門にしか興味がなくて仁左衛門しか見ていなかった。

今回の相模はぐっと若くなって福助。藤の方は前回は秀太郎だったと思うが今回は芝雀。今回の方が役の実際の年齢に近く、その分リアリティがあったと思う。

何度も上演されている演目だが、良さがよくわからない。

富十郎が弥陀六役で出たが、身体の動きは不自由になっているものの、声と口跡が良くて台詞を聞いているのが気持ちよかった。

「村松風二人汐汲」

今月一番観たかった演目だ。舞台写真が出ていたので、先に買ってしまった。 幕が開く前からお囃子の音が聞こえて期待が高まる。幕が開くと鳴物と唄の後、玉三郎と福助が舞台中央からせり上がって来た。白い着物の玉三郎は立っていて先に顔が見えた。続いて赤い着物の福助。玉三郎は、最初は1階の観客に、次に上階の観客に自分の顔を見せるように動き、そして誰の顔も見ない。

全体に、玉三郎がリードして福助は遠慮して控えめな印象だった。私はほとんど玉三郎しか見ていなかったので踊り方を比べることはできない。玉三郎だけ、一度別の衣装を羽織る。後見が玉三郎にその衣装を着せている間、福助は観客の方を向いて、顔は袖で隠して座っていた。その後、新しい衣装で玉三郎だけが踊った。後半、福助が一人で踊っている時は玉三郎は白い着物で観客に背中を見せて座っていた。

きょうの席は玉三郎の顔がよく見えた。このチケットを頼んでいるところは原則として花道の横の席をくれるのだが、たまに人気のある演目のときは中央の席になる。きょうもそうだったのだが、二人並んだときに玉三郎は舞台の上手側で踊ったのでラッキーだった。